時の封印【2】
篤鳴の後を追い森の中へ入った彩華。
薄暗い森の中では声が聞こえた。
―助けて―と・・・。
夢で聴いた声と同じような声だ。
「篤鳴さん!!」
大声で篤鳴を呼んだ。
「!?何故ここに来たのですか!!怨霊がいるのですよ!?」
「怨霊なんているわけ無いじゃん」
「・・・・・あなたはいったい・・・。このあたりで住んでいる人は皆怨霊の存在を知っていますよ。まさか・・・!!」
圧鳴の言葉を邪魔するかのように近くで爆発音が聞こえた。
黒い大きなものが動き始めた。
あれは・・・人間でも動物でもない・・・。
「・・・とにかく今は下がってください。ここは私がどうにかします」
そういうと篤鳴は刀を鞘から抜いた。
【ギギギ・・・】
怨霊は音を立てながら篤鳴に近づいた。
「たぁぁ!!」
刀は怨霊に刺さった。
だが・・・。
【グォォォ】
「うわぁ!!」
簡単に跳ね返されてしまった。
「やはり・・・私ではうまくできないのか・・・」
「篤鳴さん!!大丈夫ですか」
彩華が篤鳴のほうに近づくと怨霊は彩華を見た。
赤い目が彩華の姿を映す。
「!?いけない!逃げろ」
「え?」
遅かった。
怨霊は彩華を捕まえた。
「・・・しまった・・・」
篤鳴は急いで刀を取ろうとした。
だが怨霊のほうが先に刀をとってしまった。
【グググググ】
(どうしよう・・・刀・・・今は私の近くに刀がある)
怨霊の手にある刀と彩華の距離は近い。
すぐに行動に移した。
怨霊から刀を奪った。
「剣道部の維持見せてやるぅ!!!!」
そういって思いっきり刀を怨霊に刺した。
【グァァァ】
怨霊は悲鳴を上げ黒い光となり消え始めた。
只今彩華は怨霊の手の中にいる・・・・。
怨霊が消えるということは・・・・・・・・。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!落ちる!!」
そういって落ち始めたが、痛くなかった。
篤鳴が受け止めていたのだ。
「大丈夫?」
「あ・・・ありがとう!!」
篤鳴はじっと彩華を見た。
そしてこういった。
「何故怨霊封じの能力を持っているんだ」
「は?」
「・・・・・・怨霊封印能力は私と師匠しか持っていない・・・。お前やはりアメリカの者か?」
「?アメリカ人じゃないけど・・・」
彩華は篤鳴の表情が険しくなるのがわかった。
「今すぐに逃げろ」
「へ?何で」
「何でもいい!!早く逃げるんだ」
「もう遅い」
どこからか声が聞こえたと思ったら木のうえから人が降りてきた。
黒い長髪の男性だ。
「篤鳴。その女はスパイかもしれない、捕まえろ」
「・・・・・・・師匠」
(この人が師匠?)
そう思っていると村人が彩華を取り押さえた。
「な・・・・何するのよ!!」
「怪しいとは思っていたが、まさかこれほどとはな。牢に入れておけ」
篤鳴の師匠はそういって立ち去った。
「ちょっと!!ナンなのよ!!助けてよ篤鳴さん!!」
「・・・・・・・・」
篤鳴は何も言わずに立ち去ってしまった。
彩華は気が遠くなりそのまま意識を失ってしまった。