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TOD2・・・そして・・・【1】


題:TOD2・・・そして・・・

~第1部~



作者:水希 雷地



(ん・・・?なんだ?体が・・・重い・・・。どうしたんだ?僕は・・・。)

沈んでいく感覚を覚えながら、海のような蒼い波を見た。そして、自分が落ちて行く
のとは逆に浮いていく男を見た。それは、紛れも無く自分自身だったのだ・・・。

(僕・・・?いや、僕はココに居る。じゃぁ・・・誰だ?)

もう一人の自分は『僕』を見た。そして、こう言った。

「君は、どうして手放したの?君が出てくるまで、君の体は僕が借りておくよ。

・・・リオン=マグナス・・・君の体を・・・。」

「リオン・・・か・・・。その名前は、もうとっくの昔に捨てた。」

ため息を吐き、『リオン』はもう一人の自分に言う。

「じゃぁ、エミリオ=カレットかい?」

「いいや・・・。ジュ―ダスだ。」

キッパリと言ったその瞳は真っ直ぐにもう一人の自分を捕らえる。

「ジューダス・・・・。そう・・・。君はそう名乗っていたんだね。」

その言葉を最後にもう一人の自分は上へと上がっていく。

その姿を見て、『ジューダス』はもう一人の自分を止める。

「待て!!何処に行く気だ?!」

「言ったろ?君の体を借りると。」

見下しのような視線が『ジューダス』に突き刺さる。その目線を上にある波に移し、
彼は消えていった・・・。





――――――デュナミス孤児院(クレスタの町)――――――――

「にしても、カイルがロニより先に女の子を連れて来るとは思わなかったな。」

ハッハッハッと笑う父スタン=エルロン。

「リアラ・・・だったわよね?カイルの面倒見てやってあげてね。その子、父親に似
て朝、いつまで経っても起きてこないのよ。今のうちに伝授してあげるわ。『秘儀!
死者の目覚め!!』をね♪」

