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すず・OF・フューチャー【20】


          すず・OF・フューチャー

クラース「おはよう、諸君・・・今回は私、クラース=F=レスターがあらすじの説明をしよう・・・と、その前に、輝かしい私の功績を諸君らに説明しよう・・・まず召喚術を・・・」
ミラルド「あら、一人で説明をしようと思ったの?」
クラース「!!ミ、ミラルド!?なぜここに!?」
ミラルド「あら、知らないの?あらすじを説明するのは二人以上が原則なのよ。(この小説ではね♪)」
クラース「そ、そうか・・・。」
ミラルド「それに、クラースだとまず自分の自慢から始めそうで・・・」
クラース「(ギクッ)わ、私がこの場にいるのは、あらすじの説明をする為で、それを怠るような・・・」
ミラルド「そうねぇ・・・あなたなら説明出来ると、任されたんだから、きちんと説明だけを出来るわよね。」
クラース「も、もちろんだ・・・・説明だけを・・・!・・・・しまった!」
ミラルド「♪~・・・さ、あらすじの説明をしましょ。」
クラース「・・・・・・・・はぁ・・・・・バルーセルの城に乗り込んだ、ルミナ、オスロン、イグミス、ミレア、クレス、ミント、チェスター、アーチェは、バルーセルとの戦いの途中、藤林すずの復讐の為に来ていたゼロと、記憶喪失の少女、ベルと再会した。」
ミラルド「そして、オスロンはバルーセルとの戦いに、異世界の英雄の、スタン、ルーティ、ウッドロウ、フィリア、エミリオ、ヒューゴの六人の召喚に成功しました。」
クラース「バルーセルは、ミゲールにいたレオとミアンの二人と、アルヴァニスタ王を呼び、ミアンの親が自分と、30年前に死んだシェーンという女性の子供と言った。」
ミラルド「そして、バルーセルはクラースを生き返らせ、藤林すずを生き返らせる代わりにゼロに仲間になれと言って来たの。」
クラース「ゼロはすずを生き返らせる為、バルーセルの軍門に入り、オスロンと戦うのだった・・・。」
ミラルド「・・・・こんな所ね・・・後はクラースに任せてもいいわね・・・では、皆さんまた会いましょうね。」
クラース「・・・・・・・・・・・ミラルドのせいで何一つ言えなかった・・・・・よし・・・今度こそのせられない様にしなければ・・・。」
ミラルド「クラース!いつまでやってるの?あなたが二人で一緒に帰ろうって言ったんでしょ!」
クラース「こ、こらっ!叫ぶな!今行く!・・・・わ、私は所用があるので失礼する!では、本編を見てくれ!」
ミラルド「クラーーースッ!!」
クラース「い、今行くと言っている!」

        第二十章 べる・NO・ショウタイ

ゼロ「はああああぁぁぁッ!!」
オスロン「うおおおおぉぉぉッ!!」
声を出し、気合を込めた二人は、お互いのけん(拳と剣)を使い、防ぎつつ攻撃を繰り出す!
ゼロ「魔神剣!・・・はっ!はっ!虎牙破斬!」
オスロン「甘い!・・・くっ!はっ!コレダークラッシュ!」
オスロンは、ゼロが放った衝撃波を避け、斬りと突きを弾き、上下の斬撃を半円型の衝撃波でゼロごと弾き飛ばした!
ゼロ「くっ!はあぁッ!!」
ゼロは、着地と同時に飛び出し、再度攻撃を繰り出す!
オスロン「ぐっ!がぁッ!!負けるかぁぁぁぁ!!!」
激しい攻撃の応酬を二人は、弾き、あるいは避け、またあるいは受け・・・一瞬でも気を抜けばその瞬間にやられる様な戦いを、二人は続けている。
ルミナ「オスロン!オスロンッ!!フォルス!フォルスもやめてッ!!」
ルミナは、何とか二人の戦いを止めさせようと必死に叫ぶが、二人の耳にはお互いの武器が接触し発せられる音と、相手の息づかいや鼓動しか届かない・・・
ルミナ「もう止めてッ!!お願いだからッ!!どうして二人が戦わなくちゃいけないのッ!!何で!何でなのよッ!!!」
ベル「落ち着いて下さい!深呼吸して、まずは冷静に・・・」
ルミナ「落ち着いてなんて居られる訳ないでしょッ!!私の大切な人同士が戦っているのよッ!!止めなくちゃいけないのよッ!!!」
ゼロとオスロンに向かって走り出すルミナを、ベルは必死になって抑える!
