すず・OF・フューチャー【19】
すず・OF・フューチャー
レオ「どうも、皆さんお久しぶりです、今はミゲールにいるレオ=サリーランドです。」
ミアン「今回あらすじを説明するもう一人は、私ミアン=メラトーラよ。」
レオ「あ!・・・ミアン・・・説明に入る前に一つ預かってる物があるんだけど・・・」
ミアン「え?・・・・誰から?」
レオ「・・・・・ミリエルから・・・・・お兄ちゃんにって・・・・・」
ミアン「え?・・・・・そっか・・・・・・ミリエルには仕事で遠くに行ったって言ったね・・・・・わかったわ、レオ・・・。」
レオ「ああ・・・・」
ミリエルの手紙「おにいちやんえ ミルエリ。
おにいちゃん、おげんきですか?
ミルエリはすごくげんさです。
おしごとはたりへんだってみんながいってました。
ミルエリはいいこでまつてるからほやくやえってきてわ。
ミルエリより
訳<お兄ちゃんへ ミリエル。
お兄ちゃん、お元気ですか?ミリエルはすごく元気です。
お仕事は大変だってみんなが言っていました。
ミリエルはいい子で待ってるから、早く帰ってきてね。
ミリエルより
レオ「・・・・・・・・・・・ミアン・・・ミリエルには・・・・・いつ話したらいいと思う・・・?」
ミアン「・・・・わからない・・・・でも・・・しばらくは・・・・・」
レオ「・・・・・・届くといいな・・・・ロウに・・・・・・」
ミアン「・・・・・・・そうね・・・・・・・」
??『ミリエル・・・ありがとう・・・そしてレオ・・・・ミリエルとミアンさんを頼む・・・・・ケンカばかりしていたが・・・・お前の事・・・・・俺の親友と思ってるから・・・・・・・」
第十九章 再会・NO・ナカマトテキ
バルーセル「・・・・・ヒューゴ・・・・ジルクリスト・・・それがあなたの名前ですか・・・。」
ヒューゴは、ゆっくりと部屋を見渡し、そこに五人の姿を見つけた・・・かつて操られた自分と戦っていた四人と操り人形として使った息子を。
ヒューゴ「・・・・・・・・・・ルーティ・・・・エミリオ・・・。」
一時戦闘状態が解除された場に、ルーティとエミリオを含む五人はヒューゴに向かって刃を向けた。
ヒューゴ(!・・・・・・そうか・・・・・・・・・私はもう・・・この子達に触れる資格でさえ持ち得ないな・・・・・)
ヒューゴが二人に近づこうとした仕草を戻した時、スタンのソーディアン、ディムロスが話した。
ディムロス『待てスタン!・・・先程オスロンは、「非道なる王の御霊を消す」と言っていた。』
スタン「それがなんなんだディムロス。」
アトワイト『非道なる王はミクトラン・・・御霊を消すは宿った魂を消すって意味じゃないかしら、ルーティ。』
ルーティ「じゃあ、あれは・・・・・」
クレメンテ『ミクトランではなく、ヒューゴ本人の可能性があるのう。』
フィリア「じゃあ!あれはルーティさんとエミリオさんの本当の・・・」
イクティノス『だが、まだそうと決まったわけではない。』
ウッドロウ「ならば話し掛けて、ミクトランかどうか確めるのはどうだ?」
エミリオ「シャル・・・僕達は本物のベルセリオスの声を知らない・・・わかるな?」
シャルティエ『うん・・・・わかるけど・・・・・苦手なんだよなあ・・・・』
シャルティエの一言でみんな静まり返った・・・スタン達はえっ?といった顔で、ソーディアンはみんな難しい顔で考えている。
ディムロス[・・・・・昔何か薬を飲まされて・・・2、3時間ほど記憶が無くなった時があった・・・]
アトワイト[・・・・・昔・・・ディムロスと相性判断してあげる・・・とかいいながら血を抜かれたわね・・・・]
