« TOD2・・・そして・・・【2】 | メイン | ‥Tales of Destiny2‥外伝「まじない事件」 【1】 »

TOD2・・・そして・・・【3】


題:TOD2・・・そして・・・

~第3部~



作者:水希雷地



「さぁ、今日はジューダスを捜すぞ!」

カイルはダリルシェイドの町の前で大声を出して言った。

その後ろに、ロニとリアラが並んでいる。

「朝から元気な奴だな・・・。ついさっきまで寝てたくせに。」

ロニはハァとため息を吐きながら言った。

そう。今日の朝も、『秘儀!死者の目覚め!!』で起こしてもらったのだ。



「でも、あの方がカイルらしいじゃない。」

リアラはニッコリ笑って言う。

「まぁな・・・。」



「どうしたんだよ。ロニ!リアラ!早く行こう!」

いつの間にかカイルはロニ達から数十メートル離れた所で手を振っていた。

「あ、待ってよ。カイル~!」

リアラとロニはカイルのいる場所に走って行った。



「ん?あれ…、クリエスさん達じゃないかな?

おーーい!!クリエスさーん?サイラスさーん?」

カイルは走りながら、崖の前で立ち尽くしているクリエス達らしき2人組に声をかけた。

その2人はカイル達の方をほぼ同時に振り向き、「あ!」と声を上げたのがカイル耳には届いていた。



「ヤッパリ!クリエスさん達だったんだ!」

カイルは少し息を切らしながら嬉しそうにニッコリと笑った。

ロニとリアラもカイルの後に続くようにクリエス達の前に立った。

クリエス達は再会を笑顔で喜んでいた。



「あの…、出発したのは昨日なのにどうしてまだこんな所に?」

リアラは静かに2人に質問した。

2人は顔を見合わせた後、崖の方を指差して、カイル達を見た。

カイル達は2人が指差した方を見た。そして、

「あ、橋がねぇ!」

最初に異変に気づいたのはロニだった。

そう、ロニの言う通り、カイル達がアイグレッテに行く為の…通り道の橋が無くなってしまっていたのだ。



「うん。橋が無くて、どうしようかって立ち往生してたんだ。お前達もこの道を通りたいんだったら、後4日は待たないと行けないぞ。修理するのに4日以上掛かるんだってさ。」

クリエスが解説を加えた。男言葉は十八番のようだ。

「げ!4日?!ジューダスに追いつけなくなるよ!これじゃぁ!!」

カイルの顔に不安の色が見える。

ロニはカイルをなだめた後、少し考え込んでから、



「崖を降りてみるか。」



「「「「え?」」」」

ロニの唐突の言葉に、ロニ以外の全員が声を上げた。

「いや、だってよ。橋を架けるのに4日だろ?今から降りれば半日くらいでアイグレッテの宿には着ける。危険を伴うが、早く行きたいんだったら、それしかない。どうする?カイル。決めるのはお前だ。」

カイルは、うーん…。と唸った後、チラッとリアラを見た。

おそらくは、リアラは崖を降りる事が出来るのかと、考えたのだろう。

それが分かったのか、リアラは「私は大丈夫よ。」と言った。



そして・・・。

「よし。じゃ、崖を降りよう。」

カイルの言葉に、ロニは近くにいた露天商に声をかけて、ロープなどを買っていた。

クリエスとサイラスは少し険しい顔をして、何か話していた。



「クリエスさん達はどうすんですか?」

雑談していた2人にカイルは問うた。

2人は、少し考え込んでお互いアイコンタクトを取り合ってから、

「一緒に行ってもいいか?」

とクリエスが答えた。その言葉に、カイルは「もちろん。」と勝手に決めていた。

だが、リアラもロニもそれはとうに承知していたらしい。

ロニにいたっては、グミや金具、ロープなどを多めに買っていたところから見ると一緒に行く予定の中に入っていたのかもしれない。



数分後。準備は整い、ロニを先頭にカイル、リアラ、サイラス、クリエスと続いて崖を降り始めた。

結構岩が脆かったり、突風が吹いていたり、足場の悪いところでもモンスターが出てきたりと、降りるのがカナリ困難なものとなった。

崖下まで行き、いったん休憩する事となり、ロニはアップルグミや、オレンジグミを全員に配ってから、「ドカッ」と音を立てて腰を降ろした。



カイルは足を思いっ切り伸ばして、両手を後ろに付いて座り、

リアラは両足を横にしてお嬢様座りをした。

クリエスとロニは片方の足を立てて、膝に片腕を乗せ、もう一方をあぐらをかくようにして座った。(でも、足と腕の位置関係が逆になっている。)