ルミナ「放してッ!放してったら!!」
ベル「放せません!そんな状態で二人のところに行ったら、オスロンさんが死んじゃいますッ!!」
ベルの言葉にルミナは瞬間的に驚き、ベルの方を向き大きく目を見開いた。
もし、ルミナが飛び出して二人の所に行っていたら、まだ冷静な判断が出来るオスロンが気付き、守ろうとしてやられる可能性がある・・・下手したらルミナも一緒に・・・
ベル「落ち着いて下さい・・・考えましょう・・・・どうすれば二人を助けられるかを・・・・・」
ルミナ「あ・・・・・・」
ルミナは気付いた・・・ベルは・・・いや、ベルも心配している事を・・・・・そしてその相手はおそらく・・・
ルミナ「・・・・・ごめんなさい・・・ベル・・・一緒に頑張りましょう・・・ね。」
ベル「はい・・・。」
ベルは、少し照れくさそうにしながら、ルミナに返事をした。
ルミナ「・・・で、どうやって止めればいいと思う?」
ベル「・・・・・・二人の戦いを物理的に止めるのは無理でしょう・・・」
ベルの言うとおり、お互いに接近しながら移動している二人の戦いに、魔術などで援護する事も出来ない。
ルミナ「じゃあどうすれば・・・」
ベル「・・・・・バルーセルを倒せれば・・・」
ルミナ「そうか!フォルスはバルーセルの命令で動いてるから!」
ベル「・・・ですが・・・私達二人では、バルーセルは倒せません・・・・・」
そう・・・バルーセルとは、十八章でゼロ、ベル、エミリオの三人がかりで戦ったが、決着には至らなかった・・・
また、敵の数はそのままだが、こちらの戦力としての数(レオ、ミアン、アルヴァニスタ王は戦力外)は一人増えて、二人減っている。
ルミナ「・・・・・・・・・・・そっか・・・・。」
ヒューゴ「なら、私が相手をしよう。」
ベル、ルミナ「ヒューゴさん!」
ヒューゴは、事態を観戦しているバルーセルの所へ近づいていった。
バルーセル「ほぅ・・・・あなたが相手ですか・・・・・ですが、私をあなた一人で倒せると思いますか?」
ヒューゴ「・・・いや・・・・私は何故、あなたが実の子を捨てたのか・・・・その意味を聞きたい・・・。」
かつてヒューゴは、ベルセリオスのコアに乗り移ったミクトランに操られ、実の子であるルーティを捨てた・・・いや、正確に言えばそして殺せと言った。
だがヒューゴの妻で、エミリオとルーティの母、クリスがヒューゴの目的を知り、ルーティをクレスタの孤児院に、ソーディアンアトワイトと共に預けた。
バルーセル「ほぅ・・・なぜ私がミアンを捨てたか・・・・・決まってるじゃないですか・・・邪魔だからですよ。」
ベル「なっ・・・!」
ルミナ「なんですって!?」
ヒューゴ「・・・・・・・やはり・・・そうか・・・」
ベルとルミナは、始めからバルーセルの言葉を予想していたようなヒューゴの方を、一瞬向いた後、再びバルーセルを見た。
ルミナ「・・・・・邪魔だから・・・捨てた?・・・・ふざけんじゃないわよ!!そんな理由で!人を何だと思ってんのよ!!」
バルーセル「駒・・・・・では、御不満ですか?」
ルミナはバルーセルの目を、そのブラウン瞳でキッと睨み付けた。
ヒューゴ「・・・・・・・・・もう一つ・・・それは・・・本当の本心からの事ですか・・・?」
バルーセル「・・・・・・・もちろんです・・・・それが偽りなら捨てたりはしていなかったはずですけどね。」
ヒューゴの問いに、バルーセルは一呼吸置いて、淡々と話した。
ヒューゴ「・・・・・・・・・・・・・・・」
バルーセル「それで、話はそれだけですか?」
ヒューゴ「・・・・・・・・・私には・・・その言葉を否定する資格はない・・・。」
ルミナ「・・・え?」
バルーセル「ほぅ・・・」
ヒューゴ「・・・・・だが、資格は無くとも、今の私は否定させてもらう!」
他の仲間達が、先程と同じ敵と戦っている中を、ヒューゴもベルセリオスを構え、バルーセルに向かって振りかざした!
