君と2人で見た星空【1】
「あの~皆さんの初恋って何歳ごろでしたか?」
すべてはチェルシーのこの言葉から始まった。
ここは、ジェノスの宿屋。スタンたちは、訳あってダリルシェイドにむかっていた。
スノーフリアにいけばあとは船に乗るだけなのだが、さすがにもう日が暮れてきていたので
ジェノスで一晩休むことにしたのだ。
そして今は皆それぞれの部屋にいる。
そこで女性らの部屋ではチェルシーが初恋についての質問をしていた。
「・・・・え?」
皆は目をぱちくりとさせた。
「だから、皆さんの初恋はいつですか?」
ルーティが言う。
「あたしは・・・そうゆうのしたことないし・・・」
「私は・・・ダリスが最初で最後の恋だったな」
マリーが言う。
「つまり、初恋がかなった、ということですか?」
フィリアがマリーに聞く。
「そういうことだな・・・」
マリーがちょっぴり照れたように言う。
「うらやましいです~。フィリアさんは?」
「えっ」
チェルシーにいきなり聞かれてフィリアはどぎまぎする。
「あ、あの・・・私は・・・・」
「何々?あたしも知りたい」
ルーティが途中で入ってきた。
「そっ、そうゆうルーティさんはどうなんですか!?」
「えっ」
動揺するルーティ。
「自分のことを棚にあげて聞くのはよくないと思います!」
「あっ、あたしは・・・」
顔を赤らめるルーティ。
「動揺するってことは、恋をしたことがあるんですね!!」
チェルシーの目がキラキラと輝く。
「ち、ちがうわよ!こ、こんなこといきなり言われたら普通、ど、動揺するでしょ!」
顔をさらに赤くしてチェルシーに言う。
「じゃあ何で顔を赤くするんですか~?」
チェルシーがにやにやして聞く。
「うっ・・・・」
言葉につまるルーティ。
「教えてくださいよールーティさん。教えてくれないと私ルーティさんから離れませんよ~」
そう言ってチェルシーはルーティの腕にしがみつく。
「あーわかったわよ!わかったから離れなさい!!」
ルーティは腕をぶんぶんと動かす。
「あたしが10歳のときだったっけな、まぁ、それくらいの歳ね」
「ちょうど、8年前ですか・・・」
「ちょっと待ってください」
「何よ」
チェルシーはぴっ、と人差し指をのばし、左手を腰にあてた。
「ちゃんと内容をくわしく説明してくださいよ。年とどこでっていうことだけじゃ
だめですからね!」
「えっ、内容も話すの!?」
「もちろんです!それが嫌なら私はルーティさんの腕から」
「あーはいはいわかりました!っていうか何であたしが話さなきゃいけないのよ!」
ルーティはチェルシーの言葉をさえぎるように言った。
「いいからいいから。さっ、話してください♪」
「はぁ・・・そうね、あたしが10歳のとき―――」
ルーティが話し始めた。
♪ ♪ ♪
――これは、今から14年前の話である。
「ここ・・・どこ・・・?」
ルーティはクレスタから離れた場所で迷子になっていた。
なぜクレスタの外にいるかというと・・・
時は2時間前にさかのぼる。
『あたしのアトワイト!返してよ!』
『いやだね!だってこの剣しゃべるんだろ?そんなのお前がもってても仕方がないじゃん!』
『どーせ、剣がしゃべるとか嘘に決まってるし!』
ルーティはいつものように同じ孤児院にいる子からいじめられていた。
原因、それは「しゃべる剣」のこと。すなわちアトワイトのことだ。
アトワイトの声は、ルーティにしか聞こえていなかった。
だから、毎日のように孤児院の子から「あいつはおかしい奴!」という目で見られ、
いじめのターゲットとなっていた。
『ちがうもん!アトワイトは本当にしゃべるんだから!!』
〈ルーティ・・・〉
『ねぇ、いいから早く返して!!』
『ふん!こんな物!それっ!!』
そういうと、アトワイトは町の外へと投げられてしまった。
『あっ!!アトワイトが!』
『へっへーんだ!悔しかったら・・・・』
ルーティはその子のいうことなどに耳を傾けず、一目散に町の外をでて、アトワイトのほうへと
走っていってしまった。
「もう!何で町の外に投げるのよ!!言うだけならともかく投げることないじゃない!!」
〈ルーティ落ち着いて。もう外は暗いからいつどこに魔物がでるかわからないのだから〉
「うん・・・あー!でも思い出しただけでもむかつくー!!」
ルーティはそういうと近くに落ちていた石を拾い、力いっぱい遠くへと投げた。
〈あっ、ルーティ何やっているの!もし魔物にあたったら襲われる可能性があるのよ!!〉
「だいじょーぶだいじょーぶ。そんな都合よくいないって・・・」
ルーティがそういうと石が落ちた場所からガサガサ、という音がした。
「え・・・・今・・・」
〈ルーティ!だから言ったでしょう!!あなたはまだまともに戦えないのよ!〉
ルーティは多少アトワイトから戦い方を教わっている。といっても今使える技は最近使えるよう
