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テイルズ・オブ・ディステニー~夕焼け色の思いで~【1】


 テイルズ・オブ・ディステニー
                ~夕焼け色の思いで~   たすく


「ルーティ?ルーティ!」
「何よ~。うるさいわね、田舎者!」
 ここは、ダリルシェイドの宿屋。
「田舎者じゃないって言ってるだろ!」
「リーネ出身なら、十分、田舎者で通ると思うけど。」
「なんだよ。だからって、田舎者ってあからさまに呼ばなくてもいいだろ!?」
「スタンさん!リオンさんが、怒っていますよ。仲良くルーティさんとお話してる場合じゃあありません。」
 フィリアは、食堂から走ってスタン、ルーティを呼びにきたためか、息切れをしている。
「仲良くなんかしてないわよ!」
 ルーティは、ぶっきらぼうに、答える。
「ああ!そうだった。リオンに頼まれて、ルーティを呼びにきたんだっけ……。」
 スタンは、頭をぽりぽり掻きながら、フィリアを見る。
「そうですよ、スタンさん。しっかりしてください!」
「さすが、田舎者!三歩、歩けば用を忘れるってね!」
 ルーティは、けらけらと、笑い出した。
フィリアもつられて、ふっと笑う。
スタンはというと、浮かない顔で、二人を見て、
「…もういいよ。はやく行こう。リオンに電撃くらう前にさ!」
 三人は、食堂に向かった。
「…なんで、ココの宿屋は、ロビーから、食堂が遠いのよ!?」
 ニ、三歩も進んでいないというのに、ルーティは、不平をもらす。
「そうですわね。私も、走ってきたら、もう息切れするほどでしたわ。」
 フィリアは、まだ少し息切れしている。
もうすぐで食堂、というときに、電気が、ふっと消えた。
「やだ!停電!?」
 ルーティは、焦って言った。
「今日は、新月の日なので、真っ暗ですわ……。」
 フィリアも、窓の外を見て、不安そうに言う。
……誰も、停電の原因を気にする者はいない。
「とりあえず、まっすぐ行けば食堂だし、ろうそくとかもあるかもしれないから、食堂に行こう!」
 スタンの提案で、三人は、壁にそって、食堂まで歩く。
食堂に着くと、マリー、ウッドロウ、リオン、そして、チェルシーが、ランプを囲んで、座っていた。
「遅いぞ。どこをほっつき歩いていた?!」
 リオンは、どうやらご立腹のようである。
「なによ!停電で、動けなかったのよ?転んだらどうしてくれんのよ!」
 ルーティも、負けじと、リオに食って掛かる。
「転んだところで、お前は、大丈夫だろう。」
 リオンは、冷静に言葉を返す。
「どういう意味よ!」
 ルーティ、さらに食って掛かろうとするが、フィリアに椅子をすすめられ、それ以上なにも言わなかった。
リオンは、少し間をおいて、話し出した。
「さて、本題に入る。――…!」
 しかし、そこで沈黙がうまれた。
「どうした?リオン?」
 スタンが、リオンの顔をのぞきこむ。
「――…部屋に、ワールドマップを忘れてきた…――。」
 リオンのその一言で、また沈黙ができた。
が、しかし、チェルシーが、こらえられずに、吹き出した。
「リオンさん、作戦会議にワールドマップを忘れるなんて……――。」
 それにつられて、みんな、笑い出した。
「うるさい!黙れ!」
 リオンは、そう言いつつ、顔は真っ赤である。
ルーティは、このときとばかりに、さっきのお返しをする。
「あははは!偉そうな坊ちゃんも、こうなると、田舎者とかわらないわね!」
 スタンは、もう、田舎者という言葉になれたようである。
「さて、諸君、笑うのは、その辺でやめにしよう。」
 ウッドロウが、笑うのをやめた。
「そうですわ、リオンさんに失礼ですわ。」
 つづいて、フィリアも笑うのを、やめた。
「そうだな。――…、これから、どうするんだ?」
 マリーは、すっかり我に帰って、リオンに聞く。
「どうするもこうするも、この暗闇では部屋には、もどれん―」
 リオンは、真剣な顔で、言った。
「やはり、ワールドマップがないと、ダメ、か?」
「あそこには、目的地への道のりや、他にも、必要なことが書きこんである。あれがないと――。」
 リオンは、下を向いた。
「どうしましょう?ウッドロウさまぁ……。」
 チェルシーは、ウッドロウにぴったり寄り添っている。
「あ!じゃあ、みんなの、思いで話をきこうよ!」
 スタンは、もう、やる気まんまんで言った。
「いいですねえ!私も聞きたいですう!」
 チェルシーは、喜んで賛成する。そして、
「ね!ウッドロウさま!」
 と、ウッドロウもさそう。
等のウッドロウも、まんざらではないようだ。
「いいな、私も聞きたい。――私は、話せないがな……。」
 記憶喪失のマリーは、少し残念そうに言う。
「私も、聞きたいですわ。」
 フィリアも、賛成した。
「話すのは、かまわんが、僕は話さんぞ。」
 リオンも、聞く分には、構わないようだった。
ルーティは、スタンを見る。
「別に、いいけど……、で、スタン。あんたが話すの?」
「え?いやあ…。俺のことは、だいたいみんな知ってるだろ?」
 スタンは、思わぬことで、ふられて、慌てだす。
「じゃあ、誰が話すのよ?」
 ルーティは、あまり賛成ではないらしい。
「ここに、くじを用意した。」
 さっきまで、下を向いて、何かを作っていたマリーが6本の割り箸を握って、
「先が赤いのを引いた人が、話す、というのはどうだ?」
 と言った。
二人ほど、この意見に反対した――ルーティと、リオンである――が、結局、マリーの言うとうり、当たりくじを引いた人が話す、ということになった。そして、割り箸を、めいめい引いた。
割り箸の先を見て、悲鳴をあげたのは、――ルーティだった。
「どうしてよ!なんだって、私が話さなきゃいけないのよ!?」
「まあ、落ち着け、ルーティ。いっそ、あの話をしたらどうだ?」
マリーは、ルーティと、はじめから、パーティーを組んでいたためか、その話を知っているらしい。
ルーティは、黙った。
「なんですかあ?あの話って?」
 チェルシーが、興味津々で、マリーを見る。
「ルーティの、初恋だ。」
 マリーは、スタンの顔色を盗み見ながら言った。
「ルーティさんの、初恋!聞きたいですう!」
 チェルシーは、すごく、嬉しそうだ。
「ああ!もう!違うってば!マリー!」
 ルーティは、そう言いつつ、顔が赤い。
「では、話してみれば良かろう?そして、みんなに意見を聞くんだ。」
 マリーは、また、スタンの顔色を盗み見た。さっきから、マリーに盗み見られているスタンだが、本人は、『初恋』という言葉にピンときていないようだ。
「もう!」
 ルーティは、そう言うと、ため息をついた。そして、
「だって、マリー、あいつ、『僕はお前の弟だ』って言ったのよ?」
「それでも、なかなか興味深い話だったぞ?」
 マリーは、笑って言う。
弟、という言葉を、ルーティの口から聞いたリオンは、顔色を変えたが、このランプしかたよりにならない部屋では、誰も気がつかなかった。
そして、ルーティは、話しだした。
「あれは、十年前のことよ―――……」
その時、ランプが少し、揺らいだ。
――――――――――――――――
*あとがき*
つまらないうえに、長くてすみませんm(><)"mそして、ここまで読んでくれて、ありがとうです★この後は、過去の話です。良ければ、また読んでみてください。

END

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