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『Tales of Lux』~光の涙~【4】


第三章  『眠る記憶』



この砂漠を進めばきっとあの夢に出て来た黒い塔があるはずだ、僕はそう信じていた。
森から突然暑苦しい砂漠を歩いていると、何か幻覚でも見ている気分だ、目の前がモ
ヤモヤと揺れている。
猫はゆっくり僕達を砂漠へと導いている、それとも永遠に僕達をここから出さずに、
いつか死ぬのを待っているのか、だが今はこの黒猫を信じるしかない。
暑くて意識が持たないと感じる程だ、この中を優々と猫は歩くが僕達はもう体力も無
い、限界に思えた。
だがここで諦めてはお終いだ、霊魔の呪縛から逃れるために僕は懸命だ、まだ死ねな
い。
太陽の光が全てを貫き焼き殺すような天候の中、僕らはどれぐらい歩いただろうか、
途方にくれてもどうにもならない、今気が付くと、黒い塔はどこにも見当たらない、
それどころか砂ばかりで何も無い。
僕はそこに座り込んだ、焦げ焼ける様な砂を握りしめてそこに倒れた。
『おい......しっかりしろ............』
ケットも限界だ、僕は返事をする気力も無く倒れた。
と、その時だった、突然砂が沈みはじめた、流砂だ。
気が付くと体の半分が砂に埋もれていく、ケットも砂の魔の手から逃れまいと動き回
るが砂の勢いは増していく、このまま砂に飲み込まれて僕らは死んでしまうのかと思っ
たその時だった。
たしかに砂の下が空洞になっている、そんな感覚がどこか足から伝わって来た、気が
付くと僕とケット、そして黒猫は壮大な砂漠の下にいるらしい。
光が透けて見える様だ、こんな所は初めて来た、神秘的だった。
巨大な柱が何本もあり砂漠を支えているらしい、そしてここには川があって水が流れ
ている、新鮮な水が静かに流れている。
ケットは砂漠の下にこんな神秘があったと驚き、声も出せなかった。
さっそく水を飲んでここからどこに向かうか、ここも猫が案内してくれるらしい、一
体この黒猫はどこまでこの世界を知っているのか見当もつかない。
どこかに歩き出した、だがそのときケットが何かを拾って来た、キラキラ光る水のよ
うな綺麗な石だ。
それは結構大きい、何かの宝石かと思ったら突然光だし、その光の筋はどこか遠くを
示していた。
かすかにその先には黒い物があった、夢に出て来たあの黒い塔だった。
『あそこだ.........』
僕は静かにこう言った、二人と一匹はまた歩き出した。
そしてたどり着いた、黒く崩れかけた塔。
猫は足をなめながらそこに座り込んだ、ケットと僕は中に入ろうとしたが僕は一瞬胸
が苦しくなった。
『どうした?』
ケットは優しく僕に聞いてくれたが、僕は何でもないと首を振って答えた。
暗い塔の中は何も無いように思えた、しかし入ったとたんに急に壁や天井が明るくなっ
た。
そして入って来た出入り口が勝手に閉ざされた、ここから先に何があるのか僕には予
想も付かない、真直ぐ行くと階段がある、その階段はらせんを描きながらさらに地下
に続いている。
その階段を降りていくと扉がある、僕がそれに触れようとすると、扉は勝手に開いた。
ゆっくり固く閉ざされていた扉が新しい空気を吸い込む様に開いていく、僕らはその
扉の向こうに向かって行った。
すると、壁に斧や剣、槍があり、何か武闘会の不陰気が漂う広い部屋だった、床には
見知らぬ文字が刻まれている、だが先を進むには新しい扉の前に立っている鎧を被り
剣と盾を持った人形をどかなくてはならない、かなり重そうだ。
何も危険は無いと思ったその瞬間、人形の眼に明かりが灯り腕を掲げて動き出した。
すかさずケットは剣を手に取り戦う決意をする、 だが人形はケットの剣を弾き、彼
を容易くなぎ倒した。
僕はそんなケットを見て槍を取った、その瞬間だ、何か胸の奥から何かが込み上げて
くる、こんな感覚は初めてだ、一体なんだこの感覚は。
『レイア!気をつけろ、そいつはぁ.............』
ケットが言いかけた時だった、僕は気を失った、だがもう一人の僕が変わりに現れた。
『そうグタグタ言うな、俺は簡単に死なないぜ............』
ケットは呆然とレイアを見ていた、彼が自分を"俺"と呼ぶのは今日が初めてだ、だが
他にも何か違う、彼自信が変わってしまった様だった。
レイアは慣れた手付きで槍を振り回し、それからこの槍は駄目だと投げ捨てて、大き
な片刃の大剣を取った。
人形は声も無しにレイアに向かって来た。
『全くよ、うるせい奴だなぁ...........』
さっきまでのレイアと口調が違う、いつものレイアならあんな乱暴な言葉使いはしな
いだろう。
レイアは重たそうな大剣を軽々しく持ち上げた。
『散ってもらうか! 岩斬滅砕陣!!』
大剣を全身の力込めて振り下ろし、大地から幾つもの岩片を吹き飛ばした。
人形は吹き飛ぶ岩と共に後ろに吹っ飛んだ、レイアは刃の欠けた大剣を捨てて壁に掛
けてある斧を持ち上げた。
『終わりにしようぜぇ!』
斧を構えると、突然赤紫の光の刃が撃ち出された。
『木っ端微塵だぁ! ジェノサイド ブレーバー!!』
人形はその光を受けるとバラバラに吹き飛び、跡形も無く消え去った。
『ヘッ! 楽勝だぁ.......』
レイアじゃない、ケットは分かった、しかし戦いが終わると。
『ん?あれ? 何で僕斧なんて持ってるんだ?』
突然元に戻ったレイアは斧を捨てて、ケットの方を向いた。
『お前、今..................』
ケットは冷静ながらも気が動転する様な心臓の鼓動を押さえて言った。
レイアは何がなんだか分かってないらしい、記憶が無いと同じに。
二人は次の扉を開けた、今度は周りがほとんど植物に覆われた所に来た様だった。
周りには見た事も無い物が沢山置かれている、だが驚くのはそんな物じゃない。
真直ぐ歩いて行くと何か薄ら光る物がある、ケットがさっき拾った石の光にそっくり
だ、良くよく近くで見ると、それは巨大でケットの持っている石と同じだった。
綺麗で透きとうる石の中を二人は覗いた、何か入っている様だ、するとケットが持っ
ていた石が突然激しく輝き出した。
眩しい光に眼がくらむぐらいの光が石から溢れている、すると大きな石の方に亀裂が
生じた。
ケットがそれに気が付くとレイアの腕を握ってそこから走り、逃げ出そうとした。
そして大きな音と共にその巨石はバラバラに砕け散った、破片が辺りに飛び散る。
巨大な石のあった所から煙りが舞い、シルエットの様に何かが見える、人の形をして
いる。



謎めいた影に、二人は薄ら眼を開いていた




あっとっがっき”
どうもリッド~です、何だかストーリーがぁ........
ごめんなさい、D2パクりっぽいですね、読んでくれた方これからも宜しく~!!

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