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フロートの門【2】





フロートの門~始まりの書~ 作 クロス





ここは、エイザールと言う世界。 そして、その中心から北東の位置にある町・・・魔法学校がある場所だ。 
そして、今日は入学式。 新しい生徒たちが、キャッキャと騒いでいたり、もうすでに友達を何人か作っていたりする人も居る。
そんな中、一人だけ空をぼ~っと眺めている少女が居る。 今、彼女が居るのは汽車の中・・・木で作られた椅子があり、
小さなテーブルの上にペンと紙が何枚か置かれている。
そして、少女の隣には大きな荷物・・・青い瞳で、じっと空を見ている。 
少女以外には、誰もこの汽車の部屋の中には居ない。 ここは、少女だけの特別な席と言ってもいいかもしれない。

「・・・・・母さん・・・・・」

少女が、ポツリと小さく呟いた。
少女の母親も、この魔法学校の卒業生で、父親は普通の人間だった。
だが、父親が母親のことを魔法使いだと言うことを知ると母親と離婚したいと言いだした。
少女は、この父親が許せないと思った・・・たかが魔法使いと言うだけで、なぜ別れなければいけないのだろうか?
知らない間は、あんなに幸せに家族みんなで笑っていたのに・・・・。

「ねぇ。 ここの席・・・いいかな?」

突然、扉が開けられて一人の少年が話しかけてきた。 
少女は、少しだけ驚きながら「どうぞ」と返事をしてから、また窓から空を眺める。

「あれ? 君は、動物とかを連れていないのかい?」

少年が少女に話しかける。
すると、少女は指をパチン! と鳴らした。 すると、どこからか一匹の白い烏が現れた。

「白色の烏なんて・・・・珍しいものを持っているね」

ニッコリと笑う少年に、黙っているだけの少女。

「ねぇ。 君の名前を聞いていいかい?」

少年が、少女に聞く・・・。

「・・・・お前から教えなければ、私は答えない」

そう少女が言う。 ようやく瞳を空から離して、少年の顔を見る。
少年の髪は、緑色・・・そして、瞳は赤色と言う珍しい色。 と、言っても少女も珍しい。 金色の長い髪を持っているのだから・・・

「僕の名前は、襷。 よろしくね! あぁ・・・あと、こいつが僕の動物だよ。 名前は、飛鳥だ」

襷が持っている動物は、梟だ。

「私は、栞。 そして、こっちの烏が北斗だ」

そう自己紹介をした二人。 周りからは、騒がしい声が聞こえるが、この部屋だけは、すごく静かだ。
それから栞は、また窓から外を見ていて、襷は自分のかばんから本を取り出して、読んでいる。

「・・・・・・・」

烏の北斗と、梟の飛鳥がじっと見つめ(?)あっている事に気がつかない二人・・・・。

「魔法学園に着きます。 すぐに出れるように用意をしておきましょう」

放送が入って、二人はペンとか本とかを片付けて、すぐにここから出られる用意をした。
そして、烏の北斗は梟の飛鳥にこういった。

「時が来た」

と・・・・・









つづく

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