テイルズオブジアビス ~魔界戦記~【3】
「一つ言っておく。初めから全力で来い」
レクサスは右手一本で剣を構える。
「・・・行くぞ!」
ルークは走り出し、斬りかかる。レクサスは軽く受け止め、弾く。
押し返されたルークは、今度は連続で斬りかかる。
縦横に剣を振るい、だがそれも全て受け止められる。
「だったらこれで・・・双牙斬!」
ならばと思い、特技<双牙斬>を見舞う。しかし、それまでもが受け止められた。
「そんな・・・」
「言ったはずだぞ。初めから全力で来いと!」
レクサスの反撃の一撃。自分の剣を一閃させる。ルークはすぐに剣を盾にしてガードするが、なんなく吹っ飛ばされた。
「くっ!クソ・・・」
ルークは立ち上がるが、様子がおかしい。
(何だ今のは?確かに防御したはずなのに・・・全身が・・・痛い!)
それを見たジェイドが、
「なるほど。さすが<闘神>と名乗るだけはありますね」
とつぶやいた。
「どういうことですか?」
ティアがジェイドに問う。
ジェイドは眼鏡のブリッジを押さえて、こう言った。
「結論から言います。ルークは彼に決して勝てません。おそらく、私たちが加勢しても、軽く退けられるでしょう」
「それって・・・」
アニスがおどおどとルークとレクサスを見る。
「次元が違いすぎるのですよ。ルークを見てください。彼の一撃をガードしたにもかかわらず、まるでまともにくらったような感じです」
ジェイドはルークの様子からそこまで見破っていたのだ。
ネクロマンサーの洞察力は大したものだった。
「それではルークは、勝てない勝負をさせられているということですの!?」
ナタリアが思わず叫ぶ。
「おそらくルークの力量を計っているのだと思います。だから、初めに全力で来いと言ったのでしょう。もっともルークは、少し手を抜いたみたいですが・・・」
再びルークとレクサスを見るジェイド。
(レクサス、何を考えている?)