イクティノス[・・・昔・・・恋人に会わせてあげる・・・と言って背中に妙な機械を付けられて飛ばされたことがあった・・・]
クレメンテ[・・・わしがまだソーディアンになる前に、その長生きの理由を調べさせてと言われ、体力測定されたわい・・・老人にはちときつかったのう・・・]
シャルティエ[・・・・・・・・・・うう!・・・思い出したくない・・・・]
ソーディアン達が、ハロルドにされた実験(?)に身震い(剣なのに?)していたかどうかは知らないが、とりあえず時間が経ちディムロスが話しだした。
ディムロス『・・・・・・・・・私が行こう。』
アトワイト『ディムロス!』
シャルティエ『ディムロス・・・・本当にいいのですか?』
ディムロス『・・・・ああ・・・これでもダイクロフト突入作戦では前線指揮官だったのを忘れたわけではないだろ。』
イクティノス『・・・・・ディムロス・・・・頼みます・・・』
ディムロス『・・・ああ・・・・・・・・ゴクッ(えっ?剣なのに??)・・・・ハ・・・ハロルド・・・・・か?』
ベルセリオス『・・・・・なぁに言ってんのよ!ディムロス!あったり前じゃない!このあたしを誰だと思ったわけ?』
スタン・ルーティ・エミリオ・ウッドロウ・フィリア「え・・・?」
声を出したベルセリオスは、男の物ではなく明らかに女の声だった。
ディムロス[やはり・・・本物だったか・・・]
アトワイト[やっぱり本物だったわねえ・・・]
イクティノス[やはり本物なのか・・・]
クレメンテ[やはり本物だったのう・・・]
シャルティエ[やっぱり・・・本物なんですね・・・]
ソーディアン達は、皆揃って安心したような、何かを諦めたような、ため息をを吐いた。
エミリオ「ちょっと待てシャル・・・その声の者が・・・・・本当に・・・あのハロルド博士なのか・・・?」
シャルティエ『そうですよ・・・・・それがどうかしましたか?坊ちゃん。』
ウッドロウ「私の記憶が間違っていないのなら・・・・かのハロルド=ベルセリオス博士は男・・・・では・・・・」
ベルセリオス『ああっ!やっぱりそうなってる?いや~男の名前にしとけば皆勘違いすると思ってたけど・・・やっぱりそうなってるんだ・・・ぐふっ♪ぐふふふふふ♪♪』
その場にいる全員が明らかに「何でそんな事を?」と言いたげな顔をしたが、その言葉を言う前に巨大な落雷が落ちてきた!
スタン「危ない!」
エミリオ「みんな散れ!!」
ヒューゴ「ベルセリオス!」
ベルセリオス『はあぁ・・・・・人が気持ちよく話してんのを邪魔すんじゃないわよ!・・・・ブラックホール!』
最上級の晶術の術式を一瞬にして完成させ、ベルセリオスは、人工的に全てを飲み込む暗黒の星を作り上げ、落雷の全てを飲み込んだ!
ベルセリオス『・・・・・・・・で、何でハロルドなんて男の名前にしたかというと・・・面白いからよ♪』
ベルセリオス、ゼロ、チェスター、アーチェ以外全員(敵味方魔物ソーディアン全員)「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
強力な呪文を一瞬にして唱え、その後何事もなかったかのように、面白いから男の名前したと説明したソーディアン・ベルセリオスに、ソーディアンとゼロ、チェスターとアーチェ以外は皆頭がいいのか、悪いのか、わからない複雑な表情を浮かべたが、強力な力を持っていることは皆理解した。
スタン「・・・・・は!なあディムロス!ベルセリオスはミクトランと一緒に世界を征服しようと・・・」
ベルセリオス『あたしはそんな事実行した事はないわよ。・・・・・・・あの時・・・ダイクロフト突入作戦の時、最後に兄さんが刺された時、油断してコアクリスタルに人格を再投射された時・・・あたしの人格はその時の衝撃で破壊されたから・・・』