バルーセル「甘いですよ!」
ヒューゴの攻撃に対してBC(バリアクリスタル)は、瞬時に反応して、バルーセルに対する攻撃を弾き返した!
体ごと後方に弾き飛ばされたヒューゴは、体を回転させ、着地に成功した。
ヒューゴ(バリアか!・・・・ならば、攻撃を一点に威力を集中させて崩す!)
着地してすぐに、ヒューゴはバルーセルに向かって走り出ながら剣を構えた!
ヒューゴ「空襲剣ッ!!」
ヒューゴは、低姿勢から高速で移動し、前進する力を合わせて、バルーセルに強力な突きを繰り出した!
しかし、BCに阻まれ、元々この後後方に飛び上がる技が、さらに遠くに弾き飛ばされた!
バルーセル「そこです!エクスプロード!!」
ルミナ「!避けて下さい!!」
バルーセルが唱えた呪文は、ヒューゴの頭上に圧縮された火玉が、今にも膨張し爆発しそうになりながら落ちてくる!
ヒューゴ「ミスティックシャドウ!」
ヒューゴがそう言ったと同時に、凄まじい爆発のエネルギーがヒューゴの周りに広がった!
ルミナ「あ・・・・そんな・・・・」
ベル「この・・・・爆発では・・・・」
ギリギリエクスプロードの攻撃範囲の外にいたルミナとベルは、その威力からヒューゴの生存を絶望視した。
バルーセル「・・・・・・口ほどにも無い相手でしたねぇ・・・・さて、次の相手はあなた達二人ですか?」
バルーセルは、そう言ってルミナとベルの方を見た。
ベルとルミナは、険しい顔でバルーセルを睨み返した。
ヒューゴ「残念ながら、私はまだ死んでいません。」
その声に驚いて、もうもうと煙が漂う爆心地を見た三人は、その中に無傷で立っているヒューゴを見た。
バルーセル「・・・・・なるほど・・・どうやら私はあなたを過小評価したようですね・・・。」
バルーセルは、再度呪文の詠唱を始めた!
ルミナ「ベルッ!私達も援護するわよ!」
ルミナは、バルーセルに向かって狙いを定めた。
ベル「待ってください!」
ルミナ「えっ?」
ベル「私達は・・・・・・・・・クラースさんと戦いましょう・・・・・。」
ルミナ「ええッ!?そ、それってどういう事!!?」
ベル「・・・・・・今クラースさんは、攻撃に参加していません・・・・ですから・・・ですからクラースさんを・・・」
ルミナ「ダ、ダメよッ!あの人はダオスを倒・・・・・お爺ちゃん達と一緒に旅した仲間なのよ!?」
ベル「だから・・・・・・です・・・・・強力な力を持っています・・・・・・それに・・・・おそらくクラースさんも・・・・安らかな眠りを・・・・望んでいるはず・・・・・。」
ベルは、悲しげな表情を浮かべながら、ルミナに話した。
ルミナ「だからって!・・・・・お爺ちゃん達の恩人みたいな人を・・・・殺す・・・なんて・・・・・」
ベル「・・・・・・・殺すんじゃないです・・・・救うんです・・・・今あの人を救えるのは・・・・私達二人だけなんですから・・・・。」
ルミナ「・・・・・・・・・・私には無理よ・・・・あなたみたいに・・・・そんな風に割り切るなんて・・・・。」
ベルは必死にルミナを説得しているが、ルミナはどうしても非情になりきれないようだ。
だが、実際この場でお互いの勢力が互角に見えるのは、クラース、ベル、ルミナの三人が戦闘を行なっていないからだ。
もし、ベルとルミナがバルーセルを攻撃すると、おそらくクラースがバルーセルを、その強力な召喚術で援護に付くだろう。
バルーセル「・・・・・・・そろそろ飽きてきましたね・・・さっさと終わらせて、二人の戦いを観戦させてもらいますか・・・・・クラース!援護を!」
クラース「やめろッ!これ以上私を苦しめないでくれッ!!避けろッ!シルフッ!!」
クラースの言葉とは裏腹に、無情にも風の精霊が作り出した竜巻が、ヒューゴを側面から襲う!
