蒼海【17】
遂に、新しい我が家に到着した。
思ったより、ボロっちぃ。
日本家屋。二階建て。
玄関は外から見てみると普通のドア。
どこか哀愁を感じさせる家とはつりあわない気がした。
「どーもぉ、お世話になりますぅ」
母親が知らない人に頭を下げている。
両親よりも目上の方だな。
どうやら、島に住んでいる人々のようだ。
5,6人くらいいる。みんな、明らかに農業していますよ、そんな格好。
一人のおじさんが被っている麦わら帽子が、よりいっそう強くそう思わせた。
「いえいえ~こんな島に人が引っ越してくるなんて、珍しいですねぇ
しかも、二家族もきますからねぇ」
ふるこけたバンダナというか、ふろしきを頭につけているお婆さんが言った。
方言を感じさせない。というか、使っていないような・・・。
それに、オレたち以外にも引越ししてくる人いるんだな。
きっと、この島では珍しいことなのだろう。
「おや?そうなんですか?
僕達、カメラマンなんです。この美しい自然を是非このカメラに収めたい、と思いまして。」
「おやまぁ、嬉しいねぇ。是非納めてください。
・・・あら、お子さんもいるのですねぇ」
お婆さんがオレを見て両親に問う。
優しいお婆さんの笑顔を見て、心が洗われた。
ここは、きっといい人たちばかりだ。そう思った。
「はい、僕たちの子供なんです。
色々と世話を焼かせるかもしれませんが、宜しくお願いしますね。
な、龍二?」
ポンと肩を叩かれた。
オレは苦笑いしながら頭を掻いた。何故か、反抗する気にはなれなかった。
「あんらまぁ、これでまた若い子が増えるわねぇ」
お婆さんはにぎやかそうに言った。