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七色の鳥の伝説【5】


なぜ当夜は、私にこんなに優しくしてくれるのだろうか?まだ、知り合ったばかりなのに…どうして?
なぜか当夜と龍火の優しさになれない自分が居る…でも、すごく嬉しく感じる。







七色の伝説~4~










「どうして?」

「そうだ。 どうして知り合ったばかりなのに、私に良くしてくれる?」

知り合ったばかりなのに、お金も貰ったし…それに明日になれば、また何かを買ってくれると言う。

「う~ん。 そうだな…」

理由がないのかよ。こいつ…

「妹に似ていたから…かな?」

「妹?」

「そう。 五月がさ妹の早苗に似てたんだよ。顔とかは、ぜんぜん似てないけど…なんていうか…雰囲気とか、しゃべり方とかがね」

私と妹をかなね合わせているのか?当夜は…

「本当は、そんなことを思っちゃいけないって思うんだが…思っちゃうんだよな……悪いな。 五月は五月、早苗は早苗なのに……」

まったく、そのとおりだ。(おい)

「妹は、どうしたんだ?」

「妹は…死んだよ。前に魔物に殺された」

今、一瞬だけ当夜の瞳の輝きが変わった。魔物を憎んでいるのだろう…妹の仇でもとりたいのか?

「はは。何を話しているんだろうな俺…五月には、関係ないのにさ」

「……当夜は、妹の仇をとりたいのか?」

「………ああ」

やはり…仇をとりたいのか

「当夜。 一つ言っておこう」

「なんだ?」

「仇をとったところで、いったい何になる?」

「!?」

「仇をとって、残るのは何か考えたことがあるか?」

そう。仇なんてとったところで…そして復讐を遂げたところで、残るのは…むなしさだけ

「…妹が救われるわけじゃない。それを分かって、仇をとるのか?」

「…っ!!」

哀れな…当夜。 お前の闇が、憎しみにより増して光を見失うことになる。 それだけは、避けなければならない。魔物と言うのは、人の闇の部分から生まれると聞いたことがあるから…

「当夜。考え直したほうがいい…復習なんて、やめるんだ!」

「…お前に何が分かる!?知ったような口を利くなよ!!」

「当夜!!」

ガタン…と扉のあく音がした。

「…龍火…」

「当夜!五月!!急いでここから離れるぞ!!」

は?

「突然…どうしたんだ?」

「来たんだよ」

誰が?

「まさか…」

「そのまさかさ…五月を狙っていると思う」

「は!?」

まてまて!!なんで私が狙われなくては、いけないのだ!?

「ちょ、どういうことだ!?」

「話は、走りながらしてやるよ!! 今は、急いでここから抜け出す!!!」

そういうと、当夜も龍火も急いで荷物を持って窓から飛び降りた。てぇ!?まて!!飛び降りるって私もするのか???!!!

「おい! なにしてる!! 早く降りて来い!!!」

「ま、待て!!」

あ~。もう!死んだら死んだだ!!

「えい!!」

そうして私は、窓から(二階から)飛び降りた。
すると、当夜が受け止めてくれた。

「よし! 早いところ抜け出すぞ!!」

「たぶん、魔物も町に数匹居ると思う。 心していけよ!!」

「分かってるさ!!」

そして私と当夜と龍火は、走って町の中から出て行く。てか…本当になぜ私を狙っているのだ?理解できない…

「おい! どう言う事か、話せ!!」

「わかったから、そうほえるな!!」

「良いか五月。 この町につれてくる前に、お前は…」

「見つけたぞ」

龍火の話をさえぎって、一人の男性が私たちの前に現れた……。











つづく   作 クロス

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