テイルズオブザワールドレディアントマイソロジー3~消失した光~ 【1】
第一話「突然の訪問者」
ガルハンゾ国の近辺にある静かなる森林<サイレントフォレスト>の中に喉かな村があった。
その村に住んでいる人たちは皆が協力し合い、それぞれが田畑で育ててきた作物を分け与えたり、時には他の家に住む小さい子供たちを預かったりして助け合いをしていた。
その喉かで静かな村―クワイト村には人間だけでなく、あらゆる種族―ガジュマ、エルフ、ハーフエルフなどの者たちが移住してきていた。
そして、その中で思いがけない訪問者がおとずれたのだ。
クワイト村―トキの家―
その日は早くに暗くなり、豪雨が激しく降り続けていた。
その荒れ狂う豪雨の中、木々たちが激しくざわざわと揺れ動き、天から舞い降りてくる雷が次々に轟音を鳴り響かせていく。
「うゎっ…また鳴ったよ、おじいちゃん―あのバチバチ光ってる雲からかな……あれなに?」
家の中で幼い少女―リオが窓越しに見える雷雲に向かって人差し指を指す。
その瞳は興味に満ちあふれていた。
そんな雷を見て何も驚く様子を見せずに興味津々に聞いてくる孫に対して、溜息をつきながら村長であるトキが素っ気ない声で答える。
「雷雲じゃよ、あの雲から雷が落ちてくるんじゃ」
「へぇ~そうなんだ~」
その祖父の声を聞いて、リオは納得したように頷く。
トキはそんな七歳のリオを見て、秘かに溜息をつく。
―普通なら女の子は雷を怖がるもの何じゃが…こいつと来たら、怖がるどころか興味を示すとは、はぁ~…どこで育て間違えたのかのう~―
トキが頭を抱えながら、また溜息をつき、顔を俯かせる。
「大変だよ、お爺ちゃん!」
リオはそんなトキの苦労を知らずに大声を出した。
その声には焦りや驚きも含まれていた。
「…今度は何じゃ――なっ!?」
トキは言葉を失った。
そう、リオの声に反応しながら、窓を見ると一人の少女が村の出入り口である門の前で倒れていたからである。
―なぜ、少女が倒れて居るんだ―
二人は目の前の状況に理解出来ずに固まっていた。
―だが、そんな中リオがハッと正気に戻り、トキに指示を送る。
「ねぇ、おじいちゃん。私がドクターを呼んでくるから、あの倒れている女の子を家に運んで―早く!」
「わかってるわい!」
硬直していたトキもまたリオの声に正気を取り戻し、返答するとすぐに豪雨の中を走っていった。
「おじいちゃん、やっぱ頼りになるな…。じゃ、私も」
リオもまたそんなトキの後ろ姿に笑顔を浮かべながらも、すぐにカッパを羽織り、ドクターであるガジュマのライルの元に向かっていった。