ソーディアンマスター、ソーディアン「・・・・・・・・・・・・・・」
他の者達も、話からなんとなくだが、状況を理解した。
ルーティ「それじゃ・・・・・あのヒューゴは・・・・・・・あたし・・・・いえ、あたし達の本当の・・・」
エミリオ「・・・・・・・・・・・・・・・」
バルーセル(まずいですねぇ・・・・・最初は仲違いしていたようですが、和解してきたようですし・・・・完全に和解する前に動いた方がいいですね。)
そう、思ったバルーセルは、やや混戦気味になっていた場を抜け出し、玉座の後ろに周った。
バルーセル「そろそろ終わりにいたしましょう・・・と、その前にゲストをお呼びしましょう。」
バルーセルは、指をパチン、と鳴らした。
そしてバルーセルが指を鳴らした直後、空間の歪みが部屋の真ん中に現れた。
空間の歪みから黒い影が現れ、それは徐々にはっきりと見えていき、やがてそれは一人の男となり、現れた。
????????「ここは・・・いったい・・・!バルーセル!」
クレス「アルヴァニスタ王!?」
アルヴァニスタ王「あなた方は!ではここは!」
バルーセル「そう、私の城です。久しぶりですね・・・イルト。」
イルトとは、アルヴァニスタ王の名前である。
アルヴァニスタ王「バルーセル!なぜ・・・なぜこんな事を・・・・・お前は私の一番信頼する友であるお前が・・・」
バルーセル「・・・・・・・・・・その言葉の真意は・・・もう一人のゲストが来た時にお話いたしますよ。」
その時、空間の歪みの中に影が現れ、先程と同様にはっきりと見えていき、目の前に現れた。
???「ったたた・・・ここは・・・いったい・・・・・」
??「あ、あの・・・重いんだけど・・・」
バルーセル「おや?一人余計な者が混ざったようですねぇ。」
イグミス「レオ!ミアン!?」
空間の歪みから出たのは、ミゲールにいるはずのレオとミアンだった!
空間の歪みは、やや空中に浮いている為、先に落ちたレオをミアンが押し潰している形になっている。
ミアン「え!?えっ!?イグミスさん?!ミレアさん!?それにルミナさんもどうして!!?」
レオ「え!?ど、どうして・・・・・・う・・ミアン重いからそろそろどいて・・・」
ミアン「あ、ごめん・・・って!重いってどういう事よ!」
レオ「あ・・・いや・・・・その・・・!フォルスさん!間に合ったんですね!」
ミアン「え!?あ、あの・・・・フォル・・・!!・・・・・・・・フォルスさん・・・・ですよね・・・?」
ミアンはゼロの方を向いて話したが、ゼロの雰囲気の違いに戸惑ったようだ。
当然だ。ゼロはバルーセルに見せられた幻影に、我を見失っているからだ。
ゼロ「・・・・・・今の俺はゼロだ。」
ミアン「あ・・・・そうですね・・・・・ごめんなさい・・・」
レオ(あいかわらず・・・俺の前と、ゼロさんの前とだと態度が違うな・・・・当然か・・・好きな人の前だもんな・・・)
ミアン「あ、それでここはいったい・・・・・・私達ミゲールにいたはず・・・」
レオに嫉妬されている事を、一切気付いていないミアンは、育ての親であるイグミスに聞いた。
イグミス「・・・・・・・・ここは忍者の里の上空にあるバルーセルの空中城だ。」
レオ、ミアン「えっ!?」
イグミス「そしてあいつが・・・」
そう言ったイグミスは、バルーセルの方を見た。
バルーセル「一人余計な者が混ざりましたが、私が・・・」
レオ「お前がぁぁぁ!!」
バルーセルの言葉が言い終わる前に、レオが剣を抜いて斬りかかった!
バルーセル「無駄ですよ。」
レオが振りかざした剣は、BC(バリアクリスタル)のバリアーの力で、上に弾かれた!
