蒼海【15】
それからしばらく歩いていると、家がポツポツと見え出してきた。
もちろん、周りの景色は変わることは無いが。
徐々に周りの風景が絵になってきた。誰もが想像してしまう田舎、そんな感じ。
「完璧なまでに木造の家ね。
それでも、作りはしっかりしているように見えるわ・・・」
ここでシャッターを切る音がした。
写真を撮ったようだ。つーか、カメラ持ってたのか。
こんな木造の家を撮って何になるんだろうか。謎だ。
そういえば、オレ達の家ってどんな家なのだろう。
一戸建ての二階建て。それしか聞いていない。
これに限っては、両親の情報も頼りにはならないかな。
「なぁオヤジ。いつ到着?
それに、どんな家か気になるぞー・・」
ん?そういえば、両親は此処を一度下見しているんじゃないのか?
二人の反応を見る限り、明らかに初上陸、って感じなんだけど・・・。
そうでもなければ、とても家なんて決められないはずだ。
・・・まさか。
「ハッハッハ。そんなことお父さんにも分からないよ
一年間住むだけだし、まぁいいかな、ってな。それに前まで人が住んでいたというし、危険もないようだぞ?
まぁ、もうすぐで到着するはずだぞ」
うぉーーい!適当かよ!
口振りからして「写真見て決めました」って言い方だな!カメラマンがそんなのでいいのかよ!?
「大丈夫大丈夫。つい最近まで普通に人が生活していたんだ。
曰くつきのわけでもないし、大丈夫だろう」
・・・らしい。あまりにも楽観的な見方にオレは呆れるしかなかった。
それに、よくよく考えれば、一年中家にいるのはオレだけ・・・。
大雑把すぎて笑うしかなかった。これは、呆れ笑い。