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フロートの門【6】




フロートの門~一時の書2~ 作 クロス








栞は、朝の太陽の光で目を覚ました。 そして、北斗も栞のベッドの上で、すやすやと寝ていた。
北斗を起こさないように、そ~っとベッドから出る。

「・・・朝か・・・」

カーテンを全部開けると、今まで以上に太陽の光が体を照らす。 すごく暖かく・・・すごく綺麗な太陽。 栞は、むかしから太陽や月が好きだった。
神秘的で、すごく綺麗で・・・まるで、人の心の綺麗な部分だけで作ったような優しい光。 太陽は、元気よく人々に光を浴びせて、今日も頑張ろう! とでも言っているような感じ
月は、とても優しくて闇の中から人々を照らしてくれる。 今日もお疲れ様でした・・・とでも言っている感じ

「・・・・・・」

父親も自分と同じで、太陽や月が好きだった。 だが、栞は父親が嫌いだ・・・母親と栞を殺そうとした父・・・魔法使いだからなんだと言うんだ? この世界には、たくさん・・・と言うわけではないが、魔法使いが居る。
どうして魔法使いが嫌いなの? 選ばれた人数の人しか魔法使いには、なれない・・・喜ばしいことだと、栞は思う。 なのに、どうして父親はそのことが分からないのだろうか?

「・・・・栞・・・・起きたのか・・・・?」

北斗の声が聞こえて、栞は北斗に近づいた。

「うん。 起きた・・・」

「そうか・・・やはり、俺は朝はダメだ・・・」

北斗は低血圧なのか、分からないが、朝が苦手なのだ。 すぐに起きれない・・・無理やり起こそうとすると、北斗から何かをされる(栞は、小さい時に無理やり起こそうとして、恐ろしい事された覚えがある。 ここでは、伏せておこう) ので、栞はうかつに北斗を起こせない。
でも、この頃ちゃんと自分で起きるようになった。

「・・・ん~・・・眠い・・・」

北斗が呟く。

「まだ寝ていていいぞ。 まだ食事の時間ではないからな」

栞は、タンスの近くによって服を取り出した。 そして、今の服から学生服に着替える(想像しないように・・・(おい))

「・・・そうか~・・・でも、今のうちか起きておかなくては・・・・朝ごはんが・・・・」

「あぁ。 食事が食べれないな」

クスリと笑う栞・・・栞は、いつも北斗の前では、すごく優しい瞳で北斗を見ている・・・・が、いろんな人の前とかでは違う。 父親の憎しみが、どうも納まらなくて、そしてヘラヘラ笑って幸せそうにしている奴らが、憎くてたまらないのだ。
栞には、もう親が二人とも居ない・・・兄が一人居たが、その兄も自分から離れていった。 兄は、普通に人だった。 魔力も無くて、ごく普通の人間・・・そして、今は18ぐらいで彼女も居る。
だが、兄は栞を「悪魔」と呼んだ・・・「もう、家族ではない」とも言われた。 栞に、もう・・・家族なんて居ない。

「・・・栞・・・どうした?」

栞が変なことに気がついた北斗は、そう話しかける。 すると、ハッ! とした栞は「なんでもない」と言って、部屋の鍵を開けて外に出て行った。

「・・・・栞・・・・」

すごく、悲しそうな瞳で北斗は栞が出て行った扉を見た。 それは、それは・・・すごく悲しい瞳で・・・

「俺のこと・・・覚えてるよな? 本当に・・・」

覚えているのに、なぜ?

「なぜ、一人で出て行った?」

どうしてなのだろうか?

「朝ごはん・・・俺、食べられないジャン・・・」



「やぁ。 おはよう」

廊下で声をかけられて、後ろを向くと襷がいた。 そして、襷の肩にいる飛鳥。

「あぁ。 おはよう」

そう返事をすると、さっさと歩いていってしまう栞。 それに、急いで着いていく襷・・・

「なぜ着いてくる?」

襷に栞が、そういった。

「だって、ご飯を食べに行くんでしょ? 一緒に行こうよ」

ニッコリと笑って襷は、栞にそう言う。 襷の肩に止まっている飛鳥が「ほ~」と鳴く・・・そして、その飛鳥を見て、栞は固まった。

「どうかしたの?」

襷が栞に、そう聞く・・・すると、栞はクルリと向きを変えて自分の部屋に全速力で走っていた。 そして、その走っている栞の横を通ろうとする生徒たちは・・・なぜか飛ばされる。

「ど、どうしたんだ・・・・?」

さすがの襷も、どうしたのか謎だ。

「・・・北斗を忘れたのよ・・・」

呆れながら飛鳥が、そう襷に言った。 すると襷は「あぁ・・・」と納得した。



「北斗!!」

バンッ!! と音を立てて部屋の扉を開ける栞。 北斗は・・・と言うと、なぜか黒いオーラを身にまといながら、栞のほうを向く。

「あぁ・・・・栞・・・戻ってきたんだね」

北斗の声は、低い・・・怒っている。 間違えない! いつも、北斗は怒っていると黒いオーラを身にまとい、そのオーラを普通の人が見ると、固まってしまうのだ。 そして一時的・・・動けなくなる。 と言うことも、経験済み・・・

「わ、悪かった。 でも、ちゃんと戻ってきたのだから、良いだろう」

「あぁ。 良いな・・・ちゃんと、最初から覚えているって方が、俺にとっては嬉しいんだけどな~」

すっごく、怖い声を出す北斗・・・さすがの栞でも、汗が出ている。

「・・・北斗・・・ご飯抜きにされたいか?」

ピクッ・・・・さすがに、その言葉に反応をしめす北斗

「そのオーラを消せ。 さもないと、食事は、なしだ」

そう、栞が北斗に言うと・・・北斗は、黒いオーラを消した(消せるの?!) そして、パタパタと羽で飛んで栞の方に止まる。

「今度は、ないからな」

「あぁ・・・覚えておくよ」

そうして部屋を出て行った。










つづく

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