レオ「くっ!紅蓮け!・・・があっ!」
レオは、紅蓮剣を使おうとして飛び上がったところを、BCの体当たりを腹部に食らい、元いた位置に弾き飛ばされた。
ミアン「レオッ!」
バルーセル「まったく・・・まだ話の途中だと言うのに・・・気の早い人ですねぇ。」
呆れ顔でレオを見ているバルーセルに、アルヴァニスタ王が話し掛けた。
アルヴァニスタ王「バルーセル・・・・・何故この者達を呼んだのだ・・・・・お前が関係ない人間をわざわざ巻き込むとは・・・」
バルーセル「関係はあります・・・・但し、彼女の方だけですけどねぇ。」
レオ「・・・・ミアンを・・・?」
ミアン「え・・・・私・・・?」
ミアンは、自分の事を思い出していったが、バルーセルとの接点は見つからなかった。
ミアン「そんなわけないわよ!私はあんたなんかと会った事なんて、一度もないわよ!」
バルーセル「・・・・・・・・・・・・・そうでしょう・・・・思い当たるはずがない・・・・何故なら最後に会ったのは、まだ物心が付く前ですから。」
バルーセルの言葉に、アルベイン家に住んでいる者達は、動揺を隠せない様子だ。
アルベイン家にいる、レオ、ミアン、ロウ、ミリエルの四人は孤児であり、クレス達との血の繋がりはない。
つまり、この四人は何らかの形で親の下から離れ、アルベイン家の世話になっている。
ロウとミリエルは、前に説明した(詳しくは第十一章に)ように孤児となり、アルベイン家に住んでいる。
レオは、十年程前に盗賊の襲撃に会い、両親を殺されて、アルベイン家の世話になっている。
だが、ミアンは、彼女が物心が付く前に、アルベイン家の前で泣いている所を、泣き声に気付いたクレス達が見つけた。
だから、ミアンのみ何故家の前で捨てられていたのか、親はいったい誰なのか、クレス達は必死にミアンの親を探したがわからなかったのだ。
そして、バルーセルが物心の付く前に、ミアンと会っていたと言う話が本当ならば、バルーセルがミアンの本当の両親と知り合いだったという事か、あるいは・・・
ミアン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
だが、ミアンがアルベイン家に住んでいる事を知っているという事は、おそらく・・・・
バルーセル「そう・・・・・お察しの通り・・・・・私はミアン・・・あなたの本当の父親です。」
ミアン「!!!!!」
レオ「嘘をつくな!!」
バルーセルの言葉にレオが食って掛かった!
レオ「そんな話!信じられるものか!証拠もないのに、お前の話なんか誰が信じるもんか!!」
ミアン「・・・・・・・レオ・・・」
ルミナ「そうよ!血は繋がってなくても、ミアンはあたしの大切な妹なんだから!!」
ミアン「ルミナさん・・・・・。」
バルーセル「・・・・・・・そうですねぇ・・・確かに証拠もなしに信じろと言う方が無理でしょう・・・では、証拠を見せましょう。」
バルーセルは、上着に隠れているベルトを見せた、そこにはペンダントが巻きついてあった。
バルーセルはそのペンダントのロケットの中身を見せた。
そこには、20歳くらいの女性が写っていた。
ミアン「!!!・・・・・・その人は・・・・・まさか・・・・・」
ミアンは、自身もしているペンダントに付いているロケットを見た。
その中には、まだおしめも取れていない赤ん坊と、バルーセルが見せた女性が写っていた!
アルヴァニスタ王「そ!その女性は!!?」
バルーセル「私の妻ですよ・・・・イルトも覚えているでしょう・・・・シェーンの事を。」
バルーセルはそう言ってアルヴァニスタ王を見た。
アルヴァニスタ王「そ・・・そんな馬鹿な・・・・本当に・・・本当にこの子がシェーンとお前の娘だと言うのか!!?」
バルーセル「覚えていましたか・・・・まぁ当たり前ですけどね・・・・・そうですよ。」
アルヴァニスタ王「・・・・・そんなはずはない・・・・彼女は・・・シェーンは30年も前に死んだはずだ!!」
レオ「何だって!?」
バルーセル「・・・・・何を言ってるんですか?・・・シェーンは生きていますよ?・・・・・・シェーン!」
????「はい・・・。」
女性の声がしたと同時に、バルーセルの背後に扉が現れ、中から先程ペンダントに入っていた女性と似ている・・・いや、まったく同じ容姿の女性が出てきた!?
