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お宝争奪戦【1】


                  お宝争奪戦   前編



皆が昼食を食べているとき、突然チャットが口を開いた。
「ちょっと皆さん聞いて下さい。」
「なんだよキャプテン?」
「実はですね・・・」

「超高価なお宝の話を聞いたんだけどさ・・・一緒に来てくれない?」
同じ頃、スタン達もルーティに同じようなことを言われていた。
「え~、なんでだよ。大体1人で行けばいいだろ?」
「うるさいわねスタンの分際で・・・」
ルーティの目から明らかに殺気が感じられる。
『まぁ、ルーティに睨まれたら終わりだ。観念しろ、スタン』
ディムロスがスタンを諭す。


「その宝があれば新たな精霊と契約が結べると言う・・・。どうだ、一緒に取りに行かないか?」
クレス達もクラ―スに(以下同文)。
「クラ―スさん、久しぶりに会ったと思ったらそんなことで・・・。」
「聞いた話では死人もを蘇らせる力があるというが・・・。」
その言葉にチェスターが承諾した。
「よし、善は急げって言うし、さっさと行くとするか!」


「その宝があるといわれている島は毎年渦に覆われていて、普通の船では入れませんが僕のバンエルティア号ならかんたんですよ!」
チャットが微笑んでいると横に丸くて小さな浮島のようなものが浮かんできた。かと思うと浮島の前のほうも浮かび上がってきた。
「わ、わああ海竜だ・・・」
「海竜!!?」
「もしかして・・・」
ファラとリッドはそう言いながら甲板に上がる。
「あれはもしかして・・・スタンの言ってた・・・」
すると、海竜のほうから声が聞こえてきた。
「おーいリッドー久しぶりだな―!!」
「やっぱりスタン達か・・・」
安心している二人にスタンが驚きながら二人の上を指差す。
「ああ!人が飛んでる!!?」
「いや、あれはクラ―スが呼び出したシルフの力だろう。つまりアレはクレス達だな・・・。」
突然やって来たキールにリッドが驚きつつも質問する。
「おまえ・・・乗り物酔い治ったのか・・・?」
リッドの言葉でさっきまで大丈夫そうだったキールの顔が一気に悪くなる。
「おいおい、さっきは集中しすぎてただけなのか?」
「そ・・・そうみ・・・たい・・・だな・・・」
そういいながらキールの体が床にぶつかった。
「おいおい、本当に大丈夫かよお前?」
「みんな考えてることって一緒なんだね・・・。」
「それは・・・集合的無意識と言うやつか?確かにあの論文は気になったが・・・・」
突如元気になったキールに対し、リッドが提案する。
「お前さぁ、船乗るときとかなんか考えてりゃ良いんじゃね―のか?」
「そうだな、それは良い。リッドにしては良いことを思いついたもんだな。参考になった。」
船は、ちゃくちゃくと渦の上を通って行った。


皆がついた島は魔物の匂いがどことなく漂う不気味な、まるで地獄のような島だった。
「なんか・・・あからさまに宝がありそうなんだけど・・・」
「あきらめろスタン、それよりルーティ、この島であってるのか?」
マリーが振り向いたところにはルーティと、大きな顔のようなもののあるモンスターだった。
「そいつは・・・エレメンタラ―じゃないか!まさかこんなところで生息していたなんて!!」
キールが感心しながら呟く。
「いいから、助けなさいよ~バカスタン!!」
エレメンタラ―にあっけを取られていたスタンの顔が引き締まる。
「そうだった!!紅蓮剣!!」
炎を纏ったディムロスがエレメンタラ―目掛けて飛んで行き、エレメンタラ―の顔に刺さった。しかしエレメンタラ―はびくともせずにルーティの方へ向かって行く。
『どうやらコイツの纏っている炎が炎系の攻撃を吸収しているようだ。さて、どうするか。』
ディムロスが敵に刺さりながら呟いた。


「凄いなこの島は。人の手がまるで入ってはいないではないか!!」
スタン達と別ルートで行ったクレス達はその自然の多さに驚いた。
「やはり、あの渦のせいで普通には入ってこれないのだな。」
そう独り言をクラ―スが言っている間にクレス達は先に行ってしまい、もうすでに見えなくなっていた。
「おいおいせっかちな奴らだな、あせっても宝は逃げたりしないのに・・・。」
ふと、クラ―スの後ろから殺気が感じられ、クラースが足を止める。
「なんだ、コイツは・・・?」


一方クレス達はクラースがいなくなったことには気づかず、どんどん先に進んでいた。
「そういえばクラ―スさん、例の精霊ってどんな人(?)なんです・・・あれ、クラ―スさん!?」
クレスの質問で、皆はようやくクラ―スがいないことに気づいたのだった。
「おい、俺らが通ってきた森が燃えてるぞ!!」
「たぶんそこにクラ―スさんがいるんだ、行くぞ!!」
クレス一行は森の燃えてるところに向かって走って行った。