ルミナ「させない!ストームッ!」
突風と共に飛ばされてきた石がシルフの作り出した竜巻に直撃し、軌道を変えて、ヒューゴの方から逸れて行った。
ベル「あなたの相手は私です。」
ベルはクラースの懐に潜り込み、手に装備した爪で攻撃を仕掛けた!
だが、クラースは左手に付けている指輪から半透明の盾が現れ、ベルの攻撃を防いだ!
クラースが装備していたのはリングシールドといって、掲げると半透明の魔法の盾が現れる盾である。
ベル「くっ!」
バルーセル「!・・・クラース!先にその二人を殺しなさい!!」
クラース「!・・・避けるんだッ!イフリートッ!」
ベルの前に突如として体中を炎に包まれた精霊、イフリートが表れ、掲げた手から無数の火球を飛ばしてきた!
ルミナ「ベルッ!だめッ!詠唱が間に合わないッ!!」
ベル「当たらない!」
次々と自分の方に飛んで来る火球を、ベルは一つ一つ軌道を見切って、遂に全ての火球を避けきった。
ルミナ「す、すごい・・・あれだけの数を全部かわした・・・・・。」
クラース「・・・・・・・・・今の動き・・・・・まさか彼女はッ!」
ベル(・・・・・・・・・あの人は・・・・私が守る!・・・・それが・・・・・あの時言われた事の・・・・・私の答えだから!!)
クラースがベルの動きで何かに気付いた時、ゼロとの戦いでオスロンが圧されていた。

オスロン「があっ!」
ゼロと戦っているオスロンは、ゼロの斬撃・・・と言うより、受ける度にオスロンはダメージを受けていった。
ゼロが使うフランヴェルジュとヴォーパルソードは、それぞれ炎の剣と氷の剣である為、グラブで受けているオスロンの手は、右が凍傷、左が火傷に陥っている。
聞いているだけで痛々しいのだが、オスロンはその激痛に耐えながら、戦っている。
オスロン「まだこんな事を続けるのか!たとえ彼女を生き返らせたとしても、それは既に彼女ではない!!」
オスロンは状況が不利と見て、攻撃しながらゼロを説得する事にした。
それに、説得に成功するのが一番いい決着の付き方である。
ゼロ「!・・・お前に何がわかるッ!自分が一番愛しい人がッ!自分が一番生きて欲しい人がッ!今戻ってきてくれるんだッ!!」
ゼロの話しながらの攻撃を、オスロンがかわした・・・どうやらゼロの剣閃が鈍くなっているようだ。
オスロン「言った筈だ!それは既に彼女ではないとッ!それに、生き返らせる為の結果で、多くの人間やエルフが殺されるんだぞッ!」
ゼロ「!!・・・それが何だッ!今の俺にとってすずの命が一番大事なんだッ!魔神剣・大蛇(おろち)!!」
ゼロが放った剣圧による八つの衝撃波は、前方八方向へとび大きく弧を描いて、全てがオスロンへと向かって行った!
オスロン「私は一番愛しい人が死んだ事はない!」
ルミナ「!」
オスロンの言葉を聞いたのではなく、なんとなく感じたルミナが、オスロンとゼロの方を見た。
ルミナ「・・・オスロン・・・・・!集中しなきゃ!」
が、すぐに自分があのクラースと戦っている事を思い出し、元の方を向き直した。
オスロン「だが、自分が多くの命を犠牲にして生き返ったと聞いて!彼女が喜ぶと思うのかッ!!コレダークラッシュ!!」
ゼロ「!!!」
オスロンが発生させた、半円状の衝撃波は、ゼロの攻撃を全てを消滅させた。
ゼロ「・・・・・・・・・・・・・・だが・・・・だがそれでも・・・・・・俺は・・・・・・・俺はッ!」
言葉と同時に、オスロンに向かってゼロは走り出した!