シェーン「何か御用でしょうか?」
シェーンと呼ばれた女性は、バルーセルにお辞儀をした。
バルーセル「いや・・・お前を皆に紹介しようと思ってな。」
シェーン「左様で御座いますか・・・・・シェーン・・・と、申します・・・以後御見知りおきを。」
シェーンは、ゼロ達のいる方を向き、スカートの裾を持ち上げながら、お辞儀をした。
アルヴァニスタ王「・・・・・バルーセル!どのように似た容姿にの者を連れてこようとも、シェーンはもういないのだ!例えシェーンが生きていたとしても、私達と同じ歳のはずだ!」
そう、アルヴァニスタ王も、バルーセルも、年齢はすでに50は超えている。
だが、今目の前にいる女性はまだ20代を超えた位にしか見えない・・・それに、ミアンの母親にしても若すぎる。
ミアンは、すでにアルベイン家で15年以上育てている・・・例え25歳だとしても、10歳になるかならないかの時に産んだ計算になる・・・・・これはありえない。
バルーセル「・・・・・・ふぅ・・・・・・確かにシェーンは死にました・・・・ですが、生まれ変わったのです・・・・私が・・・・私が生まれ変わらせたのです!」
ルミナ「・・・・・生まれ・・・変わらせた・・・?・・・・・・・・まさか!」
アルヴァニスタ王「生き返らせたのか!シェーンを!!」
ゼロ「!」
バルーセル「・・・・生き返らせた?・・・・とんでもない・・・彼女は新しく生まれ変わったのですよ・・・約束どおり・・・私の妻として・・・ね。」
アルヴァニスタ王「妻だと・・・?・・・・シェーンは決断を出していたのか!?」
バルーセル「ええ・・・シェーンは生まれ変わる前に私に言ったんです・・・・シェーンはあなたではなく、私を選んだんですよ。」
ミレア「選んだって・・・・どういう事?」
アルヴァニスタ王「・・・・・・もう30年も前の話だ・・・・・・私とバルーセルは、シェーンと言う一人の女性に恋をした・・・私とバルーセルは互いに身分を隠し会っていた・・・シェーンの事はフェアに選んで欲しかったからだ。」
バルーセル「そう・・・そして私達は、あの日・・・・同時に二人でシェーンにプロポーズをしたんですよ・・・返事はいつまでも待つと言って・・・・」
アルヴァニスタ王「だが、彼女は死んだ・・・突如凶暴化した魔物がアルヴァニスタの城下町を襲い・・・一般人を含め死者7人、重軽傷者20人以上、そこで彼女は死んだ・・・・・・」
バルーセル「・・・・・・あの日・・・シェーンは私にプロポーズの返事を返し、その帰りに襲われた・・・・私はシェーンとの約束を守ってもらう為、あなたの補佐と、研究との二重生活の末、18年前・・・シェーンは生まれ変わったのです。」
ミアン「そして・・・・・私が産まれた・・・の?」
バルーセル「ええ・・・・・正真正銘、ミアン・・・・あなたは私とシェーンの娘です。」
ミアン「・・・・・・・・・・・」
レオ「ミアン・・・・・・。」
ミアンは自らの生い立ちを知り、動揺を隠せない・・・。
クレス「ならば・・・あのジェストーナやミントの母さんにアミィちゃんは・・・」
バルーセル「もちろん、私が生まれ変わらせた者達です。」
バルーセルが話した真実に、全員が怒りを露にした!
クレス「バルーセル!!!」
イグミス「父さん落ち着いて!」
剣を引き抜き、果敢にもバルーセル向かっていくクレスを、イグミスが抑えた!
