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WILD SPIRITS【2】

どもども。
そんなこんなでWILD SPIRITS(以後W・S)第二話です。

前回……少々長かったなぁ……と投稿後に自分で少々反省。
というわけで今回は少し短めにしました。(前回の半分くらいかな?)
なので、ちょっと最後が微妙なところで切れてますがご容赦ください m(_ _)m


でW・S登場人物紹介前回の続きは今回初登場する「マスター」と渚の妹の「遥」です。

マスター
月夜市内で小さな喫茶店を営む大柄な男性。
見た目は明らかにカタギじゃないけれど、
性格は豪快ながら面倒見のいい「おやっさん」的な人物。四季とは古い知り合い。
本名ともども謎が多い人物でもある。

吉崎遥
四季の探偵事務所で事務やら色々お手伝いを務める女の子。19歳。
渚の実の妹で四季とも幼馴染。四季のことも実の兄のように慕っている。
ついでに年が近いマオとは仲良し。

今後も、新たな登場人物など出てきましたら随時紹介していきたいと思います。
ではでは、W・S本編どうぞ~。


/2

「四季……。お仕事の……はなし?」

張り詰めた空気の中、マオが四季に問いかける。
その声音にも、この場の空気と同じくどこか緊張の糸が張っていた。


「……どうやら、そういうことらしいな。よしわかった、話を聞こう。
場所は……いつもの所でいいか?」

そう言って、四季が渚に目配せをすると渚は無言で頷いた。


四季はそれを確認するとマオと遥、それぞれに告げた

「……そうか。マオ、お前にも関係ある話だ。一緒について来い。
……それと遥、留守番頼んだぞ。何かあったら携帯に電話してくれ」


「わかった」「了解です」と二人からの了解の返事を聞くと四季はクローゼットから愛用の黒いジャケットともう一つ、
クローゼットの奥から「とあるモノ」を取り出し懐にしまいこむ。


「あら……。四季君、ソレ、持っていくの?」

渚が、その懐にしまいこんだものを見て怪訝そうな顔をしている。


「ん……あぁ、万が一だよ。心配すんな、街中で振り回したりはしねーさ」

四季は笑いながら渚にそう言うと、「とあるモノ」を押し込んだ自分の右胸元を叩いて見せた。

「そう……ならいいけど」

渚はそう言うと、目を閉じ、向こうを向いてしまった。


「さーて、それじゃあ、行きますかね」

「いってらっしゃーい」という遥の明るい送り声を聞いて四季、マオ、渚の三人は探偵事務所を後にした。

~月夜市内 駅前中央通り 喫茶店「Owl’s House」~

「さーて、到着……と」

三人がやってきたのはこの月夜市の中で一番人々が賑わう場所、駅前通り。
四季の事務所から歩いて約十分ほどの位置だ。

そして彼らの目的地はその中ほどに在る。
彼らが立ち止まった先、そこは小さな二階建ての喫茶店の前だった。


「……相変わらず、客のいないお店ね……ここ」

渚がウィンドウ越しにがらりと空いた中の客席を覗いて、半ば呆れ気味にボソリと呟く。
挙句の果てには「一見さんはお断りだったかしら」などと言っている。


「なーに、言ってんだか……」

そんな渚を尻目に四季は入り口のドアノブに手をかける。
客は来なくとも毎日しっかりと磨かれているのだろう。その金属製のドアノブはピカピカだった。


「邪魔するぜー、マスター」

四季が気安い口調でそんなことを言いながら入り口のドアを開ける。
飲食店などに良くある、入り口ドアに備え付けられたベルがカランカランと乾いた音を立てた。


「……ん。おう、いらっしゃい。……って、なんだ四季か。随分と久しぶりだな」

そんな月村御一行を野太い声で出迎えたのは、
身長190はあろうかというドデカい体躯に厳つい形相でグラサンまでかけた壮年の大男だった。

この店に客がいないのも頷ける。この男、明らかにカタギの風体ではない。


「いやー、最近ちょっと忙しくて、中々来れなくてな」

そんな偉丈夫相手に四季は物怖じもせず気軽に世間話などをしている。
他の二人も似たような態度でさして驚いた感は見られない。


それもそのはずだった、三人はここの数少ない常連だったし、
四季に関してはこの男とは旧知の仲である。

仕事の無いときなどは、よくここに来て日がな一日談笑などをしながら時間をつぶすということもよくあるのだ。


四季たちを出迎えた彼は、通称「マスター」と呼ばれているこの喫茶店の主人。
前記の通り、この男は四季とは長い付き合いであり、他の二人とも顔なじみだった。

彼の正体については………ゴホン、今はまだ何も言わないでおこう。
いずれ嫌でもわかる時が来る。それまでしばし待っていていただきたい。


「……で? 四季。今日はマオと渚の嬢ちゃん二人と一緒で、
そして懐にンなもん忍ばせてご来店ってことは……アッチの仕事のお話かい」


四季との少しの世間話の後、マスターは声のトーンを落とし、
その自慢のサングラスを光らせながら四季の右胸を指さしてそう言った。

どうやら、マスターも四季たちの事情については認知しているらしい。


「ひゅう、相変わらずドデカイ図体のクセして鋭いね。ま、その通りだ。
で? 座る席はあるかい?」

四季が変わらず軽い調子でそう聞くと、マスターは「フン」と鼻を鳴らして答えた。


「イヤがらせか、テメーは。どの席も予約はねぇ。好きにしな」

「そうか、アリガトよ」
四季は、マスターの言葉を聞くとそう言って相変わらずの調子でカラカラと笑った。


「……ごゆっくり」そう言って、マスターはもう一度鼻を鳴らすと
不機嫌そうにそのデカイ体を揺らしながらノシノシと店の奥に消えてしまった。


「あーらら、ご機嫌損ねちゃったかね……」
そんなことを四季が頭を掻きながら呟くと、背後から渚の声が飛んできた。


「……もういいでしょ。こっちとしては早くお仕事の話、しちゃいたいんだけど」


振り向けば、腕を組みジト目でこちらをにらむ渚と、その後ろで「ウンウン」と頷くマオの姿があった……。


つづく

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