また、ゼロが走り出したとほぼ同時に、オスロンも走り出した!
お互いの方へ走り出した二人は、自らの武器に力を込め、この攻撃を最後の攻撃とする勢いだ!!
ゼロ(すず・・・すず・・・・・・すず・・すず・・すず・・・・・すずッ!!)
ゼロの頭の中ではすずが、笑い、あるいは悲しみ、またあるいは喜び、恥ずかしがり・・・そんなすずがゼロの頭の中を駆け回っていた。
すず(ゼロさん・・・。)
ゼロ「!!!!」
ゼロの頭の中で、すずが振り向きざまに、ゼロに向かってそう呼んだ・・・。
ゼロ「はああああああぁぁぁぁぁッッ!!!」
オスロン「うおおおおおおぉぉぉぉぉッッ!!!」
そして、二人は自らの手に闘気や魔力を集中させ、最大まで蓄積させて技を放った!
オスロン「イレイザー!!」
ゼロ「獅子閃空破!!」
オスロンが放った巨大なレーザーと、ゼロが使った獅子の形の闘気と地面から吹き上がるような闘気が放たれた。
だが、二人の攻撃がお互いへ向かう事はなく、ヒューゴと戦っているバルーセルに向かって行った!
バルーセル「その程度の攻撃など・・・・・・なにっ!?」
バルーセルは、ゼロとオスロンの攻撃を、BCを前方に集結させる事によって防いだ。
バルーセル「何をしているのですかッ!藤林すずを生き返らせたくはないのですかッ!」
ゼロ「・・・・・・・・・・・・・」
バルーセルに言われた事を、黙って目をつぶって聞いたゼロは、少し経ってから話し出した。
ゼロ「・・・・・俺は・・・・俺はありのままのすずが好きなんだ・・・・・すずという存在を捻じ曲げてまで・・・生き返らせたくは・・・ない・・・・・。」
こう言ったゼロだったが、まだ迷っているのか、芯はしっかり言っているものの、言葉に力強さがあまり感じられなかった。
バルーセル「では、まさか!あの戦いは演技だったと言うのですかッ!」
そう、ゼロとオスロンは今まで一瞬の気も許す事が出来ないような、壮絶な戦いを繰り広げていた。
明らかにそれは演技というレベルを遥かに超えており、俄仕込み(にわかじこみ)どころか、かなり前から練習していたとしても常人には絶対に無理な動きだった。
オスロン「・・・あの戦いが、演技出来る人間はいない。」
バルーセル「ならば、なぜ相手が自分に攻撃せず、私を攻撃するのをわかったんですか!?」
ゼロ「・・・・・・わかりはしない・・・俺は、オスロンに攻撃される覚悟で・・・・・お前を狙った・・・。」
オスロン「私もだ・・・あの状況で私が攻撃したところで競り負ける・・・だからせめてダメージだけでも与えようと思ったからだ。」
ゼロ「俺は・・・オスロンが言っている事が・・・・・正しいと思ったから・・・そして・・・俺はすずの為にここに来た!」
ルミナ「フォ・・・ゼロ・・・」
ベル「ゼロさん・・・。」
ゼロとオスロンは、武器をバルーセルの方に向けた・・・そして、その表情には、すでに迷いはない。
バルーセル「くっ!・・・・・・・・・・ふっ・・・いいでしょう、そろそろ本気を出しますか!さあ!三人まとめてお相手いたしましょう!」
ルミナ「待って!私が戦うッ!」
オスロン「ルミナさん!」
突然ルミナがクラースとの戦いを放棄し、ゼロ達の所へ駆け出してきた!