サイラスはというと、軽く体育座りをしていた。

「少し休んだら出発するからな。」

ロニの一言に「はぁーい」と力無く全員が返事をした。



カイル…左、リアラ…右に横に並び、リアラの斜め前にロニが全体を見回せるように座っている。

カイルの2、3メートル前にクリエスが座り、カイルの視線からクリエスの姿でサイラスが少し隠れるようにクリエスの斜め後ろにサイラスが座った。

全員が座ると半円を描くようになった。



「リアラ、大丈夫?」

「大丈夫よ。カイル。」

「まだ登りがあるんだよな・・・。結構辛いかも。」

「でも、前もここを登り降りしたじゃない。」

カイルは「そういや、そうだね。」と笑いながらリアラと話していた。



「そういえば、ここを降りる前、言っていた事に対して疑問があるんだが・・・。」

カイルとリアラが笑っている最中に、「あ、」と言い、話し始めたのはクリエス。

クリエスの言葉の意味にカイル・リアラ・ロニの頭に「?」が浮かんだ。

「上に居た時、『ジューダス』って言ってたよな?」

「え、うん。」

カイルが答えた。次の瞬間、カイルはハッとし身を乗り出してクリエスに叫んだ。

「ジューダスの事知ってるの?!」

その勢いにクリエスは驚かされたらしく、思いっ切り身を引き、顔も引きつって居る。

「いや、知ってる訳じゃないんだが・・・。」

体勢を立て直し、申し訳なさそうにクリエスが言った。

カイルは「なんだ・・・」と今度はあぐらを掻いて座った後、重いため息を吐いた。

少し無言になった。

カイルの残念そうな表情を見ていたら喋れなくなってしまったのだろう。

「・・・・それで、気になった事っていうのは・・・?」

沈黙を破ったのはリアラだった。

クリエスは「ん・・・あぁ・・・」と、カイル達の表情を視界に入れながら、言葉を続けた。

「『ジューダス』って、そいつの名前・・・だよな?」

「うん。それがどうかしたの?」

カイルは首を傾げる。

「いや、そんな名前の奴がいるなんて思わなかったから・・・・。」

視線をカイル達から離し、クリエスは言葉を続ける。

「『ジューダス』って、『裏切り者』って意味でしょ?悲しい名前だなーって思って。」

空を見上げ、眼(まなこ)を少し細くしてクリエスは言った。

リアラが後ろの方を何気なく見るとサイラスが下を向いたのが何気なく分かった。

「え?!ちょ、ちょっと待って!ジューダスってそういう意味があるの?!」

カイルが思わず叫んだ。驚きを隠せないようだ。まぁ、無理もないが。

「え?知らなかったのか?

