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それゆけゼクンドゥス【8】


題名 それゆけ ぜくんどぅす  ~ネレイド・フラグメント~
作 ROHHI


ぜくんどぅす 「んあ~ 暑い~
   シルフ 「大晶霊が なに暑がってるのさ!
ぜくんどぅす 「暑がってた方が人間らしいやろ
         一応人間のふりしとるわけやし…
         それにワイは今 ご機嫌斜めなんや
         料理対決は見れんかったし…
   シルフ 「それは何度も聞いた
         それで気になることって何なのさ?

かんかんと照りつける太陽の下
ぜくんどぅすはシルフを呼び出した
すぐ近くで リッドが風船を割っているのが見える

ぜくんどぅす 「ネレイドが… まだいるかもしれん…
   シルフ 「えっ!!
ぜくんどぅす 「あくまで かもしれん やで
         もともと奴は ひとつの固体として限定されない存在
         以前シゼルに取り憑いていたものが全てではない
         ということも 考えられるが…
   シルフ 「でもさ もしネレイドに取り憑かれる人がいたとしたら 
         その人は闇の極光術の素質があるってこと?
ぜくんどぅす 「確かにネレイドにとって闇の素質を持つ者は
         絶好の獲物…
         って まだネレイドがおるっちゅうことも
         曖昧なんやけど
   シルフ 「そういえばゼクンドゥスは どうしてネレイドが
         いるって思うようになったの?
ぜくんどぅす 「あのバカでかいサソリが死ぬとき
         黒い波動が噴き出したんや
         そやから もしかしたらって睨んどるんやけど
         それを見極める決め手が無い…
   シルフ 「ふーん…

のんきにタコヤキ焼いている場合ではなくなってしまうかもしれない
ぜくんどぅすはそんな気分にさらされた

   ウラン 「ゼックンさん!
ぜくんどぅす 「お ウラン 食材買うてきたんか?
   ウラン 「はい いろいろ買って来ました
         …あ ゼックンさん 料理対決は…
ぜくんどぅす 「んまぁ 緊急事態やったし しゃーないわな
   ウラン 「そうですか…
ぜくんどぅす 「それより どないするんや?
         宿は船で帰るはずだった人でいっぱい…
         野宿か?
   ウラン 「大丈夫ですよ
         料理人とその付き添いはビストロ・シャンバールの
         客室に泊めてもらうことができます
         もう部屋は取ってきましたから
ぜくんどぅす 「ほぉ 準備がよろしいな


― ビストロ・シャンバール 客室 ―

「はぁ はぁ… 闇の極… 光術… ?
 そんなもの き 聞いたことも… ぐっ
 モハヤ 我二 残サレタ 時間ハ ス 少ナイ…
 我ガ チカラヲ モッテスレバ 闇ノ欠片ヲ…

 よ 良く分から んが… ぐあっ
 あなたに 力を 貸す気は…  無い!
 ホザケ! 欠片ヲ手ニシタ オマエノ命ハ 我ガ握ッテイル
 ソノキニナレバ オマエヲ 内部カラ 乗っ取ルコトモ 可能ナノダゾ

 ぐっ ならば なぜ 今まで私の身体を乗っ取らなかった!
 あなたは 自分の命だけでは くっ
 動くことも出来ないのだろう? だから私に… 
 詮索ハ無駄ダ!
 コウナッタラ 覚悟ハ出来テ イルナ?
 
 わ 私の 中で 滅ぶがいい…
 あなたは 人類にとって 危険な 存在とみた…
 クズガ 死ネェ!

 ごああぁぁぁぁぁぁ!



ぜくんどぅす&シルフ 「今のは!?
   ウラン 「ど どうしたんですか?
         ゼックンさん? ルシフ君も…
ぜくんどぅす 「ウラン もう少し食材考えた方がええで
   ウラン 「はぁ… ?
ぜくんどぅす 「ワイ 少しビストロ・シャンバール見学してくるさかい
   シルフ 「ぼ ぼくも!
   ウラン 「わ 分かりました…   …???



「グッ… ヤ ヤハリ 無理ガ アッタカ?」

男の精神は完全に深淵へと葬られ身体を乗っ取られた
しかし男に取り付く闇も自在に身体を操ることができない

ガチャ

客室のドアノブが回る音に気が付いた男は
扉に向かって黒い気の矢を放った

ドスドスドスッ

ぜくんどぅす 「今のは… 人間業やない!

男の背後にぜくんどぅすとシルフがあらわれた

        「大 晶霊…
ぜくんどぅす 「単刀直入に聞くで
         お前はネレイドか?
        「ダッタラ… ドウスルト言ウノダ?
   シルフ 「決まってるだろ!消すしかないに決まってるよ!
        「フッ… グハハハハッ!
         ヤッテミルガイイ 貴様等ニ出来ルカナ?
ぜくんどぅす 「あの身体… もう死んでる… ?
         完全に精神を喰われたのか…
   シルフ 「よーし ぼくが…!
ぜくんどぅす 「まて ワイにまかせろ
         時の歪みに埋もれるがいい
         ディストーション !
        「… …
   シルフ 「待って ぜくんどぅす
         様子がおかしいよ!
ぜくんどぅす 「なにっ!?

ドサッ

男は倒れた

   シルフ 「抜け殻… ?
ぜくんどぅす 「外や!!
         奴は人間の精神を!

客室から出ると
廊下に人が倒れていた 息は無い

ぜくんどぅす 「あいつ!
         人間の精神を喰って自力で復活する気か?
   シルフ 「ネレイドって 人の魂とか食べるの?
ぜくんどぅす 「明確でなくとも有得る話や!

ぜくんどぅすはビストロ・シャンバールを出て見回した

ぜくんどぅす 「そや ウランは…?
   シルフ 「あそこだ リッドもいる
ぜくんどぅす 「はぁ これまでやな いくで!

ぜくんどぅすは 覚悟を決めた

   ウラン 「あっ ゼックンさん …?
   リッド 「!!

ぜくんどぅす 「ワイは時の大晶霊ゼクンドゥス
   シルフ 「同じく風の大晶霊シルフ

ウランは はぁ? と口を開けていたが
リッドは驚き 目を丸くしていた

ぜくんどぅす 「二人ともここは危ない
         至急バロールへ飛ぶ!




次回
それゆけ ぜくんどぅす ~糧~

第八話 完

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