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フロートの門【9】




フロートの門 ~授業の書2~  作 クロス






チャイムが鳴り、扉から先生が入ってきた。 初めての最初の授業は、魔法だ。

「私が、君たちに魔法を教える彰文だ。 よろしくな」

茶色の髪に、黒色の瞳・・・名前は、彰文。 一年生と担当している先生で、栞の秘密は知らない人物・・・
しかし、栞の母親とは同級生だった。

「まずは、水晶で自分の力を見てもらう」

そう言って、彰文は一つの紫色の水晶を取り出した。 
この学校では、自分のあった属性を調べて、そして担任の先生が変わるときがある。 彰文の属性は、風・・・
どうやって調べるかと言うと、まず水晶に手を置く。 そして、水晶に魔力を与える・・・すると、水晶にいろんな現象が起こるのだ。
火属性だと、水晶の真ん中に炎が生まれ・・・水属性だと水晶が水になる・・・風属性だと水晶が宙に浮き・・・
土属性だと水晶が割れる・・・氷だと、水晶が凍りつき・・・雷属性だと、水晶の真ん中に黄色の光が現れ・・・
光属性だと、水晶が光だし・・・闇属性だと、水晶が黒くなる。

「では、やってみろ」

彰文に言われて、生徒たちは水晶に手を翳した。 すると、次々と水晶に色々な現象が起きる。
 そして、皆は嬉しがったり悲しがったり・・・と、いろいろと表情を変える。 
しかし、そんな中・・・ある三人だけ、水晶におかしな異変が起きた。

「先生」

襷が彰文を呼ぶ。 そして、彰文は呼ばれたほうへ行く。

「なんだね?」

彰文が襷に聞く。

「おかしいんですけど・・・俺と栞の水晶」

「おかしい?」

彰文は疑問に思いながら、二人にやってみなさい。 と言う・・・すると、今度は和馬が彰文を呼ぶ。
 どうやら和馬の水晶もおかしいらしい・・・と言う事で、三人同時に水晶に魔力を送る、という事をやる事になった。
他の生徒たちは、やじ馬根性(?)で三人の水晶がどうなるか、必死で見ている。

「では、始めたまえ」

そう彰文が言うと、三人は手を水晶に翳した。 すると・・・

「なっ!?」

「うわ~」 「すっげぇ~」 「なんなの?!」

三人の水晶の異変・・・それは、他の人とは違った。 
栞も襷も和馬も、み~んな同じなのだが・・・どの属性にも当てはまらないのだ。
三人の水晶は、宙に舞い、光を放ち、風が周りにあって、水晶にひびが入っている・・・
そして、最後には凍りづけになり、そして火で燃えて水になって消えた。

「こ、これは信じられない・・・まさか、こんな事が起こるとは思っても無かった」

「どう言う事ですか? 先生」

和馬が不思議そうに彰文に聞く。 栞も襷も、どうして自分たちだけ他の人とは違うのが、謎になっている。

「名前は・・・確か・・・栞、和馬、襷・・・でしたね?」

「はい。 そうですが・・・何か?」

「ふむ・・・貴方達は、全属性が扱えるのですよ」

「「「・・・・・・はぁ!?」」」

三人が無意識のうちに、声を合わせる。

「全属性の力は・・・特別な人間にしか扱えないはずなのに・・・まさか、この中にいるなんて思わなかった」

全属性・・・特別な人間だけが身に付けている力・・・
他の人は、自分との相性の良い力を初めに覚えて、そして最後に自分の弱点の力を覚える。
しかし、全属性となれば別だ・・・どの魔法も魔力も全部同じで、さらに弱点の力なんて無いのだ。

「・・・三人には、ジェルディース先生に見てもらうことにしましょう」

そう言って、彰文は部屋から出て行った。









「・・・・来た・・・・」

そうポツリと呟く一人の青年。 暗い部屋の中に一人で立っている。 
ここの学校の生徒だろうと思われるが・・・どうなのだろうか?

「彼女を・・・・選ぶんだね・・・・?」

誰かに話し掛けるが、この暗い部屋には青年一人しかいない。

「そう・・・分かった・・・いつか、彼女が此処に来るよ。 僕と出会うことになる」

彼女とは、いったい誰の事なのだろうか? そして、この青年はいったい何者なのだろうか?

「彼女が・・・門を開けるもの・・・・」

青年は、周りを見る。 そして、手を大きく広げた。

「選ばれた・・・彼女が・・・彼女が、フロートの門を開ける者だ!!」

青年は、大きな声でそう言うと・・・どこかに消えたのだった。









つづく

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