ベル「!私も戦います!すみません、足止めをお願いします!」
ゼロ「ベル!」
ベルは、ヒューゴの顔を見て一言頼み、ゼロ達の所へ走ってきた。
ヒューゴ「わかった。」
ベルと入れ代わりにヒューゴは、クラースの前に立ちはだかった。
ヒューゴ「残念だが、ここから先は通せないのだ。」
クラース「・・・・・・私を・・・・・止めてくれ・・・。」
ヒューゴ「!!」
その時ヒューゴは、ミクトランが利用する為に生き返らせたリオンが、クラースと重なって見えた。
ヒューゴ「・・・・・・わかった。」

ヒューゴがクラースと話している頃、ゼロ達とバルーセルはすでに戦いを始めていた。
オスロン「ゼロ!ベルと二人で左右から攻撃!ルミナさんは後方から援護!私は正面から行く!」
ゼロ「了解!」
ベル「はい!」
ルミナ「わかったわ!」
オスロンが指示を出し、それに従ってフォーメーションを組んで戦うゼロ達に、次第にバルーセルは押されていった。
バルーセル「・・・・・・・・・・・・ふっ・・・」
だが、バルーセルの表情は、余裕に満ちていた。
オスロン(・・・・・・なんだ・・・あの表情は・・・この状況で余裕だと・・・!・・・集中しなければ!)
ゼロ達の猛攻に対し、バルーセルは遂に壁際まで追い込まれた。
バルーセル「・・・・・・・・そろそろですか・・・・行きなさい!」
バルーセルが腕を前に出した時、オスロンの左右からBCが二つ、体当たりを仕掛けてきた!
オスロン「な、なにッ!ぐあッ!」
ルミナ「オスロンッ!!」
オスロンは、両方のわき腹にBCの体当たりを受けて膝を付き、ルミナがオスロンの元へ駆け寄る。
ゼロ「ベル!一気に壊すぞ!」
ベル「はい!」
ゼロとベルは、新しく現れたBCの一つに狙いを定め、左右からBCに攻撃を仕掛けた!
しかし、新しく出現したBCは、自分の全ての部分にバリアを張り、二人の攻撃を弾いた!
ゼロ「くっ!後ろ側にもバリアが張れるのか!」
バルーセル「ふっ・・・・・この二つのBCは、先程壊されたBCが復元した物です。」
オスロン「・・・くっ・・・・復元・・・だと・・・?」
オスロンは、苦しそうに声を出しながら、ゆっくりと立ち上がった。
バルーセル「そう・・・復元です・・・これは、自己修復機能と自己欠陥改善機能を備えた魔科学兵器です。」
ルミナ「魔科学兵器!?」
バルーセル「そう・・・これこそ魔科学兵器の粋を集めた・・・まさに結晶と言うわけです。」
ゼロ「ベル!強力な攻撃で一気に壊すぞッ!」
ベル「はいッ!」
ゼロとベルは、自らの武器に力を込めながら、新しいBCに向かって走り出した!
バルーセル「・・・そして、これは新しく備わった技術を主の脳に直接伝える事が出来るんですよ。」
バルーセルが、両手を叩いたと同時に、BCのバリアーが前面に収束され、光ったと同時に光線となって発射された!
ゼロとベルは、左右に跳んで攻撃を回避した、しかし、避けたゼロの目の前には、手に魔力を集結させていろ、バルーセルが!
ベル「ゼロさんッ!!」
ゼロ「(この位置でこの威力は避けきれない!)ならば!せめて相打ちにッ!!」
ゼロは着地した態勢のまま、バルーセルに向かって持ってた二つの剣を投げた!
バルーセル「無駄ですよ・・・喰らいなさい!エネルギーバスター!」
バルーセルが、発動させた魔法は、ゼロの体を簡単に覆い尽くすくらいに大きく、その反動でバルーセルは後ろに跳び、ゼロが投げた剣を避けた!
ゼロ「!!く、くそおおぉぉぉッ!!」
バルーセルの魔法の射線軸にはゼロ一人・・・魔法がゼロの目の前に迫ってくる!
ルミナ「ゼローーッ!!」
ゼロ(・・・・・・すまないすず・・・・・・・仇・・・・とれなかった・・・・。)
ゼロが覚悟を決めたその時、何か黒い物がゼロの視界を遮り、直後、ゼロは自分の足が地面から離れている事に気付いた。
ゼロ「え・・・・?」
状況を理解できていないゼロは、辺りを見回した。
そして、ようやく自分が空中にいる事、そしてバルーセルの魔法を避けた事、そして自分の体が「く」の字に曲がり、誰かにかつがれている事に気付いた。
ゼロ(いったい・・・誰が・・・)
ゼロは、その者の顔を見た・・・
ゼロ「ベ、ベルッ!?」
魔法が当たったのか、ベルが上から羽織っている黒いローブの後ろの部分が無くなっている。
ベル「忍法!曼珠沙華!!」
バルーセル「なにっ!?」
ベルはゼロをかついだまま、空中で体を回転させ、炎を纏った手裏剣を投げた!?
