« 『Tales of Lux』~光の涙~【1】 | メイン | 『Tales of Lux』~光の涙~【3】 »

『Tales of Lux』~光の涙~【2】


ここは山に囲まれた街『シンクウェッソン』だ、 のどかな風が吹き抜けるいい街だ。
毎日平和な暮らしが続く本当にのどかな所だ、ある面では邪悪に鈍いかもしれない。
僕の名はレイア.ヒューガン、16歳の高校生だ、まさかあんな事が僕の身に起きるだ
なんて、あの頃は思いもしなかった。
ある日の事だ、僕は普通に学校に通っていたときのことだ。

眩しい太陽が今日も変わらず輝いている、僕の将来の夢は剣士だ、子供の頃から剣士
に憧れてきた、剣士だった父さんは病気で死んだ、母も内戦に巻き込まれて死んでし
まった、まだ幼い頃だったが僕は孤独だった、でも友達はいる。
『おい!何ぼけっとしてんだよ』
そこに現れたのは彼の友であるケット.センディーンだった。
僕はいつも静かだ、だからぼけっと見られる事もある。
『ぼけっと何かしてないよ』
レイアは何も問わずに返事した。
二人の会話はここで止まった、これが二人で喋るときのごく普通の会話だ。
と、そのときだった。
一匹の猫が前を歩いて行く、 平凡に歩く猫、何もおかしくはないはずだ、しかし、
その猫は僕を避けるかの様に歩いて行く。
目がチラチラとこっちを向きながら猫は歩いて行く、たしかに様子が変だ。
だが僕ら二人はそんな猫を無視して学校まで一緒に向かって行った。

その日は何事もなく終わっていった。
部活も終わり、暗い道をケットと別れて孤児院に行く途中と事だった。
あの猫だ、そっくりなだけかもしれないが、たしかにあの猫そっくりだった。
猫はたしかに僕を避けている様だ、僕は無視して暗い静かな道に走っていった、僕は
動物から嫌われてるのか、そんな事はない、今まで動物を虐めた事なんて一度も無い。
色々と自分を言い聞かせてたそのときだった。
後ろから強い風が僕の体を無理矢理押していく、不安になりながなも僕は孤児院に着
いた。
それからようやくベッドに寝込んだ頃はもう夜中だった。
最近僕はおかしな夢を見る、残酷な程苦しい夢だ、日々を重ねるごとにどんどん悪化
していく。
僕は悪い事も何か企んだ事なんて一度も無い、一体何が悪いのか検討もつかない。

そして次の日だ。
いつもと変わらない太陽が浮かんでいる、朝にはケットも向いに来てくれた。
頭が放ろうとなりながらも僕は起き上がりすぐに昼食を食べて颯爽とケットの元に向
かった。
今日も変わらない、普通の日だ。
学校に着き、初めの授業が始まり数分も絶たない内に僕は居眠りを始めてしまった。
またあの夢だ、悪夢だ。
また悪化している、どんどん目の前の世界が黒くなり最後には何も見えない深淵と化
す。
そして聞いた事も無い無気味な笑い声が響く。
と、そのときだった、先生が前にいる事に気がついた僕はそこで悪夢から目が覚めた。
『授業中だぞ....』
先生は怒らず静かに言ってくれた、僕は周りがクスクスと笑いながらもノートに鉛筆
を走らせた。
たしかに僕は普通の人間なのに、なぜあんな夢ごときに苦しい思いをしなくてはいけ
ないのか、意味も無い戸惑いにレイアは苦心でいた。

だが、本当の苦しみともがきはここからだった。

学校の昼休み、僕はあのときただ友達の肩に触れただけだったのに、その友達は突然
倒れて息ができない呼吸困難に陥り、そして死んでしまった。
もうどうしようもない、逃げもできない、だが僕は何もしていないんだ、そうだ夢だ、
これは夢だ。
自分に言い聞かせても目を開けば現実があらわとなる。
僕は慌てているケットからこう聞かれた。
『何かあったのか!?』
だが僕は何も答えず泣き出しそうな顔を隠して走っていった、訳がわからないこの現
実から逃げたいと思った。
一体自分が何をしたのか全く理解できない、理解できる問題ではない。
走って走って息も苦しいなか僕は教会に逃げ込んだ、静かな教会に、冷や汗をかきな
がらすぐ近くの椅子に腰掛けた。
深呼吸をしながら我を失うまいとしていたそのときだった。
『どうかしたのかい?お若い者』
一人の神父がそこにはいた、ほの明るい教会で何かを待っていたようだ。
僕はその新婦の顔を見た、優しそうな感情が感じられる。
『あなたの中には、別な者が潜んでおる.......』
神父はそう言うと僕に近ずいてきた、そして顔を見るなりいきなりこう言い出した。
『君のなかには霊魔が潜んでおる』
霊魔、一体それは何なのか、一度も聞いた事のない言葉だ、僕は不思議に聞いていた。
そして神父はこう言った。
『霊魔は心と身を蝕む力だ、危険な存在だ』
僕が危険な存在、だがその意味はすでに実正済みだった、たしかに僕はクラスの友達
を殺したのだ、ただ触れただけで。
『じゃぁ、その霊魔をどうにかする方法は無いの............』
僕は止まらない震えを無理に押さえながら喋りかけた。
『ある、その選択は二つある』
僕は冷静になりながらもあせる気持ちで耳をかたむける。
『一つは死ぬ事だ.....』
そこで静寂が流れた。
『そしてもう一つは、''セイレーンの都''を捜しだすのだ』
セイレーンの都なんて聞いた事ない、奇想天外な話だ、ただ今は親父の話を聞こう。
そして神父は最後にこう言った。
『旅立つのだ、我を救いたいのなら』
僕はここで教会を出て行った、人知れず森の中に向かった、誰にも気がつかれないた
めに。

次の日の早朝。

僕は孤児院にある自分の物を全てカバンに詰め込んで、出発した、まだ日も昇らない
朝だ。
一気に駆け走ろうとしたそのときだった。
後ろからケットが急いで追い掛けて来る。
『ど、どこ行くんだよ!俺はなあんたがいなきゃ楽しくねぇよ!』
息を切らしながらケットは言った。
僕はケットの姿を見て切ない思いが込み上げてきた、ここから一人で生きていける訳
がない。

そして二人は静寂と平和が長引くこの街を後にした。
セイレーンの都を捜す旅に、二人は大きな希望と密かに囁く不安を抱きながら。



後書きです
どうも!リッド~です、この小説も宜しく! 感想待ってます!

コメントする