楽しそうな母ルーティ=カレット。

「リアラにそういうこと教えないでくれよ!母さん!!」

焦りながらも、伝授されないように母ルーティを止める2人の息子カイル=デュナミ
ス。

「クスクス。伝授して貰おうかしら。『秘儀!死者の目覚め!!』を。」

冗談混じりに笑いながらカイルを茶化すカイルの恋人(?)リアラ。

「おう。教えてもらえ。教えてもらえ!カイルを起こすのは一苦労だからな!」

ガハハと笑うロニ=デュナミス。

なぜ、全員そろってデュナミス孤児院にいるかというと・・・。

リアラとの再会を果たしたカイルだが話し合いの結果、リアラも一緒に行く事になっ
た。

しかし、リアラは装備も何もロクに持っていなかったため、ロニと相談し、一度クレ
スタに戻り簡単な装備だけ済ましていこうという事になったのだ。

そのついでにリアラを紹介する為にデュミナス孤児院に立ち寄ったのだ。

そして、現在に至る。

「でも、何かリアラに会った事あるような気がするのよね。前に・・・。」

ルーティは頭を抱えて考え込む。

「そりゃーね。前に連れてきたもん。俺。」

カイルはニコッリ笑って答える。

そう。カイルは忘れたはずの記憶が戻っているのだ。ロニは少しだけ覚えているくら
いだ。

だから、カイルはリアラは勿論。ナナリー、ハロルド・・・そして・・・ジューダス
の事も・・・。昔の父母に会い、今は実在しない神降臨の事も、すべて・・・。

「カイル。ルーティさんにその記憶は無いわ。多分、あの事を覚えているのは、私と
カイルだけだと思うの。」

リアラがつぶやくとカイルは少し不満そうに下を向いた。

「母さん、父さん。」

カイルは頭を上げ、2人を呼ぶ。

「何?カイル。」

「ん?どうした?」

ルーティとスタンは同時に答える。

「あのさ・・・リオンって、どんな人だった?」

カイルの言葉に、2人は顔を見合わせる。

「・・・・・そうねぇ・・・。アイツは、本当にヤナ奴だったわ!」

「ルーティ・・・。」

ルーティの言葉にスタンがオイオイという顔をする。

「アイツはね。一人で勝手に決めて私達の意見なんて聞こうともしなくて。・・・で
も、判断力やカリスマ性って言うのかな・・・そういうのは有ったわね・・・。

最後まで、自分の好きな事やってくれたわ・・・。」

「母さん・・・。」

ルーティは悲しい過去を思い出しながら話しているようだった。

「今、アイツが生きているのなら、一発ぶん殴って『お帰り』って言ってあげたい
わ。」

ニッコリ笑って話したルーティの顔はどこか嬉しそうで悲しそうな顔だった。

スタンがその後に話し始めた。

「カイル。リオンは、自分の思うままに生きた。愛する人のために死んでいった。だ
けど、多分後悔はしていなかったと思う。お前も、後悔しないように人生を歩め
よ。」

「・・・うん!」

スタンの言葉は、カイルの心に染み渡っていた。



――――――ジューダスはその頃―――――――

「うーん・・・、ヤハリ動きにくいな・・・。」

首都ダリルシェイドのヒューゴの屋敷の牢屋の中でジュ―ダスが背伸びしていた。

「ま、仕方ないか。さてと、これからどうするかな?『アイツ』は起きないだろう
し。」

『アイツ』とは、ジューダス自信の事。そう。コイツはジューダスの夢の中で会った
男。

「とりあえずココから出るか・・・。」

剣を構え、扉を切り破り牢屋の外へ出た。そして、隠し通路の扉を開き、地下の暗闇
へと消えて行った。





―――――所変わってクレスタの町――――――

「リアラ。『秘儀!死者の目覚め!!』を伝授してあげるわ。付いてきて♪」

ルーティは右手にお玉、左手にフライパンという格好でリアラに言う。

リアラも「ハイ!」と元気良く答え、ルーティに付いていく。

そう。今は朝。帰ってきた時間が遅かった為、出発を一日遅らせたのだ。



「いい?左手にフライパン。右手にお玉。そして、力の限りお玉をフライパンに叩き
つけるの。『秘儀!死者の目覚め!!』ってね★さぁーリアラ、やってみましょう
!」

「ハ、ハイ!」

そして、息をすぅーと吸い・・・

「秘儀!死者の目覚め!!!」

ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!!!!!!!

「うわッ!」

カイルが飛び起きる。まぁ、無理も無いが。

「カイル。おはよう。もう皆待ってるよ。」

リアラが優しく言う。ルーティは何か考えている。そして、

「リアラ。フライパンとお玉貸してくれる?」

と言った。リアラも訳が分からないようで、?マークを出しながら、「ハイ。」と手
渡した。ルーティはカイルの部屋を出て行った。そして、1分も経たないうちに、隣
の部屋から『ガンガンガンガンガンガン!!!』と言う音が聞こえた。

おそらくはスタンを起こしに行ったのだろうと2人は確信した。



ご飯を食べ、孤児院に別れを告げカイル・リアラ・ロニの3人は旅立った。



「これからどうするの?」

リアラが2人に聞く。

「うーん・・・。」

カイルは顎に手を当て唸る。

「カイル、お前旅に出るとか言っておいてそれは無いだろ。」

ロニにグサリと釘を刺される。続けて、

「とりあえず、何にしてもダリルシェイドに行くに越した事無いだろ。」

と言った。「そうね。」「そうだな。」リアラとカイルは頷く。

そして、ダリルシェイドへと足を進める。



~第2部へ 続く~









―――――あとがき―――――

『TOD2終了後の話』という設定です。

オリジナルの敵キャラ(?)出ると思いますが、

まずは、ジューダスとカイル達の再会を!!

駄文ですが、第2部を読んでいただけると幸いです。

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