« 命 | メイン | 天使in悪魔【5】 »

クリスマス・イブ

 クリスマス・イブ――
  
  恋人たちの1大イベント。駅前の噴水の前には、恋人を待つ人で、埋め尽くされてくる。

  莉架(りか)もその一人だった。
  
  莉架はさっきからちらちらと時計ばかり見ている。そのたび、ため息の数も増えていく。
  
  「はぁ..」

  寒さにため息交じりの息を吐いた。
  
  莉架はぼそっとつぶやいた。
  
  「まだかな..翔(しょう)..。10時に駅前の噴水でっていう約束なのに..」
  
  時計を見るともう、10時20分。翔は時間はきっちり守るいいやつなのに――
  
  莉架は、昨日のことを思い出してみる。
  
  ――12月23日 午後9時
  
   『ピリリリ、ピリリリ』携帯がなった。翔からだ。
  
   「もしもし、莉架です。」
  
   『あっ、俺、翔。明日空いてる?クリスマス・イブだから、どっか行こうと思って。』

   「いいよ、いいよ、大歓迎だよ。じゃあ~明日の朝10時に、駅前の噴水広場の前で待ち合わせね。どうっこれ!?」
  
   駅前の噴水広場は待ち合わせには最高のスポット。
  
   『いいよ。明日の、朝10時に、駅前の噴水広場ね。じゃあまた明日、莉架。おやすみ~』
  
   「うん!また明日ね、翔、おやすみ。」

  
  ――12月24日午前9時30分

  そのころ翔はバイトに励んでいた。
  
  
 「いらっしゃいませ。ご注文は何にしますか?」

 翔はいつものように、「カフェ『フロマージュ』」で働いていた。
 
 ちらちら時計を見ながら。10時に近づくに連れて、気持ちに余裕がなくなっていく。

 翔のバイトの時間は10時まで、今日は特別に早くしてもらった。
 
 10時1分前――

 挨拶をして翔が終わろうとしたその時だった。     ガシャン! 

 キッチンのすぐ手前で大きな音がした。新米のアルバイトがグラスを割ってしまったのだ。

 「あっ!もぉ~やっちゃって~ちょっと翔!手伝ってやって。」
 
 店長の藤宮(ふじみや)さんは急いで帰ろうとしていた翔を引きとめ、手伝わせている。
  
 〈あ~もう、こんな時にお前は何やってるんだよ〉
  
 翔は心の中で文句を言い続けている。
 
 翔は手をとめ、時計を見た。もう、10時15分だ。

 「あっ!翔君。もう帰っていいわよ。もう時間も過ぎちゃってるし。」

 翔は慌てて立ち上がり、店長の藤宮さんに、頭を下げた。
 
 「ありがとうございました。」

 「はい、これ給料だよ。最近頑張ってくれてるから、倍増してあるよ。」
 
 翔は藤宮さんから給料を受け取る。中を開けると、翔は目を丸くした。

 「ふっ、藤宮さん!これ..1万円も入ってますよ。」

 翔は、藤宮さんに問い詰めてみた。藤宮さんは、くすっっと笑った。
 
 「いいよ、いいよ。さあ、早くしないと、もう10時20分だよ。」

 「あっ、ありがとうございました!。」
 
 翔は藤宮さんに頭を下げると急いで、フロマージュを飛び出て行った。

 


 ―――10時35分

 莉架のため息の数は時間とともに増えていくばかり。

 シュワッ...頬に冷たい物が触った。
 
 莉架は頬に手を当てた。...雪だ―

 莉架は空を見上げた。どんどん「雪」と言う名の天使が舞い降りてきた。
 
 「うわぁ~雪だ。ホワイトクリスマス・イブだ~。うう..寒い..。」

 そっと首に何かが巻きついた。..虹色のマフラーだ。
 
 莉架は振り向いた。莉架の目に飛び込んできたのは..翔だった。
 
 「翔!遅いぞ!」

 莉架はそう言いながらも翔に抱きついた。

 翔と莉架は世界一の幸せ者..多分。


後書き
なぜだかいつも、ラブストーリーになってしまう、羅維です。短編は初めてなのでこれからよろしくおねがいします。でわv
凛「て言うかこれから無いよね、短編だもん」えっ凛さん何処から..椿「椿もいるよーん!」えっ..うちの出番が... 

コメントする