クレス「イグミス!放せ!」
イグミス「落ち着いてください!怒っているのは父さんだけじゃないんですから!」
クレス「・・・・・・すまん・・・イグミス・・・」
イグミスは、クレスを抑えていた手を放した・・・そしてバルーセルはさらにこう続けた。
バルーセル「そして、私は誓ったのです・・・生まれ変わりはしましたが、シェーンを傷つけた罪で、この世界の人間を皆殺しにすると!!」
レオ「なっ・・・!?」
スタン「そんな理由で!!」
バルーセルのあまりにも理不尽な答えに、ルミナ達はさらに驚きと怒りを露にした・・・だが、怒りを露にした者は他にもいた。
バルーセル「そんな理由!?愛した者の為に復讐をして何が悪いのですか!?」
今までと打って変わったバルーセルの態度に、一同は驚き、そしてその言葉に戸惑った。
バルーセル「・・・私としたことが・・・熱くなりすぎました・・・では私の言葉を否定するのならば、フォルス・・・いえ、ゼロ君・・・が私に復讐をすることも同じでしょう。」
ルミナ「同じじゃないわ!あなたのしている事と、フォル・・・ゼロがする事は!」
バルーセル「いいえ、同じです・・・・復讐に変わりはありません。」
アーチェ「・・・・・・・さっきから黙って聞いてれば・・・」
チェスター「アーチェ!大丈夫なのか!?」
忘れている人もいるかもしれないが、アーチェは前々回に受けた精神攻撃で、悪夢を見せられていた。
そして、今やっと、その呪縛から逃れ、意識を取り戻したのだ!
バルーセル「おやおや・・・随分と遅いお目覚めで・・・ですが、その体では激しい戦闘は無理でしょう?」
アーチェの体は、脳に直接ダメージがくる精神攻撃を受けて、何とか立っている足も震えている!
アーチェ「ご心配なく・・・・・かつて冒険をしていたパーティーの中では、今あたしが一番元気だからね!」
バルーセル「そうですか・・・・・それは残念です。」
一見、会話だけを聞いていると、和やかな感じに聞こえるが、その場の空気は明らかに和んで入られないほど鋭く研ぎ澄まされている。
アーチェ「それに、あんたがフォルスと同じ?冗談じゃないの?!あんたのしている事は、八つ当たりでしかないのよ!」
バルーセル「・・・・・・・・・・・・ふぅ・・・何を言うかと思えば・・・・付き合いきれませんね。」
アーチェ「あたしも、そろそろ終わりにして欲しいと思ってた所よ・・・。」
二人の会話が終わった時、ルミナ達は既に陣形を整え、いつでも戦闘態勢に入れるようになっていた。
一方バルーセルも、シェーンを出てきた扉の中に帰し、閉まった扉は跡形もなく消えた。
イグミス「レオ、ミアン、お前達は下がっていろ・・・」
レオ「何でですか!?俺だってミアンだって少しくらい戦え・・・」
イグミス「甘ったれるな!」
普段は温和で滅多に怒らないイグミスが、二人を一喝した!
イグミス「・・・・・・これは道場でやっている稽古じゃない・・・・そしてこの状況ではあまりカバーしてやれない・・・・解るな?」
レオ、ミアン「・・・・・・・・はい・・・。」
イグミス「よし・・・・二人はお互いをカバーし合いながら守って欲しい・・・・・・これは重大な任務だ・・・頼むぞ。」
レオ、ミアン「はいッ!」
イグミスと話が終わり、自分たちがするべき事に気付いた二人に、ルーティが近づいてきた。
ルーティ「・・・・・いい・・・間違ってもあいつに攻撃を仕掛けちゃダメよ・・・・狂言かもしれないけど、父親と戦うなんて事、なっちゃいけないんだから。」
スタン「ルーティ・・・・・。」
ヒューゴ「・・・・・・・・・・・・」
ルーティ「話は済んだわ!そろそろ行くわよ!」
そしてルーティが元の位置に戻った時、バルーセルが何かを思い付いたように再び話し出した。
バルーセル「・・・そうです、戦闘に入る前にゼロ君・・・君に話があったんですよ。」
アーチェ「あんたさっき付き合いきれないって言わなかった?」
アーチェは、やや挑発気味にバルーセルを見ながらゼロに代わって答えた・・・他も者達もアーチェの言葉に賛成している。
バルーセル「私はあなたとの会話に付き合いきれないと、いうつもりで言いましたが・・・・言い方に問題があるなら訂正しますよ?」
バルーセルの言葉にアーチェは少し悔しそうだ。
ゼロ「・・・・・俺はお前に話すことはない。」
バルーセル「私にはあります・・・・まずこれを見てください。」
バルーセルが指をパチンと鳴らすと、バルーセルの隣に3メートル以上もある巨大な機械が現れた。
その機械は、細長い円柱のガラスの周りに、何本もの管に繋がれて、色とりどりのボタンや様々な文字や数字が出ているモニターなど数え切れないほどの機械が集まっている。
バルーセル「これが、私の開発した魔科学装置「転生回帰」です。」
バルーセルの言葉に、その場にいる全ての者が驚いた!・・・だが、驚くべき所は二つ合った!
