« 七色の鳥の伝説【10】 | メイン | 七色の鳥の伝説【12】 »

七色の鳥の伝説【11】








この町に住まいし竜・・・・・いったい、どんな姿をしているのか町の人でも見たものは、ごく数人。
そして、最近の出来事でこの町の竜が人を傷つけ始めたらしい。 突然に起きた出来事・・・・いったい、どうしたのだろうか?









七色の鳥の伝説~10~










「竜がこのごろ、人を傷つけるようになった?」

「あぁ。 そうらしいぜ。 おかしな話だがな・・・・・」

私と仁は今、宿屋の食堂にいる。
さすがに宿屋には、たくさんの旅人たちがくつろいでいたり、夜近くと言うこともあってお酒を飲んでいる人も居る。 

まぁ。 宿屋は旅人が安らぐ場所だから、騒ぎたい気持ちも分かるが・・・・もう少し、静かにしてもらいたいものだ。

「その竜ってのは、仁と同じ七色の鳥に関係しているのか?」

私と仁は、二人でお昼に情報収集を行った。

そして、私の情報は、それほど役に立つものではなかったが、仁が手に入れた情報の中に「竜が人を傷つける」

と言う気になる物があったのだ。

「まぁな。 ここに居る竜の名前は、水玉って言う水の力を持つ竜なんだ」

仁が机の上に並べられている料理を、食べながら言う。

「・・そうか・・。 でも、突然となると妙だな」

「普通は、人を襲わない・・・・俺たちの役目は、神子の手助けをし、人々を守ることだからな」

仁がコップを持って言う。

「へ~。 そんな役目もあるのか」

「当たり前だろ? じゃなかったら、五月についてくるはずないって! すみませ~ん! おかわりください!!」

「・・・・・仁・・・・・」

「ん? なんだ??」

「さっきから、食べながらとか・・そして、どれだけの料理を食べる気だ!?」

そう。 仁は、さっきからず~~~~~っと料理を食べ続けている。

これで、料理の追加といか・・おかわりというか・・とにかく、三回目なのだ。
一方私はというと・・これが、一皿でおなかがいっぱいになったのだ。

やはり、この世界と私の世界は、料理も違うようだ。 変わった野菜とかを使っているし・・・・・

「これからも、旅を続けるんだぞ? 分かっているのか!? 仁!!」

私が机を、ダンッ!!と叩くと「これが最後だって」と笑いながら言う・・そして、辺りはと言うと・・いったい何事か?!

という感じでこちらを見ていた旅人さんたち・・・・。

「いえ。 なんでもないです! 気にしないでください!!」

私が大きな声でそう言うと、し~んと静まり返っていた食堂は、一気にさっきのように騒がしくなった。

「はぁ・・・先が思いやられる・・・」

すごく心配になるな・・こいつといると・・













『・・・・・・助けて・・・・・・誰か・・・・』

すごく悲しい声が、あたりに響きわたる。

『お願いよ・・・・・誰でも良い・・・・助けて!』

いくら少女が助けを求めでも、誰も気づきはしない。

『私は・・・・傷つけたくない・・・・誰も・・・約束したもの・・・あの人と・・・』

でも、その約束は今、壊されようとしていた。

『私の意志じゃない。 誰かが私を・・・・大切な約束を壊そうとしている・・・・・・だから・・・・誰でも良い! 気がついて!!!!』

いくら大きな声で叫んでも、誰にも聞こえない。
だって・・当たり前なのだ。 彼女は竜・・・・そして助けを求めても、声が聞こえない・・・・普通の人間には、声は聞こえないのだから。

『お願い・・・・このままだと・・・・せっかくの世界が壊されてしまう・・・・誰でも良い・・・私の呼びかけに答えて・・・・・』

泣きながら少女は、そう言うと・・・・水の中に消えたのだった。

















つづく  作 クロス

コメントする