になった、ファーストエイドくらい。まともに戦えるはずがない。
「や、やば・・・」
〈逃げるしかないわね。ルーティ、走って!〉
「う、うん!」
ルーティは自分の出せるだけの力で走った。
しかし、何か後ろから気配がした。何の気配かはすぐにわかった。石が落ちた場所にいた
ものであると。
「お、追ってきた!?」
〈ルーティ!急いで!!〉
「う、うん!!」
さっきよりも早く走った。
しかし、どんどん追いつかれ、ついにはルーティとの影と重なった。
せまりゆくその影。しかし、その影をみてアトワイトがあることに気づく。
〈あら・・・?これは・・・〉
「はぁ・・・はぁ・・・」
ルーティはもう息切れし、歩くのでも精一杯という状態だった。
「に、逃げないと・・・きゃっ!」
ルーティは石につまづき、転んでしまった。
「いたたた・・・!!」
影はすでに近くに来ていた。
「き・・・きゃぁぁ!」
〈ルーティ!落ち着いて!大丈夫だから――〉
「お願い!お願いだから殺さないで!!」
ルーティにはすでにアトワイトの声は聞こえてなかった。
完全にパニック状態になっていたからである。
ぎゅっと目をつぶるルーティ。
「――い、おいってば!!」
あれ?とルーティは思った。
(声、ちゃんとした、人の声・・・)
ルーティはそっと目を開いた。
目の前にいたのはルーティと同じくらいの歳の少年。
その男の子は少し怒ったような顔をしていた。
「あ、あれ・・・?人だった・・・」
〈だから言ったじゃない、大丈夫って・・・〉
「し、しょうがないじゃない!だって怖かったんだもん!」
「・・・あのさー」
少年は不機嫌そうにルーティに言う。
「な、何よ・・・」
「人に石あてておいて、あやまりにもこないってどうゆうことだよ」
「へっ?」
ルーティはそのときはポカンとしていたがすぐにはっとした。
「(ケガしてる・・・)あ、あの石、あんたにあたったの?」
少年はうなずく。
ルーティはあせった。
人にこうやって、しかも見ず知らずの人にケガをさせるのは初めてだったからである。
「ご、ごめんね・・・あ、あのときちょっとむしゃくしゃしてて、だからえーと・・・」
「・・・もういいよ。ちゃんとあやまってくれたし」
ルーティはホッとした。しかし、それと同時に不安がこみあがってきた。
見上げると、空は薄暗くなっていた。
「あ・・・あたし、戻らないと!」
そういってルーティは走り出そうとした。すると
「あ、おい!ちょっと!」
少年がルーティを止めた。
「何?あたしちょっと急いでるんだ」
「お前、クレスタっていう町知ってるか?」
「クレスタ?そこ、私の家がある場所だけど・・・」
「本当か!?」
少年は目を輝かせた。
「あのさ・・・できれば案内してほいんだけどさ」
「え?」
「俺、家族とクレスタに来てたんだけど、探検してたらいつのまにかクレスタから出ててさ、
だめか?」
ルーティは苦笑いしながらこう言った。
「あ、あのね・・・あたしも実は・・・迷ってて・・・」
「え・・・・」
その場は気まずい空気になった。
沈黙状態になること、数分。
「・・・じゃあ、どうせだし一緒にクレスタまで行こう」
「えっ」
ルーティは目を丸くした。
「1人で行動するよりいいだろ?」
「・・・うん」
「じゃあ決定だな!魔物に会わないように気をつけないとな・・・・じゃ、行くか」
「うん・・・・」
ルーティは呆然としていた。それは、何で初対面なのにこうやって普通に話せるのかが
不思議でしょうがなかったのだ。
どんな子かさえもわからないのに、と毎日いじめられているルーティにとっては
とても不思議でしょうがなかった。
でも、1つだけ確信できたことがあった。それは、
「(この子は・・・たぶん、いや、きっと優しい子なんだな・・・・)」
ということ。
こうして、ルーティはこの少年とクレスタまで帰ることになった。
ルーティはこのとき、妙な感じだった。
心のどこかがおかしくなっているような感じがしていたのである。
これがルーティの恋の始まりであった――――。
~ 続く ~
あとがき
こんにちわ。ドリームという者で~す。
自己紹介したいと思います。
名前:ドリーム
本名:言えるか!
誕生日:1995年6月14日
血液型:O型
性格:テイルズキャラでたとえますと・・・・
コレット&ルーティ&ティア
・・・・でしょうか・・・・。
では、今回は作者紹介で終わりたいと思います。
次はゲストをお呼びしたいと思いマース!
期待していてください・・・・
Byドリーム
コメント
はじめまして。小説読ませていただきました。
ルーティがこれからどうなるのか楽しみです。期待しています。
自分もここで小説書いてます。お互いに楽しんで書いていきましょう。
それでは。
Posted by: REIOU | 2007年06月15日 19:09