時の封印【9】
「あ!エルウィーさん!!」
彩華は部屋に入ってきた金髪の美少年を見て名を呼んだ。
エルウィーはさっきの話を思い出し、顔がこわばった。
だが、すぐに笑顔を作る。
「アヤカ・・・」
「エルウィーさん、副リーダーって本当だったんですね!!びっくりです」
「あ・・・ああ」
(こんな少女が怨霊を操るなど・・・やはりありえない。私の考えがあっていればよいが)
エルウィーはユリエルと遊ぶ彩華を見た。
無邪気に遊ぶ少女。
「・・・・アヤカ」
「ん?」
「怨霊を操るやつに心当たりは無いか?」
「怨霊・・・」
下を向く彩華を見てエルウィーははっとした。
(しまった!!この子は怨霊のことを思い出したくないんだ)
「・・・・ありません」
「・・・すまない、へんなことを聞いて」
「いえ・・・」
沈黙が流れる・・・。
ユリエルはそんな二人を見ておどおどしている。
だが、すぐに沈黙は破られた。
「やぁ、こんにちは」
そういって部屋に入ってきたのは・・・
「リュウザイ様!?」
ユリエルとエルウィーが声を合わせていった。
彩華は初めてリュウザイを見た。
「・・・この人が・・・」
「はじめまして、君が噂のアヤカだね」
「は、はい!!勝手に船に入ってしまい申し訳ありません」
「いやいや、エルウィーがどうしてもっていうからだよ」
リュウザイはそういうと彩華の頬に触れた。
顔がかなり近い。
「・・・・ふ~ん」
「リュウザイ様!!何をしているんです!?」
「観察だよ、か・ん・さ・つ」
「・・・ふざけるのもいい加減にしてください」
「怖いね~エルウィーは」
そういうと、リュウザイは手を離した。
(・・・びっくりした)
彩華はリュウザイの顔を見た。
この人がリーダー?
不思議だ。
どう考えてもエルウィーのほうがリーダーっぽい。
そう考えているときだった。
「リュウザイ様、エルウィー様!!何者かが船の前に来ています!!」
「何?」
リュウザイは立ち上がった。
「・・・どんなやつだ」
「は!日本人で彩華とあわせろっと言っております」
「・・・?アヤカと・・・」
リュウザイは部屋を出て外を見た。
黒髪の少年が立っていた。
その横には黒髪の女の子。
「・・・あいつらは・・・」
「篤鳴!さやか!?」
リュウザイの後を追ってきた彩華は大声で言ってしまった。
久々に見たような気がする。
「・・・・あれがアヤカの仲間か?」
「・・・うん」
「・・・お前を殺そうとしているやつらか・・・許せないな」
「!?違う・・・あれは友達よ。私を殺そうとしているのは龍之介っていう人」
「!?」
エルウィーは驚いた顔をした。
「リュウノスケ・・・」
「?知っているの??」
「・・・・・・・・・いや」
「お~い!!彩華」
2人の会話を篤鳴の声がさえぎった。
「・・・師匠は私が必ず説得する!!だから戻って来い!!」
「・・・篤鳴さん・・・」
彩華は泣きそうになるのをこらえた。
隣でエルウィーとリュウザイが見ていた。
「・・・リュウノスケか・・・。アヤカ、そのリュウノスケというやつに会いに行こう」
「!?い、いやです!!だって会ったら・・・」
「私がアヤカを助けてみせる」
「エルウィーさん・・・」
エルウィーは笑顔で彩華の肩を叩いた。
その横で・・・。
「・・・私もいこうかな」
「リュウザイ様?」
「エルウィーがいくなら私もいく・・・と、いうわけじゃないが・・・怨霊を操っているやつが日本人ではない可能性が出てきた。今なら日本と手を結び怨霊封印をすることができるかもしれない。情報なども手に入るしな」
「・・・つまり、手を組むように交渉すると?」
「そういうこと、私たちがついていけばアヤカを救えるだろ?」
「・・・・・・」
彩華はリュウザイの顔を見た。
篤鳴とさやかも大声で彩華に言った。
「彩華!!私たち親友でしょ!!あんたが苦しいときは必ず助けるから!!」
「そうだ!師匠は少し神経質になっているだけだ!!本当は優しい人なんだ!必ず説得してみせる」
「みんな・・・ありがとう」
彩華は知らないうちに涙がこぼれているのに気がついた。
・・・・・柏木龍之介を説得するために5人は邸へ向かった・・・・