七色の鳥の伝説【4】
七色の鳥の伝説…それが私と関わりがあるとしたら、そして…その鳥が私をこの世界に呼び込んだのなら、私はいったい何のために呼ばれたのだろう?
七色の伝説~3~
『七色の鳥を持つ伝説の鳥…この世界の命をつかさどりし神の鳥…世界に異変が訪れしとき、異世界から呼ばれた神子が七色の鳥に従い、この世界を救う』
「これが、俺たちの知っている七色の鳥の伝説ってわけ」
「…命をつかさどりし鳥?」
「そうだ。この世界の…【リュシティール】全部の動物や人の命を支えている神の鳥さ」
この世界の全部の命を支えている鳥…私のであった七色の羽を持った鳥は、その伝説の鳥なのか?
でも、なぜ私なんかを呼んだ?何の力にもなれない私が……
「この世界は、今…異変が起きてるのさ」
「異変?」
「そう。前まで平和だったのに、魔物が出現するようになるし、人の命まで突然に消える。物騒な世界になったのさ…」
あぁ。だから当夜は、剣を持っているのか…今まで何で持っていたのか謎だったけど、自分の命を守る大切な武器か…
「で、お前は伝説の鳥に従いし神子ってわけだ」
「私が…神子?」
「そうだ。だからこの世界は、お前が救うんだ!」
…まてまて!なんで勝手に決める!?私が絶対に神子だって証拠はないんだ。
それに、私なんて神子に相応しくないし、でも…あの鳥は、確かに七色の羽を持った鳥だった。な、なんか…頭の中がパニックになってきた~~!!
「お、おい…どうかしたか?」
「い、いや…ただ、頭の中がパニックになっただけだ。気にするな」
でも、すごい事になったな。私が本当に世界を救うなんて事になったら…はあ。先が思いやられる…
「でもさ、当夜…もし私が世界を救う存在だったのならば、何をすればいいのだ?」
「へ?」
「だから、何をするのかと聞いているのだ」
「いや…そんなこと聞かれても」
「は?」
伝説のことを知っているのに、どうやって世界を救うのか具体的なことは知らないのか!?
「俺は神子じゃないし、どうやって世界が救われたのかなんて知らない」
つ、使えない……(おい)
「前に神子が一回来たけど…知らない。どうやって世界を救ったかなんて」
「そうか…」
でも、これから私は一体どうすればいいのだろうか?
「これからの事なんだけどさ、五月はどうするんだ?」
「ど、どうしようもないだろ。私には、帰る場所なんてないんだし…」
「だったら、俺たちと一緒に旅するか?」
は?こいつ…本気か?なんで、こんなに私に親切にしてくれるんだ?もしかして…何かたくらんでるとか!?
「いや。結構だ!私は一人で旅をする!!」
「そうか。うん!そうした方が……って、今なんて言った?」
「だから、一人で旅をする!」
そう。私は、人に頼らずに生きていく!それに旅をする!何か裏があるんじゃないかって心配になってくるし…
人を疑うのは、良くない事だが人との距離を置いて育ってきた私には、どうしても…
「ごめん。当夜の気持ちは、ありがたい…けど!私は、この世界に一人で旅立ってみたい!」
「世界にいきなり飛ばされたのに…大丈夫かよ?魔物とかが出たら一人で戦うんだぞ!?」
「それぐらいなら大丈夫だ。これでも私は、術を少しだけなら使える!」
自慢じゃないが、昔は誰にも負けなかったからな!
まあ…今も誰にも負けたことはないが
「…だったら、今日一日だけでも此処に居ろ。明日になったら、俺たちが必要なものを買ってやるよ」
「当夜…聞いていいか?」
「なんだ?」
「お前はどうして、そこまで私に良くしてくれるんだ?」
普通だったら、異世界からきたことを信じはしない。それに、そんな必要なものなんて買ってはくれないだろうし…
「どうして、そこまで…私に良くしてくれくれるんだ?」
どうして当夜は…そこまでして、私に……
つづく 作 クロス