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七色の鳥の伝説【10】


不思議だった。 異世界から呼ばれた・・・そして、この世界に来た。

私は何も出来ないと思っていた。 でも・・・私が呼ばれたのは、そんなに大切な事だったのか?














七色の鳥の伝説~9~












「異世界より呼ばれし神子。 その神子は、七色の鳥によって使わされし者・・・そして、神子は世界を救う。
レイヴェルートは、この世界の命を司っている。 いわば、神みたいな者だ」

仁がそう説明してくれた。 神子・・・異世界から来た神子は、世界を救う・・・・
前にも、たしか話してくれたことがあった。当夜と龍火が・・・でも、その時は実感がわかなかった。
だって、ただ異世界に来ただけで神子なんて・・・それに、私は神子じゃないと思っていたから。
でも、この狼の仁はレイヴェルートの知り合いで、そして何かの役目をするべくこの地に居る。
そんな物は、信じられなかった。 でも、信じなければいけないみたいだ・・・私が神子と言うのは、信じられないけど

「私が、世界を救う?」

「そうだ。 お前は、レイヴェルートに連れてこられた神子だから、世界を救うんだ」

な、なんだか訳分からん・・・・どうして私が世界を救う? さらに、この世界は平和なのに・・・
だが、魔物がウヨウヨといると聞いたし、平和ではないか・・・

「そして、俺はレイヴェルートから頼まれたんだ。 神子が来たら力になるって」

だから、私は神子じゃないってば・・・

「だから、一緒に旅をしようぜ」

「・・・・・・はぁ?」

どうして一緒に旅をするんだ?! だって、神子の力になるって・・・それが、一緒に旅をする事なのか!?
それとも、何かを企んでいるとか!? だったらいったい、何を企んでいると言う!? い、いや・・・だが、親切だし
もしかしたら、良い奴かもしれないし・・・・う~ん・・・

「・・・・お前、さっきからなにやってるんだ?」

なんだか、呆れられてる。 動物に呆れられると、すごくムカツクんだけど・・・

「まぁ。 実感がないんだろ? 良いさ・・・どっちみち、お前は神子なんだからな。 行こうぜ」

「行くって、どこに?」

「町だよ。 此処に居るより町のほうが安全だからな」

そうして仁は、森の中を歩いていった。 町のほうが安全なのは一理あるな・・・動物に案内されたり命令されるのは
ムカツクが、このさい仕方がないな。 と言う事で、私は仁の後を追った。











「ここが、町?」

「そうだ」

まだ、町の中には入っていないが・・・私の居た世界と、やっぱり違う。 壁があって、何かから町を守っているみたい。
もしかして、この世界には戦争があるのか? それとも、魔物から人々を守るために作られたのだろうか?

「じゃ。 行こうぜ」

「まて。 仁」

「ん?」

「・・・・その姿のままってのは、まずいだろ」


仁の姿=狼・・・狼が町の中を、フラフラと歩いていたら絶対に捕まるだろう。 さらに、町の人々から怯えられて
結局は、この場所に居られなくなったりするかも・・・それだけは、絶対に嫌だ!

「おっと・・・そうだった・・・・。 先に、宿を探しておいてくれよ。 俺は後から行くから」

「分かった」

そうして仁とは、別れて私だけ町の中に入って行った。

「さて、どこに宿屋があるのだろう?」

と言うか、この世界のお金って持ってなかったな・・・どうしよう・・・・ん? 待てよ。
確か、当夜から少しお金を持ったっけな。 どれだけ入っているのか分からないけど、数えてみようかな。
えっと・・・確か、金貨が1000円で銅が10円で銀が100円だったかな?
確か、それであっていたと思うけど・・・う~んと・・・だから、金貨が~
まて・・・そうなれば、すごい額だぞ!? 私の世界で言うと・・・二万円!? どうして、こんなに大金を持っているんだ!?

「・・・・・おい・・・・・・」

「でも、このお金がなくなったらどうやって金を稼ぐかな?」

「・・・・・おい・・・・・・」

「はぁ・・・・やっぱり、何か仕事して稼ぐか? それとも、誰かの護衛やるとか・・・魔物を退治するとか」

「・・・・聞いてるのか? 五月」

「でも、この額ならばすぐになくなると言う事はないだろう。 
にしても、本当にどうやって・・・さらに、見知らぬ私にこんな大金を渡すなんて・・・」

「きけっちゅうに!!!」

ゴン! と頭をたたかれた。 誰だと思って後ろを見ると、見知らぬ青年だった。 歳は私と同じぐらいで
茶色の髪に赤色の瞳・・・と言うか、誰?

「誰だ?」

私は青年に聞く。

「・・・・・おいおい・・・・・・」

なんだか、少し呆れてるし。 なんだか声が仁と似ているな~・・・・ん・・・・・? 仁・・・・・?

「もしかして・・・お前・・・・」

「そうだよ。 俺が仁」

ありえない!! あの狼から、人間になっただと!? そりゃ。 そう言う術もあるけど、まさか動物が使えたなんて!
さらに、あの銀色の髪があったくせに、どうしてどこにも銀がないんだ!?(そこ、注目する場所が違う)

「まったく・・・・・で、宿屋は見つかったのか?」

「え? いや・・・まだだ」

仁は、また私の頭を殴る。 てか、痛いっての!!

「何をするんだ!!」

こっちは、痛いんだぞ!!

「ウソを言うな」

「ウソなんて言ってない!」

「だったら、お前の後ろにある物はなんだ!?」

「え?」

言われたとおりに、後ろを向くと・・・・そこには、宿屋があった。









つづく   作 クロス

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