時の封印【5】
目が覚めたとき、知らない場所にいた。
「彩華!!おきたのね」
聞きなれた声を聞いた。
甲高い女性の声。
「・・・・・・・・・さやか」
幻かと思った。
「よかった、牢屋が崩されてその下敷きになっていたのよ。生きてるなんてすごい奇跡的だわ」
「・・・・怨霊は?」
「?もちろん封印したわよ」
さやかは笑顔だった。
気を失っているとき声が聞こえたような気がした。
―苦しい―
そんな声が・・・。
「龍之介さんが彩華に話があるって言ってたわ」
「龍之介?」
「ええ・・・篤鳴の師匠よ」
あの人か・・・と彩華は思った。
「私は用があっていけないけど篤鳴がいるから大丈夫」
さやかはそう言って違うところへ歩いていった。
★「目が覚めたのだな」
師匠―龍之介が座っていた。
隣には篤鳴がいた。
「あなたは怨霊封印能力があると聞いているが本当か?」
「怨霊封印能力?」
「そうだ、持っているのかいないのかはっきり申せ」
「・・・・・持っていると思います」
「そうか・・・・」
沈黙が流れる。
「・・・・・・お前も我々と共に怨霊封印をするか?」
「え・・・・?」
「するかどうかはっきりしろ」
龍之介の目が怖かった。
だが、同時に思い出したのは・・・・牢屋が崩れたときの恐怖だった。
今も覚えている、あの恐怖は忘れられない。
「・・・・・・・・いやです」
「・・・・・・・・・・」
「私、怨霊封印はできません」
「・・・・・・・・・・」
「私には無理です」
「・・・・・・・・・」
龍之介は黙ったままだった。
口を開いたとき思いがけないことを言った。
「ならば処刑にするまでだ」
「!?」
「師匠!?」
隣にいた篤鳴も思わず声を出した。
「怨霊封印能力者が勝手にうろうろすると困るのだよ」
「でも!!処刑なんて」
「そうです師匠!!」
「篤鳴。怨霊封印能力者はいろいろいる。怨霊を操ることのできるものもいるんだ」
その言葉が合図の様にいっせいに兵が現れた。
「その女を捕まえろ!!牢屋に放り込め」
「は!!」
兵が彩華を捕まえようとする。
「・・・い・・いや!!!!」
彩華は兵を殴り倒し邸の外に逃げていった。
「!!!師匠!!!何故あのような酷い事を!!」
「怨霊封印ができてもやる気の無いものは邪魔なだけだ」
彩華の頭にその言葉が残っていた。