幻【3】
前回のあらすじ
ウッドマンに吸収されていた双子の獣人を連れて帰った龍聖は、散々藍嘩にからかわれた・・・
幻
第三話
時刻は八時、龍聖は風呂で一日の疲れを落としていた
「よぉぞらをかぁける~ながれ~ぼーしを~いまー、みつけらーれーたら~なにをいのる~だろー
たびだつまえの~きみとの~やくそく~いまもこころのなか~にーあーる~ ね~むれーないーよーるに~ききたいのはーきみ~のこぉえ~あーのひ~ふたーりで~かたりあーかした~ むちゅうではなーすきみのよこーがおーは~かがやいてーいたよねー~~~~」
「何を歌詞も覚えきれていない歌を歌ってるのよ・・・」
藍嘩の声が聞こえてきた、どうやら藍嘩は脱衣所にいるようだ
「藍嘩か・・・・脱衣所から離れてくれれば嬉しいんだが・・・・・」
龍聖がそういうと、藍嘩から返事が返ってきた
「久しぶりに、一緒にはいろうか?」
微妙に照れを滲ませつつ、藍嘩が大胆な発言をすると、龍聖は異常に咳き込んでしまう
「げほっ、げほげほげほっ!!!」
「冗談に決まってるでしょ~?はやくお風呂から出なさい!女二人(・・・)がまってるんだからね?」
また、ひっかかってしまった・・・・、そう考えて、龍聖は疑問に気がついた、確かこの家には、龍聖と藍嘩の二人だけで暮していたはず・・・・・つまり
「ありがとうございます・・・助けていただいたうえに、暫く寝泊りさせてくださって・・・」
「気にしないでいいのよ、龍聖がいいって言ったんだから」
「大丈夫?」
扉ごしに、脱衣所の方へと話し掛ける龍聖に、獣人の少女は丁寧な返答を返してきた
「はい、おかげさまで無事でした、後で兄のゼインにも会ってください」
「龍聖、いい加減お風呂からあがってよ・・・・・」
「はいはい、じゃぁまずは脱衣所からどいてくださいな」
龍聖は風呂からあがり、黒い半ズボンとTシャツに着替えると、居間へむかった
そこでは、獣人の少年(おそらくは彼がゼインだろう)が、夕食を口にほおばっていた
「!もが・・・・」
彼は龍聖に気付くと、顔を赤くして慌てはじめた
「はずは、落ち着いて・・・・な?」
苦笑いしながら、龍聖は彼を落ち着かせていた―
場面は変わり、風呂場
「・・・・・」
「どうしたの?リエルちゃん」
「リエルでいいです・・・・なんか、すごくスタイルがいいなって思って・・・・」
予想外の答えに、藍嘩は照れながらも答える
「お世辞でも嬉しいけど、リエルも将来はこうなるわよ?」
「龍聖さんみたいな、頼れる人が出来たら、ですか・・・・?」
「なんでそこであいつの名前が出てくるかなー・・・・・・」
「だって、これ・・・・同棲・・・ですよね?」
顔を赤らめつつ聞いてくるリエルに、藍嘩は思わず吹き出してしまった
「ぷ・・・・・っ、あははははははははははははは!!!」
「何がおかしいんですか?」
リエルはちょっと不機嫌そうだった、まぁ・・・いきなり笑われたら誰でもそうなるだろう
「ははは・・・・ごめんね?だって、いきなりそんな事言われたの、初めてだから」
「違うんですか?藍嘩さんは、龍聖さんのこと、好きなんですよね?」
「へ~ぇ、なかなか勘が鋭いじゃない、そう・・・・ね、確かに好きよ?でもね、世の中には、恋愛の好きと、友達としての好きって言うのがあるのよ?」
「それはそうですけど・・・・・・」
リエルはくちごもってしまい、それ以上は話せないようだった
「でも、最近ちょっとそこらへんの感情が曖昧になるときはあるわね・・・・・」
(え?)
リエルが見た、藍嘩の横顔は、どことなく照れているように見えた
そのせいで、リエルは龍聖と藍嘩の過去を少し知りたくなった
「藍嘩さん」
「何?」
「龍聖さんとは、どこで出会ったんですか?」
「そうね・・・・・長くなっちゃうけど、それでもいい?」
「聞きたいです」
「じゃぁ教えてあげるね?私と龍聖が出会ったのは、五年前のあの日―」
藍嘩が龍聖と初めて出会った日とは・・・・?
しかしそれは、また次回の話・・・・・・・
後書
微妙な所で終わりますね、でもまぁいいかなー?何て思ったりする今日この頃です(謎)
次回は藍嘩と龍聖が初めて出会ったときのお話です!お楽しみに!
光闇刹月華