時の封印【3】
「ちょっと!!出しなさいよぉ!!」
彩華は牢屋の中で叫んでいた。
なぜか捕まりこんな薄暗い牢の中に放り込まれて・・・。
そして最初に頭に浮かんだのは・・・。
「篤鳴さんはどこにいるのよぉ!!人がせっかく助けてあげたのに何なのよ!!」
篤鳴への不満を言い始めた。
「どうやら元気そうだね」
暗い闇の中から声が聞こえた。
聞き覚えのある声・・・。
「篤鳴さん!?」
そう、自分を見捨てたあの男だ。
彩華はおもいっきり怒鳴った。
「何で助けてくれなかったんですか!?」
「ごめん・・・。悪いとは思っているけど・・・」
「だったら今すぐ出してください!!」
「それは無理」
即答・・・・。
「なんでですか!?」
「いろいろとあってね。それに私はすぐに師匠のところに行かねばならない」
「・・・・・・あの、私どうなるんですか?」
「まだ、決まっては無い」
彩華の表情が曇ったのを見て篤鳴は慌てた。
「あ・・・・。そ、その・・・・死ぬことは無いと思う。まだ、わからないが・・・・。だ、だが・・・私が師匠を説得する」
「篤鳴さん・・・」
「・・・・・ひとつきいていいか?お前はどこから来たんだ?」
「・・・・・・・・東京」
「?アメリカではないのか?」
「これから言うことを信じてくれる?」
篤鳴は不思議そうな顔をしてコクリと頷いた。
「私・・・たぶん未来から来たんです」
「・・・・・?未来から?」
「ここの江戸のことを未来では東京って言うんです」
「・・・・そうか、ではアメリカのものではないのか」
「信じてくれるんですか!?」
「まぁ・・・嘘はついていないと見える」
そのときふと思い出した。
「あの・・・私が捕まったとき誰かスパイって言いましたよね?」
「ああ・・・」
「よくスパイなんて言葉を知っていますね」
「・・・?ああ、外国の言葉だからか。実は最近知ったんだ」
「最近?」
「ああ、お前と同じように未来から来たと言っている人間がいてな。そいつからいろいろなことを皆教えてもらっているんだ」
「未来から・・・来た」
本当なのか・・・自分と同じように未来から?
そして篤鳴からその人物の名をきいた。
名は笹倉さやか。
それは彩華の親友の名だった。