何かの本で読んだ事があるのだが、キリストという神の使い・・・だったかな?を

裏切ったのが『ユダ』って奴で、ソイツの別名が『ジューダス』。『裏切り者』だ。」

カイル達は言葉も出ないで驚いている。カイルにいたっては、少し沈んでいる様だった。



「そろそろ出発するぞ。」

ロニの一言でカイル以外の全員が立ち、準備を始めた。

座り込んでいるカイルを見て、ロニが近づき

「カイル。落ち込んでたってしょうがないだろ?名前の事は、アイツと会ってから考えればいい。それがお前らしいと思うけどな。俺は。」

と、囁いた。クリエスとサイラスには聞こえていない。

リアラはカイルを励まそうと近くに居た為、聞こえていた。

その後、カイルはロニに言われた事を頭の中でもう一度聞き返し、「うん。そうだね!」と何かを吹っ切った様に元気になっていた。



…その頃だった…。

「サイラス。ちょっと耳貸せ。」

クリエスはサイラスを呼び寄せ、何かを告げた。サイラスは笑顔で「分かりました。」と答えた2人のやり取りをロニは少し不思議そうに見ていた。

その後、サイラスは眼を瞑り、精神集中している様だった。



「結構動けるな・・・。」

登り始めてから数分経って、カイルがボソリと言った。

その声がリアラに聞えたらしく、リアラも

「さっきから疲れないのよね。」

と同意した。

その頃だっただろうか・・・。

クリエスがサイラスに向かって「大丈夫か?」と問いかけ、「大丈夫です」と答えていたのは・・・。



「なんか、降りより、登りの方が楽だったね。」

カイルがリアラに喋りかけた。ハキハキしていて、まだ元気そうだ。

しかし、リアラは

「そうね。でも、普通は登りの方が疲れるような気がするんだけど・・・。」

と、元気でも疑問を抱いていた。



「こっから、この時間だとすれば・・・、予定より早く着くんじゃないか?」

と、ロニ。

「疲れてないし、さっさと出発しよう!」

と、言い出し、その場で足踏みをするのはカイル。

「仕方ねーな。行くか。リアラ。」

「はい!もちろん。」



「あ、すまない。私達とは、ここでお別れだ。」

と、クリエスが言った。カイルが「何で?!」と単刀直入に聞く。

「少し疲れたからな。」

当たり前の様に言ったクリエスの顔には疲れの色などは全く無い。

「とりあえず、先に行ってくれるか?」

ちょっと急いでる口調でクリエスがカイル達に言った。

「うーん・・・でも、せっかくまた会えたのに・・・。」

とカイルがモゴモゴと口の中で言っている様子を見て、ロニが「行くぞ!」とカイルを引っ張って、クリエス達に別れを告げた。



「ロニ!いくら急いでいるかって、クリエスさん達待って上げても良かったんじゃない?!」

クリエス達と別れてから、数分後、カイルがムスッとへの字に曲がっていた口を開いた。

ロニは、「はぁぁ、お前、気付かなかったのか?」とため息を吐いた後に言うと、カイルは首を傾げた。

「クリエスさんの後ろでサイラスさんが、ぐったりしてた事。ありゃ、カナリ、疲れてるようだったけどな。汗だくで。俺達の疲れを全部吸い取っているみたいに。」

と、ロニは少し笑いながら行った。

続けて、リアラが、

「知られたくない事でも有るんじゃないかしら?あそこまで私達に居てもらいたくない理由が。」

と言った。

その言葉を聞いても、「うー」とその後もカイルは少し唸っていた。







「サイラス。大丈夫か?」

カイル達が去った後、木も幹を背に座り込んでいるサイラスの目の前にクリエスはしゃがみ込み、声をかけた。

「スミマセン。気を使わせてしまって・・・。」

サイラスは申し訳なさそうに顔を上げた。

「いや。だが、何故あんな真似をした?他人の疲れを自分に移すなどという事を。

私は、少しカイル達の疲れを取ってやれって言っただけなのに・・・。」

少しムスッとして、サイラスから目線をずらすクリエス。

「あはは・・・。だって、その方が早く着くかなって思いまして。」

「馬鹿。ホントにバカ。今、回復してやるから少し休め。」

と、サイラスの頭に手を掲げて呪文を唱え始めた。

だが、唱術とは違う何か、別の力を使って回復し始めた。





数時間後、カイル達はアイグレッテに到着した。

その数分後にクリエス達も到着した事をカイル達は知らない。











―――あとがき―――

第三部終わりましたー。ジューダス登場しなかったー!!

無駄に文章が長かった気がする。クリエス達の望みあからさまに分からない・・・。

というか、自分でも分かっていない・・・。(え?

『ジューダス』=『裏切り者』これは、姉から情報を得ました。事実らしいです。

全員の配置を書くのが面倒くさかった。しかも、戦闘シーン全然書いてないし。

第三部読んでいただき、ありがとうございました!!

第四部も読んでくれると幸いです。

コメントする