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七色の鳥の伝説【12】




誰かの声が聞こえた。 「助けて」って、誰かに助けを求める声が・・・・・

誰かは、知らないけれど助けなければ・・・・だって、その声は・・・・
まだ、幼い少女の声だったから・・・・・。












七色の鳥の伝説~11~











「へ? 声が聞こえた??」

「あぁ。 助けを求める声が・・・・・」

今、私たちは部屋の中でくつろいでいた。
朝になって食事を終えて部屋に戻ってきたのだ。 それにしても、夜にこの声が聞こえたし、まだ幼い声だった。
幼いと言っても、たぶん14ぐらいかと思うけど、私から見れば幼いと思う。

「う~ん・・・・・少女の声か・・・・この町に来てからだよな?」

「そうだ。 それに・・・・なんか水の音も聞こえた」

「水の音?」

「うん。 なんて言うか・・・・水の流れる音だと思う」
少女の声がやんだと思ったら、今度は水の音が聞こえてきた。

たぶん・・・海とか、川かと私は思うのだけれど、ただの推測に過ぎないために絶対にこれ! とは決められないけれど・・・・

「もしかしたら・・・・【呼びかけ】だったんじゃないのか?」

「【呼びかけ】?」

「あぁ。 俺たちは、神子に【呼びかけ】ができるんだ。その【呼びかけ】って言うのは・・・・

七色の鳥に関係している者にしか使えないんだ。 遠くから強い思いを神子に伝える。 これが【呼びかけ】なんだ」

へ~。 仁とかは、そんな事も可能なのか・・・・便利だな。 私には仕えないものなのか?
それにしても、あの少女の声は・・・・仁の話からすると、この町に住んでいる竜?

「仁! 竜が出現すると言う場所はどこだ?」

「えっと・・・藤宮の泉・・・だったと思うが・・・」

もし、あの声が本当に竜だったのなら・・・急がなければ!!

「今から行くぞ!!」

「て、今から!?」

仁の言葉を無視して、私は急いで部屋から出て行った。

だって、早く行かないといけないと思ったから・・・・早く助けたいと思ったから・・・・
この町の竜・・・水玉・・・待ってて!!











「ここが・・・藤宮の泉か・・・」

周りに花畑があって、その真ん中には大きな泉がある。 町の人々に聞いてここにたどり着いたから、間違いないだろう。

「綺麗な場所なんだな」

水も綺麗で花も綺麗で・・・すごく良い場所だ。
空気も町とは違って新鮮だし・・・。

「・・・水玉・・・居るのだろう?」

泉の中を覗きながら私は言った。 別に絶対にここに水玉という名前の竜が居るとは、思っていない。
でも、きっとここだと・・・私はなぜか思う。

「助けに来た・・・・顔を見せてくれ・・・・」

そう呟くが、水は変化なし・・・ここじゃないのかな?

「我の名前は、五月! 異世界より来たりし神子だ! お前を助けに来た!! 姿を現せ!!!」

大きな声で、そう叫ぶと水の中に波紋が生まれた。
それが徐々に大きくなってきて・・泡が出てきた。

「五月!!!!」

後ろで仁が大きな声で私を呼んだ。 後ろを振り向かず、私は前を向いていた。
水しぶきが起こって、水が沢山私にぬれた。
仁が急いでこっちに来ようと頑張っているが、なぜか近づけないらしい。

「・・・水玉・・・やっと、出てきてくれたんだね」

私の前には、水色の玉を持っている・・・青色のうろこを持つ、凛々しい竜の姿を見た。



























つづく   作 クロス

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