蒼海【13】
燃える緑。覗き込むと底が見えるくらい透き通り鮮やかなコバルトブルーの海。
この島の第一歩を、オレは踏んだ。
確かにこの島の土を踏んでいる。
春なのに、肌が暑さを感じるくらいの気温だった。
汗が、少なからず噴出す。
「いやー・・・・案外暑いなぁ。まさか、ここまでとは・・・。」
「本当ね。南の島だからとは思っていたけれど、けっこう日差しも強いわね・・・。」
・・・本当だな。
まぁ、住めば都だ。・・・なんかおかしいかな。
おまけに、港なのに何にもない・・・。
港として機能しているのかさえ怪しい。
船からオレたちの家具を乗せたコンテナがでかい乗り物によって運ばれている。
・・・まるで牙をつけたような車。でかい。
大型トラックにコンテナをつみ、そのまま何処かへと向かってしまった。
「・・・あのさ。オレらどうやって行くの?」
父親が当然のように言った。
「歩いて、だ。そんなに遠い場所でもないし、歩こう。
それに、この美しい自然を見ながら散歩するのもいいだろうしな!」
見知らぬ土地を散歩・・・まぁ、住む場所なのだが。
ニュアンスが輝いているな。・・・またなんか使い方がおかしいな。
手荷物もさっきの大型トラックにつんでもらった。
手ぶらではあるけれど、だるい・・・。
「さ、そんな顔しないの。歩きましょう、いい運動よ?」
表情に出てしまっていたか。いつもそうなんだけどな。
オレは渋々両親の後ろにとり憑くように密着し、歩き始めた。
・・・日よけさ!
オレって白状者・・・大丈夫、ちゃんと孝行するつもりだから。