手裏剣はBCに弾かれその場に落ちた・・・刃が四つある、四の字手裏剣という一般的な手裏剣だ。
ゼロをかついでいたベルは、地面に着地し、肩にかついでいたゼロを下ろした。
ベル「・・・私はまだ死ねません・・・・あなたの事を止めるまで・・・。」
ベルは、髪の中に隠してあった髪止めをを外すと、輝くような金色の髪を掴むと、それがベルの頭から外れ、中から短いが茶色の髪が見える。
次にベルは、両目の中に指を入れ、眼球の部分に触り、左右にずらすと青い眼がずれ、その下から髪と同じ茶色の眼球が見えた。
ベルは、頭に金髪のカツラを、眼にはカラーコンタクトを付けていた。
さらにベルは、ローブを脱いで、その下にある服の肩を掴み引っ張ると、ベルはいつの間にか忍び装束を着ていた!
ゼロ「あ・・・あ・・・・・ああ・・・・・」
茶色の眼と髪、曼珠沙華を使い、忍び装束を着たベル・・・それは、髪の長さの違い意外は、あの少女に瓜二つだ・・・。
ゼロ達が戦っている場所の様子がおかしいのに気付いた味方と魔物達は戦いを一時止めていた。
ミレア「え・・・・あれって・・・」
アーチェ「うそ・・・嘘でしょ・・・」
クラース「やはり・・・そうだったのか・・・・・」
スタン達は気付かなかったが、その他の者は全員この事態に気付いた。
ルミナ「・・・・・そんな・・・なんで・・・・・・・」
オスロン「・・・髪形が違う・・・だが・・・それを除けば・・・」
ベル「・・・・・・今まで隠していてすみません・・・出来る限り気付かれないようにしたかったので・・・。」
そう・・・記憶喪失というのは嘘で、ベルは以前・・・いや、一週間ほど前まではもっと髪は長かった。
バルーセル「・・・・私は生き返らせてはいない・・・・お前は・・・死んだはずだ!」
そして・・・ベルの本当の名は・・・
ゼロ「す・・・・・・・すず・・・・」
すず「はい、ゼロさん・・・・・。」

次回 第二十一章 すず・NO・フッカツ!に続く・・・














ホンッッッッットにお久しぶりな、作者の緋色の龍です。
最近他にやる事があり、なかなか物語が進まなくてすみません。
ですがやっっっっっっと完成しました第二十章。
遂に明かされたベルの正体は、藤林すず!実はすずは生きていた!(のか?葬式まで挙げたのに・・・)
しかし、やたらと生き返りますよね・・・なんで俺の小説はやっぱり生きていたってのが多いのかな・・・(懐かしき仲間とともにでも生き返ってます)
答えはその方が面白いからです。
さて、絵がない小説では、誰がどの人物なのかわかりにくいので、改めて説明致します。
ゼロ=ストーム 本名フォルス=アルベインでクレス、ミント、チェスター、アーチェの孫でこの小説の主人公17歳。
ベル 本名藤林すず言わずと知れたダオスを倒した六人の内に一人、この小説のヒロイン16歳。
ルミナ=アルベイン 少しの間ミシー=ストームと名乗っていた、ゼロの双子の妹、17歳。
オスロン=レイオルニー ダオスを師と仰ぐデリス・カーラーンの住人、ルミナが好意を持つ男性、年齢不詳
レオ=サリーランド アルベイン家の養子の一人、同じく養子であるミアンが好き、15歳。
ミアン=メラトーラ アルベイン家の養子の一人、フォルスに憧れている、バルーセルの娘?15歳。
イグミスとミレア ゼロとルミナの両親、イグミスはクレスとミント、ミレアはチェスターとアーチェの子供である。
バルーセル=ゾルン アルヴァニスタの現大臣でこの事件の黒幕、アルヴァニスタ王とは親友である。
とりあえずこんな所ですか、次回の長編である、仮名「T・O・S 現し世の世界 黄金の国編」を御贈りします。(ちなみに、T・O・Sは、テイルズ・オブ・シリーズの略です)

        T・O・S 現し世の世界 黄金の国編 体験版

ここに、地球とは似て非なる星がある、その名を「知球(ちきゅう)」と言う・・・。
そしてここはその知球にある国、名を「囲本(いほん)」と言う・・・。