ミレア「魔科学!?」
バルーセル「ええ、そうですよ。」
アルヴァニスタ王「魔科学はマナを枯渇させる原因として禁止されたはずだ!!」
魔科学・・・かつてミッドガルズで行なわれていた研究で、魔術と科学技術を融合させる事により、人間でも魔術を使えるようにする為の研究だ。
だが、ダオスとの戦いで発揮された魔科学兵器の威力は凄まじく、魔術の発動に必要なマナというエネルギーを大量に使ってしまった。
その為、マナを生成する世界樹ユグドラシルが、自身を維持するためのマナをも吸い取ってしまい、クレスがいた時代では枯れていた。
バルーセル「確かにそうですが、魔科学でないと出力が足りなかったので・・・。」
魔科学や、ユグドラシルといったものをよく知らないスタン達も話の内容で大変な事である事は理解した。
ゼロ「・・・・・・それが俺と何の関係がある。」
バルーセル「それはですねぇ・・・・・私の下に仕えてもらおうと思いましてね。」
バルーセルの話に、男性が何!?女性何ですって!?とつい言葉を漏らしてしまった。
ゼロ「断る。」
当然そんな言葉が通るはずもなく、ゼロは一言でバルーセルに断った。
バルーセル「勿論ただでとは言いません・・・・・・・藤林すず・・・を生まれ変わらせると言うのはどうでしょう?」
ゼロ「なにっ!?」
バルーセル「どうでしょうか?どうせならあなた好みの性格にしておきましょうか?強制ではないですからすぐに適応してくれるでしょう。」
イグミス「騙されるなフォルス!その男が約束を守るはずがない!!」
アーチェ「そうよ!それに本当に生き返らせられるかどうかわかんないじゃない!!」
フィリア「それに!人の性格を変えるなんて!神への冒涜です!!」
ベル「ゼロさん!」
ゼロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
バルーセル「・・・・・・・そうですねぇ・・・・では、この装置が完全である証拠を見せましょう。」
そう言って、バルーセルがまた指を鳴らすと、シェーンが現れたと扉の色違いの扉が現れた。
バルーセル「さあ・・・・・出てきなさい・・・・・・この装置で生まれ変わらせた中で最強の人間よ・・・。」
そして、扉はゆっくりと開き始め、中にいる者の姿を徐々に見せていき、やがて完全に開いた。
????「・・・・・・アーチェ!何故アーチェがここに!?」
ベル「!!」
クレス「!!!・・・・・そ・・・・その声・・・・その体・・・・ま・・・まさか・・・・・」
ミント「そ・・・・そんな・・・・」
扉から出てきた者は、銀色の髪を帽子に隠し、髪と同じ色の目をし、首と腰、そして手首足首に鳴子を付け、体中に奇妙な模様のペインティングを施していた。
チェスター「嘘だ・・・・生きているはずがない・・・・・しかもアーチェが葬式に出たはず・・・・」
????「まさか!その三人の老人はクレスとミントとチェスターか!?」
アーチェ「・・・・・・クラース・・・」
クラース=F=レスター・・・言わずと知れた世界で始めて精霊との契約に成功した召喚術師。
かつてクレス達と共に旅をし、一番の年長者として、常に冷静に物事を把握していた人物だ。
だが、彼は自分のいた時空・・・クレス達より100年以上前に戻り、それから150年以上経っている・・・
バルーセル「どうです?これで否定出来ますか?約80年前に死んだ者です!・・・しかも、年齢は冒険をしていた時のまま!」
バルーセルは、思いがけない人物の出現に困惑している一同を見て、満足そうに笑った。
ゼロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ミレア「フォルス?」
ウッドロウ「ゼロ君?」
ベル「ゼロさん?」
ゼロは、バルーセルに向かって刃を向けながら、真っ直ぐに歩いていった。
ゼロは、バルーセルまで後2メートルの所で止まり、身を翻しルミナ達に向かって二本の刃を向けた!
