フロートの門【12】
フロートの門 ~フロートの門の話2~
「もうそろそろだね」
襷は自分の部屋中にいた。 そして、ベッドの上に座っていた・・・そして、窓から月を見上げている一人の女性。
赤い長い髪に緑色の瞳・・・この女性は、誰も知らない。
そして、唯一その正体を知っているのは、襷と校長ぐらいだろう
「ねぇ。 どう思う?」
「どうって?」
「俺の方に来ると思う?」
「さぁ? どうかしらね・・・もう一人居るから・・・」
この二人はいったい、何を話しているのだろうか? すごく謎な事ばかりを言っている。
それに、本当にこの女性は何者なのだろうか?
「まぁ。 何かあれば強制的に・・・・」
「強制的って、どうするの?」
「俺のものにしちゃえば良いだけだから、おそ・・・」
ドカッ!!!
女性の拳が襷のおなかに直撃した。
さすがに男だけど痛いだろう・・・おなかを押さえて必死で痛みに耐えている。 さらに涙目なのだから相当痛い・・・・
「まったく・・・変なこと言うんじゃないの。 襷」
「じょ・・・冗談・・・・だって・・・の・・・」
どうやら、なかなか痛みが引かないらしい・・・
その様子を見て女性は「そんなに力入れてないんだけど、力がついたのかしら?」などと、普通に考えていたりする。
どうやら襷の事を助ける・・・事は、なさそうだ。
「でも、本当に厄介ね・・・もう一人居るとしたら、その方に良く可能性もあるし」
「それに、あいつの力がどちらに変わるかで決まるしな」
何時の間にか、普通に話をするほどに復活した襷・・・復活が早いな。
だが、女性にとっては、「いつものこと」だそうだ(聞いた(ぇ)
「でも、まぁ・・・それを決めるのは、あの子だから」
「・・・そう・・・・だな・・・・」
襷は、それから「寝る!」と言ってベッドの中にもぐりこんだ。
その様子を微笑んでみている一人の女性・・・名前は、飛鳥。 そして、飛鳥は消えていった。
「で? どうなの?」
和馬は、暗い廊下に居た。 そして和馬の前には黒い髪と黒い瞳を持っている青年が居た。
この廊下は、生徒が余り使うことがなくて、静かに話せる場所なのだ。
さらに、和馬により周りに結界が張られているために、普通の生徒たちは通れはしない。
「はい。 もう一人の奴らが居ますので、どうかと思われます。 さらに、あの少女がどうやら見つけたようです」
「そうか・・・ふふ。 時が来たんだな、いよいよか・・・」
和馬は嬉しそうに笑う。
そして、和馬の前に居る青年は黙って和馬を見ているだけ・・・本当の和馬は、こんな人だ。
人前では良い人で、青年の前だと偉い人・・・だが、青年はこの主人を嫌った事は無い。
むしろそんな和馬を尊敬しているのだから・・・
「まぁ・・・自分のものにすれば良いだけの話だろう」
「どうするのですか?」
「そうだな・・・たとえば、人間とは誘惑に弱いからな、あいつもきっと力を欲しがるだろう」
「・・・・なるほど・・・・」
だが、あの少女は少し特別だ。
本当に力を欲しがるとは思えないし、言ったとしても怪しまれるだろう。 そして正体がばれたら・・・
だが、まだ覚醒はしていないので、今ばれても大丈夫だと思うが念のため。 備えあれば憂いなし・・・
なのかもしれない(よく意味を理解していないのに、使っている奴・・・)
「で、あの奴はどうする気なんだ?」
「それが・・・どうやら、私達の事が分かったらしくて結界を強化しています。私が入ったところで浄化されて、
二度と和馬様のお役に立てないかと・・・」
「そうか・・・厄介だな・・・まぁ。 良い・・・戻るぞ」
「はい・・・和馬様」
そう言って、廊下から姿を消す和馬。 そして、そんな姿を黙ってみていたディスカルは、夜空を見てから姿を消した。
始まりの時が近づいている・・・
封印されし門が開こうとしている・・・
一人の少女によって・・・
どんな結果が生まれるのだろう・・・
そして少女には どんな運命が待ち受けているのだろう・・・
それは全て 光と闇の中・・・
つづく