この国の「野山(のやま)」県に住む、宮神 真人(みやがみまさと)と言う16歳の高校生がいる。
彼は両親と、妹、弟との5人で暮らす少年で、片道30分ほどにある県立の高校に通っている。
そんなごく普通の少年が、平凡な日常が一転して、とんでもない運命を辿る事になる・・・。
真人「・・・・・ふう・・・毎日の事なんだが・・・ホントに家に帰るのに疲れる・・・」
真人の家は、一応山のふもとにある為、平地との高低差が以外とあった。
真人「今日は何するか・・・・久しぶりにファンタジアでもするか・・・。」
真人は、制服から私服へと着替え、ゲーム機にファンタジアを入れ、スイッチを入れた。
真人の部屋は、たたみ十枚分はある広い部屋だが、弟との共同部屋である為、そんなに広い気はしなかった。
真人「喰らえ!虎牙破斬ッ!襲爪雷斬破ッ!」
クレスが出す技と同時に自分でも声を出し、画面の中に心がのめり込んでいる状態だ。
真人「やった!・・・・・ん?・・・・雨・・・?・・・・さっきまで晴れてたのに・・・。」
戦闘が終わって、ふと外を見た真人は、さっきまで晴れていた空に、厚い雲が覆って雷鳴が轟いていた。
真人「・・・・・あ!洗濯物!」
真人は急いで部屋から飛び出し、外に干してある洗濯物を取りこみに行った。
真人が洗濯物を取りこみに行っている頃、とある場所で謎の儀式が行なわれていた。

????「・・・・・これでいい・・・・これで現れる・・・・そして、覚醒する・・・。」
まるで宇宙空間にいるように、周り中が真っ黒で、所々星の如く輝いている物がある。
そして、そこにいる者もフワフワと、どこか漂っているような感じだ。
ただし、そこにいる者の足元にある魔法陣だけは、微動だにせず、赤黒い不気味な色を放っている。
????「神と魔・・・逃れられぬ運命を持つ者達よ・・・今こそ目覚める時だ!」
そこにいる者が、大きく声を出したその時、魔法陣の中から白と黒の光が溢れ出した!
????「ふっふっふ・・・・ふはっはっはっは!あっはっはっはッ!」

真人「よっと、これで全部だな・・・・続き続き♪」
真人は、急いで階段を駆け上がり、自分の部屋へと戻った。
そして、真人がコントローラーを持ったその時!真人の家に雷が落ちた!
真人「な、なんだ!!?」
状況を理解できていない真人は、バチバチとスパークする電子機器から離れた。
真人がおかしな状態になっている部屋をどうすることも出来ず、見回していたその時、突然テレビが光りだした!
真人「まさか爆発!!?う、うわっ!」
真人は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
数十秒後、爆発の激しい閃光や音が聞こえない事に気付いた真人は、顔を上げた。
真人「・・・・・・・・・・・・・えっ?」
真人が顔を上げた先には、鎧を着て、剣と盾を持ち、金髪の頭に赤いバンダナを付けた男が立っていた・・・。

いかがでしたでしょうか?T・O・S 現し世の世界 黄金の国編。
これは、よくある話ですよ、テレビの中からアニメやゲームの登場人物が!ってやつです。
誰が出てきたかは、みなさんわかりますよね。
想像力のある方なら、一度は思ったことがあると思います。
舞台は、地球とそっくりの星、知球です。(ひょっとしてパラレルワールドか?)
ちなみに先に言っておきますが、主人公の少年は、臆病で、情けなくて、甘ったれた人物です。
彼がこの先どのような事になるかは、作者しか知りません。(当たり前)
とは言え、この続きを書くのは、すず・OF・フューチャーが終わった後なのでまだまだ先です。(リクエストを頂ければ、またこの先をおまけとして載せるかも知れません)
さて、今回はこの位でそろそろ終わりにしましょうか・・・では、また。

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