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蒼海【10】

ずずずーとラーメンをすする。
ちゅるっと糸を巻く様に口に入る前に踊り、そのまま吸い込まれていく。

テレビを見ながらカップラーメンを食べていた。
常温に保たれ、過ごし易い室内にラーメンの湯気が漂いそして消えていく。

これで今日も終わる。一日がどれだけ短いか実感できる。

太陽の寿命=地球の寿命。すなわち、人間の寿命。
太陽の寿命は本来90億年もある。
そんな太陽の寿命を一年にして考えてみる。ということは、地球の寿命も一年になるわけだ。
そのたった一年で我々人間が生まれ、文化を築き、生きてゆくのだろうか。


たった一年に人間が生きていた時間を計算すると、わずか17秒程度なのだ。
それだけ人間の築いた文化と歴史は浅いのだ。

と、何だか偉そうな哲学者と天文学者が言っている。
そんなこと、どうだっていいじゃねーか。
何を議題に話しているのか分からないが、討論がどんどん熱くなり、熱弁する人たちが増えてきた。

うっとうしさを覚え、乱暴にテレビのリモコンを手に取り、テレビの電源をOFFにした。
消したときにプツンという何かが切れた音がした。
両親はすでに寝ていた。
心地よさそうな寝息を立てている。このまま起きないんじゃないか、って思うぐらい。
本当に忙しいのは明日からだ。それを考えると、早めに寝るのが妥当か。


・・・現在午後9時。
オレは部屋を出て、船内の廊下に出る。そのまま元々脳内にインプットされていたかのように甲板に向かった。

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