スタン達は未だルーティを襲っているエレメンタラ―が倒せずにいた。
「あんた達、もっとしっかりやりなさい!危ないじゃない!!」
「仕方がない。斬!!」
マリーはそう言い、エレメンタラ―に向かって斬りかかる。
『だめだな、どうやら私の炎の力を吸収しているようだ。まずは私を引き抜かなくては・・・。」
そうディムロスが言っている間にもエレメンテラーにできた傷が治っていく。
「仕方がない、しばし動きを止めるから、すぐにディムロスを抜くんだ!」
ウッドロウはそう言うと呪文を詠唱し始めた。
「動きを止めておきましょう、ツインボム!!」
フィリアが徐に特製爆弾を投げつける。
爆弾が見事命中し、エレメンタラ―の足が止まるのをウッドロウは見逃さなかった。
「今だ、ストリームアロー!」
イクティノスから何本もの風の矢が飛んで行き、エレメンタラ―に直撃する。
すかさずスタンがディムロスを抜く。
「ディムロスは返してもらうぜ!」


「あれ、キールはどこへ行ったんだ?」
キールがスタン達と一緒にいることを知らないリッドは皆に聞いた。
「なにいってんの?キールならスタン達と一緒に行ったじゃない!」
「あれ、そうだったっけ?そんなことよりよ・・・」
リッドが指差したものは謎の鏡だった。
「な?」
「・・・こんな謎解きキールが居ないと出来ないじゃない!!」
その台詞にリッドの口からため息がでる。
「だから言ったんだよ。どうする?引き返してキール連れてくるか?」
「2つの玉が映った1つの鏡・・・?何でしょうコレは・・・?」
「鏡に映ってるんだから・・・マジックミラーとか?」
「そんなことは・・・」
そう言いながらチャットが辺りを物色し始めた。
「あ・・・スイッチがありますけど、あからさまに怪しいスイッチですよね・・・。」
リッド達はそのスイッチに夢中になる。
「あ、クイッキー、そのスイッチ押したらだめだ・・・」
スイッチの近くに行ったクイッキーを止めようと、メルディが近づいたが、クイッキーはまるで鬼ごっこでっもしているかの様に
逃げて行き、ついにはスイッチの真横まで来てしまった。
「クイッキー?そのスイッチ押しちゃ駄目だよ?」
「クククイッキー!!」
ファラがクイッキーをなだめるが、クイッキーはまるで聞かないようにスイッチを押してしまった。
ドゴ・・・ッという不思議な音と共にリッド達の足元が崩れ落ちた。
「え、わああああああ!!!」
リッド達はそのまま穴の中に落ちていってしまった。


「まいったな・・・こいつには精霊も効かないって言うのか?」
モンスターに襲撃されたクラ―スは精霊を召喚し対抗したが、そのモンスターは傷つく様子もなく襲い掛かってくる。その敵が襲ってきたとき、敵のシルエットをようやく見ることが出来た。が、それは同時にクラ―スに驚愕の事実を教えてしまった。
「ま、まさかこいつはクレイアイドル!!」
(なんてこった。クレイアイドルに効く呪文はトラクタービームだけじゃあないか!)
「こうなったら、逃げるが勝ちか・・・。」
そう呟き立ち去ろうと後ろを向いたとき、右肩に痛みが感じられた。
「っ!!こいつ、離せ!!」
そう言ったところで離すわけもなく、クラ―スは力を入れ無理やりクレイアイドルを突き放した。
「ノーム、こいつを封じ込め!!」
『分かったよ~ん』
そう一言言った後、ノームはクラ―スとクレイアイドルとの間に土の壁を作り上げた。
「さて・・・ここに居ても宝は手に入らないからな。さ、急ごう。」
そう言ってクラ―スは去って行った。


エレメンタラ―を何とか倒すことの出来たスタン達はちゃくちゃくと宝探しに向かった。
「そういえば、皆はどうしてここに?」
キールが皆に問う。
「ルーティが何処からかこの話を聞いてきてさ。それで連れて来られたんだ。」
「いいじゃない、皆に会えたんだしさ。」
話ながら先に進むと洞窟への入り口が見えてきた。
「お、洞窟があるじゃないか。」
「待てスタン君、ここは不用意に近づくべきではないだろう。」
と、ウッドロウがスタンに注意したが、もう既にルーティが入り口付近に行っている。
「大丈夫そうよ♪さっさと入りましょう。」
「大丈夫だって。行こうぜ!」
そう言ってスタン達は中に入ってしまい残ったのはウッドロウ一人となってしまった。
「仕方がない、それでは行くか。」
そう言いウッドロウも中に入っていった。


クイッキーのおかげで穴の中に入ってしまったリッド達は仕方が無く辺りを調べてみることにした。
「何もね―な・・・このままじゃ皆のたれ死ぬぞ。」
冷静に考えているリッドに皆が焦りを感じた。
「なんだよ、俺が冷静なのが可笑しいのか?」
「まさかあなたが一番冷静だなんて珍しいですからね。」
その時、メルディが足元の本に気がついた。そして本を拾い上げたとき、その本の表紙がチャットに見えた。
「!その本の表紙のマークは!!!」
驚きの声を出したチャットを皆が見る。
「いや、まさかそんなはずは・・・」
「どうしたんだキャプテン?」
「この本は・・・僕の祖父アイフリードの物なんです。」
「!!!」
皆はチャットの言葉にただ呆然とするしかなかった。


                                                 続く

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