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フロートの門【1】




フロートの門~プロローグ~ 作 クロス







「ねぇ。 これからどこかによらない?」

友達から突然に誘われた言葉だった。 その日は、少し用事があって断ったけれど、本当は行きたかったな。 
でも人は時には、我慢しなくてはならない時がある。 だから、私は我慢をした・・・。
別に、これと言って優先される用事ではないのだが・・・・別に行こうと思えば、行けたのに・・・どうして私は断ったのだろうか?
私は、友達と何故か距離をおいしてしまう。
怖いから・・・近づくことが・・・・

「どうかしたの? 飛鳥」

「え?」

突然に自分の名前を呼ばれて、振り返るとそこには、私のパートナーの北斗が居た。
ここは、エイザールと言う国で・・・そして今、私が居る場所は、エイザールの中心から北東の方角にある町・・・
デュナロートと言う魔法学校がある町。その魔法学校は、すごく有名で・・・私もそこの生徒をしている。 
なぜか魔法使いになるには、誰かとパートナーを、組まなければならない。そして、私は・・・この北斗と組んだ。 
別に深い意味は無い・・・ただ、ぼ~っと空を眺めていた時に、あっちから話しかけてきただけで成り行きだから。

「別に・・・なんでもない」

「そうか?」

いちいちうるさい奴だ・・・北斗は、女子からすごく人気がある。 私には理解できない。 
どうしてこんな奴を気に入ったりするのだろうか? 先生達も、すごくこいつを気に入っている。
校長先生は、なぜか私のほうがお気に入りなのだが・・・

「家まで帰るんだろ? 一緒に帰ろうぜ」

別に断る理由もないし・・・良いか

「あぁ。 かまわない」

そう素直に返事をした。

「だったら、良かった。 あぁ・・・そうだ。 飛鳥は知っているか?」

突然に会話を始められた・・・・まったく、こいつは突然に会話を持ち出して、困るな・・・。

「何をだ?」

別に興味が無いから、素っ気ない返事をする。

「フロートの門・・・天使だけが入ることを許されている天界へとつながれている門だよ」

フロートの門・・・その門に入ることが出来るのは、天使だけ。 そして、私の学年・・・三年生では、このフロートの門の勉強をしている。
この魔術学校は、一人前の魔法使いにするだけではなく、天使を探しているのだ。 ある一人の天使を・・・

「天使の事か?」

「あぁ。 そうだ・・・天使がこの世界に居るのなら、すごい事だよな」

天使は、もうこの世界には居ない。 だって、この世界に居たら大変なことになるから・・・
この世界では、天使の羽は病気を瞬時に治す癒しの力を持っており、そして天使の血は不死の力を持っていると伝えられている。
実際に、そうなのかは分からないがな・・・・

「天使に会ってみたよな。 すごく綺麗なんだろうな」

ワクワクと好奇心からか、はしゃいでいる北斗・・・

「北斗は、天使に会ってどうする気だ?」

私が北斗に聞く。

「そりゃ。 綺麗そうだし・・・会って見たい。 そして不死になってみたいな」

不死・・・・死なない体になって何を望むのだろうか? 私には、理解できない

「不死に・・・なりたいのか?」

「あぁ。 なってみたよ・・・・なんてのは、冗談だよ!」

楽しそうにケラケラと笑う北斗・・・・。 やっぱり、こいつに不死なんてのは、似合わないな・・・。

「天使・・・か・・・私が天使と言ったら、どうする? お前は」

「へ?」

「だから、私が天使だと言ったらどうする?」

「う~ん・・・・天使の羽を見せてもらうかな?」

「そうか」

「そうだ」

やっぱり、こいつは・・・・今のままでいい。
ずっと、このままでいい・・・変わらずに、ずっと・・・

私が居た世界は、1200年ぐらい・・・・
そして、話は・・・・それから400年後ぐらいに変わる。




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