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過去の幻影【1】


題名 過去の幻影     ~プロローグ~   作. 玲


 「人々の救いは神の願い・・・それを邪魔する者は、誰であれ容赦はしない」
エルレインの朗々とした声が、飛行竜に破壊され無様なさまになったハイデルベルク
城で響き渡る・・・そしてその声とともにレンズの輝きも増してゆく。
「やめて!エルレイン!!」
 リアラは抗おうとしたが、その意識とは逆にリアラのペンダントも輝きをましてゆ
く。
「わたくしを止めることは誰にもできはしない」
「いや!やめて!私にはまだここで果たすべき使命があるの!お願い!!」
リアラの悲痛な叫びもむなしくペンダントの光はすでに彼女を包みつつあった。
「いまだに何も見いだせぬ者にここにいる意味はない・・・帰るがよい、弱気者よ・
・・」
「いやあぁぁぁぁ!」
その叫びとともにリアラは完全に光に包まれてしまった。
「リアラ!!」
<リアラがいなくなる>突然そんな気がしたカイルは、とっさに自らもレンズの輝き
の中に駆け入る。
「おい、追うぞ!」
ジューダスの呼びかけとそれにこたえるロニの声がした・・・しかし、遠ざかってゆ
く意識の前に二人の声も消えていった・・・



続く

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