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幻【2】



 前回のあらすじ



知り合いのグエルに頼まれ、無法街道に出没する魔物退治を頼まれる

無法街道に訪れた龍聖は、そこで魔物の襲撃に遭う





第二話



「来る!」

放たれたのは、ダークナイフ、闇系の下級魔術だ

『ギィン!』

それを剣で弾きながら、ウッドマンに接近していく龍聖

「ギ」

と、もう片方のウッドマンが、龍聖に向かって掌(しょう)抵(てい)を繰り出した

ウッドマンは、体術も使えない、攻撃法はただひたすらに、殴るのみのはず

「・・・おかしい、これは絶対に変だ、何かがある・・・こいつらの攻撃の源(みなもと)になっている、何かが・・・・」

いつまでも防御に徹(てっ)していられない、そう判断した龍聖は、ウッドマンの胸を斬りつけた

すると、布の切れ端が、ウッドマンの体から露出した

「なるほど、ようやく正体がつかめたぜ・・・」

龍聖はウッドマンの頭上に跳ぶと、そのまま拳(こぶし)に全体重をかけて落下する

「蒼破流体術!重加拳(じゅうかけん)落砕(らくさい)!」



重加拳落砕とは・・読んで字の如(ごと)く、飛び上がり、上空から拳に全体重と、引力を加えて、相手を叩き潰す(つぶ  )豪快(ごうかい)な技だ!

『メキメキィ!!』



と、木の軋(きし)む音とともにウッドマンに龍聖の拳がめり込む

「蒼破流、突(とつ)!」

突・・・拳を前に勢い良く突き出し、相手の体に突っ込み、体内の何かを引きずり出す荒業(あらわざ)! 場合によっては当然グロテスクで、残酷(ざんこく)

ウッドマンの体内に両腕(りょううで)を突っ込んだ龍聖は、体内に埋もれている物体を探り当てると

そのまま力任(ちからまか)せに、引きずり出した

「やっぱりな、獣人を取り込んでやがったか」

出てきたのは、年の頃十二、十三の少年だった、しかし外見は普通の少年である

おそらくは何らかの魔術で、外見を人と変わりなくしているのだろう

「双子ってことは!」

もう一体のウッドマン、龍聖に対し、背を向けて今正(まさ)に逃げだそうとしている方にも

突を繰り出した

「ギュオ・・・・・・」

再び、体内の物体を引きずり出す

もう一体が取り込んでいたのは、同じく獣人の少女だった

「酷(ひど)いことを・・・しかし普通のウッドマンが、人を取り込むことなんてあるのか?」

このときの龍聖の不安は、のちに現実のものとなる

「ただいま」

「お帰り・・・って、龍聖・・その子供・・・」

「あ?ああ、こいつらは・・・・」

「龍聖の子供?!」

「な訳あるか!!ウッドマンに取り込まれてたのを、助けただけ、だ」

しかし、藍嘩は一方的に話しを続ける

「・・・一体誰と・・・私以外にもいたなんて・・・・(泣)・・・」

「だから違うって・・」

それでも話をやめない藍嘩

「・・・ハッ・・・まさか龍聖と私の子供?!その可能性は充分にあるわね」

「心当たりはないぞ、それに俺とおまえがはじめて会ったのは五年前だろ」

それでも延々(えんえん)と話しつづける

「私は色々と身に覚えがあるけどなぁ~~~~♪」

頬を赤らめ、横目で龍聖を見つめる藍嘩

「な、俺は全然知らないぞ!!」

龍聖の顔は炎のように赤くなっている

「冗談(じょうだん)だって、もう、すぐ騙(だま)されるんだから、全部、これで見てたよ

そんなんじゃ、悪徳商法とか、簡単に引っかかるよ」

と、藍嘩が呼び出したのは、黄色い、手の平サイズの鳥

「余計なお世話だよ・・・・・それ、式か」

そう、と藍嘩が答える

「あのさ」

話を切り出す龍聖、しかし藍嘩はそれを予想していたように

ここに暫(しばら)く置いてもいいか?でしょ?いいよ、好きにして、と返事を返した

「え、あ・・・」

龍聖にとって、それは意外な答えだったようだ、以前、彼は怪我を負った旅人を家で介抱してやれないか、と藍嘩に聞いたことがある、しかしその時はあっさり『ダメ』の一言で拒否(きょひ)されてしまったからだ

あまり他人と関(かか)わろうとしない藍嘩が、見ず知らずの獣人二人を家に、両親が見つかるまでの間、家に住まわせると言うことは、意外だった

のだろう

「・・・・・・・・・私を冷たい奴みたいに言ってない?あの時とは状況が違うでしょう、あの時は三十歳以上の、ベテランぽい外見の戦士だったから放っておいただけで、今回は、衰弱(すいじゃく)しきってる未成年の双子、いくらなんでも状況が違いすぎるわよ!!

それに大体何よ「あまり他人と関わろうとしない」って、そんなだったら、私はとっくにこの家を出てるわよ、龍聖だって、言い方は悪いけど昔は他人、とに、ちゃんと考えて文章を作成しなさいよね!(怒)」

藍嘩は不満を表すと、二階にある自分の部屋へと行ってしまった

「とりあえず、食事の用意、かな?」

見ると、時計は七時を過ぎていた



あとがき

長々と待たせていてすみませんでした、テスト&パソコン不調と重なり

投稿ができなくなっていたのです、次回から気をつけます

ではまた次回・・・・

光闇刹月華

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