ルミナ「フォルス!?」
ベル「ゼロさん!!」
ゼロ「・・・・・・俺は・・・すずを・・・・すずが・・・また動き・・・話し・・・笑い・・・・・・そうなって欲しい・・・もしそれが叶うなら・・・・俺は喜んで悪魔にでも魂を売る!」
ゼロが出した結論に、味方の全ての者が凍りついた!
バルーセル「はっはっはっはっは!自分が愛した者の為にどんな事でもする・・・何と美しい事でしょう!・・・さあ!そいつらを殺しなさい!」
ゼロ「・・・・・・了解。」
ゼロは一直線にルミナ達に向かって突っ込んできた!
だが、その中からオスロンが飛び出し、ゼロの剣を拳に付いているグラブで防いだ!
オスロン「・・・・・ゼロ・・・それがお前の出した答えか。」
ゼロ「・・・・・・ああ。」
オスロン「・・・・・・・・・・みなさんは魔物を引き付けて下さい・・・・・・・・ゼロは私が倒します。」
ルミナ「オスロン!!!」
オスロン「・・・・・・ゼロ・・・私はお前の実力を知っている・・・だから手加減は出来ない・・・ここで引かなければ・・・・私かゼロ・・・どちらかが必ず死ぬ!」
ゼロ「・・・・・俺は・・・すずを生き返らせるため・・・・負けられない!」
ルミナ「オスロン!!!」
ベル「ゼロさん!!」
エミリオ「行くな!!」
ルミナとベルが、二人の戦いを止めようと飛び出そうとしたのを、エミリオが止めた。
ルミナ「通して!でないと・・・・でないと二人が!!」
エミリオ「・・・・・・・・今行った所で止める事は出来ない・・・・僕達に出来る事は二人の邪魔をさせないようにするだけだ。」
ルミナ「何で!どうして!?どうして味方同士が戦わなきゃいけないの!!?」
エミリオ「・・・・・・・守るべき者のため・・・救いたい者のため・・・それを守るために二人は戦っているんだ・・・」
スタン「・・・・・・・リ・・・・エミリオ・・・・。」
ルミナ「そんなの・・・そんなの間違ってる・・・・絶対に間違ってるよ・・・・・・」
ベル「・・・・・・ゼロさん・・・」
かつて・・・・母星を守るために様々な者を葬ってきたダオスの心を受け継ぐ者オスロン。
そして・・・・・かつてそのダオスを倒した者の血を継ぐ者、フォルス・・・・。
皮肉な運命の為、かつてとは正反対の立場となった二人は、今・・・・お互いが認め合った力をぶつけ合うのだった・・・・・。
次回 第二十章 べる・NO・ショウタイに続く・・・
どうも、本当にお久しぶりの作者、緋色の龍です。
ついにすず・OF・フューチャーも第十九章を終わり、二十章に入ります。
ミクトランから開放されたヒューゴとハロルド、バルーセルの目的、ミアンの出生の秘密、蘇ったクラース、そしてゼロの裏切り・・・この章は非常に濃い内容になっていると思います。
さて、次回はべる・NO・ショウタイですが、ついにベルの正体が明らかになる!さらに、ゼロとオスロンの戦いの行方は!などなど・・・
あ、それと、次回にはおまけがつきます(予定)・・・次に書く長編の投稿小説を少しだけ御見せしちゃう予定です、お楽しみに。
さて、最後に感想をお持ちしております・・・もし、ご意見やご感想、ご質問のある方、多少辛口のコメントでもいい(あんまりキツイのはちょっと・・・)ですから、よろしくお願いします。
それでは、PS2版シンフォニアと、PS2ででると言う新作のテイルズオブリバースを楽しみにしている作者でした・・・では、また。