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ハロルドの野望【2】


【ハロルドの野望 ~狙われた男Vol.2】

もうダメだ…!!

そう思った…

しかし、ハロルドらしき人物は僕の前を通りすぎた。
(や…やったか?)
まだ安堵しきれない状況だったが、ジューダスは一人ため息をついた。
しかし、次の瞬間布団を不用意にバッとめくられた。
「うわっ!」
いきなりだったので、ガラにもなく思わず声を上げてしまった。
覚悟を決め、恐る恐るその人物の顔をチラリと見た。
しかしそれは、ハロルドではなかった。
「か…カーレル中将?」
彼女のふたごの兄のカーレルだった。
彼は心配そうに僕の顔を覗きこんでくる。
「な…何か?」
彼の行動の意図が分からずそう呟くと、彼はにこりと顔だけで笑って、
「具合いは悪くないようだね?」と聞いてきた。
「?…あぁ、まぁ…」
曖昧に言う僕に、彼は更に付け足した。
「皆が寝ているか見に来たんだ。そうしたら君の布団だけがぶるぶると震えていてね。具合いでも悪いのかと思って…」
「そうか…でも僕は大丈夫だ」
「それなら良かった☆」
カーレルは一瞬にやりと笑うと、僕を見て、

「さっきの話はウソさ。本当は、君の夕食に、ハロルドの新薬を入れたんでね、大丈夫かな~と思って来たんだ」

そう、彼が嫌な笑顔でぶつぶつ呟いた。
僕は、その言葉一つ一つに驚き、思考回路がストップしたような気がした。

「天才軍師が…奴とグルだったなんて…」
と僕は、半分混乱した風に言い、


そしてジューダスは力が抜け、ふらっと倒れ込んだ。
「おやおや…早くハロルドに診せてやらないとね」
それは、=死を思わせる言葉だった。


僕はカーレルに手を引かれてハロルドの研究室まで運ばれた。
そして二人でなにやら話して・・・
その後に、僕に何かを飲ませて・・・・・・

そこまでは覚えているような気がする。
気付いたら自分たちの部屋のベッドで寝ていた。
まるで先ほどのことは嘘だったように普通に寝ていた。

そこから先の記憶がまったくないのだ。
それは多分、気絶していたからかもしれないし、あるいはハロルドの薬の効果かもしれない。
とにかく薬を飲まされてからの記憶が無かった。
腰に下げた喋る剣―ソーディアン―のシャルが心配そうに僕に声をかけていたことだけなら覚えていた。

『坊ちゃん・・・薬の効果はないですか?』

記憶が無かった事を不審がって考えていると、隣に置いた相棒に心配そうに話しかけられた。
【薬の効果】といわれて初めて自分に異変が無かった事に気付く。

腕を動かしてみる。
足を伸ばしてみる。
声もちゃんと出る。聞こえる。
目も見える。
ただ、少し眠気だけはあった。

しかし目立った異変はなかったのだった。
(ありえない…)

ハロルドの新薬を飲まされて無事なわけがない。
無事ならそれはそれで本当に良いのだが…

「シャル、僕はどういう薬を飲まされたんだ?」
『それが…〔ハロルドミラクルパワーEX〕とかいう奇怪な名前で…効果は分からないんですが危険そうです』
「そうか・・・」
確かにシャルの言うとおり、危険そうな名前ではある。
僕はベッドから起き、時計を見ると深夜4時・・・
あの恐ろしい時間から2時間たっていた。

部屋を出て、ハロルドのあの実験室を覗く。
ごぽごぽと音を立てながら、青緑が濁ったような色の液体から泡が出てきた。
次はあれを飲ませる気だろうか…

とにかく僕は、その部屋へと足を踏み入れた。
あたりは暗く、ひっそりとしている。
あんな怪しげなものを作りながらも、女らしいその部屋の雰囲気に不安を隠せない。

「は、ハロルド」
恐る恐る声をかけても、返事が返ってこない。
「ハロルド!」
少し大きい声を出して呼ぶと、ハロルドは僕を振り返った。
「あら、また薬を飲みたいのね!?」
ハロルドは口元に笑みを浮かべながら、先ほど調合した薬を見せた。
「ちっ違う!ただ、僕にさっき飲ませた薬は何の効果があるのかを聞きに来たんだ」
「さっきのはねぇ~」

ハロルドがその次を言うか言わないかのところで僕は倒れていた。
いつの間にか薬を飲まされていて・・・
シャルの声が聞こえていたのも、だんだんと小さくなっていく・・・



「ジューダス、ジューダス!!」
(ん?この声は・・・)
「ジューダス!しっかり!」
(カイル・・・?)

目を覚ますと、そこは医務室だった。
ベッドに横になり、周りをみるとカイルやリアラたちが心配そうに見ている。

「僕は・・・一体」
「カイル君が発見してここまで連れてきてくれたのよ」
衛生隊長であるアトワイトが、意識が戻った僕を見て安堵したんだろう、落ち着いて話していた。
そう言われ、改めてカイルを見ると泣きそうな顔をしていた。
悲しいというよりかは、少し怒りの篭った感じに見えた。
「オレね、廊下でジューダスが倒れててどうしようかと思って・・・」
(あぁ、やはり薬でか・・)
「誰かに狙われているのかと思っちゃって…」
「いや、大丈夫だ。別に誰かに狙われているわけではない」
「オレは、ジューダスがトイレに行った後に眠くなって廊下で寝ているのかとおもったぜ」

ロニが笑いながらそういっている。
そんなこと、カイルじゃないからあり得ないだろう。
そう思いつつも、自分が無事だったことに気付いてホッとしていて怒る気も起きなかった。
逆に自然に笑顔がこぼれる。
ふと、外を見れば、もう日が昇って小鳥たちの声が聞こえる。
時計を見れば朝8時・・・
ようやく自分が長い間寝ていたのかが分かった。

僕たちは今日、ハロルドの命令で物資保管所までゴミあさりに行く事になっていた。
ハロルドを見ても、僕に全く気をかけていう様子はなかった。
きっと、薬を飲ましてもなにも反応の無かった僕から興味が引いたんだろう。

そう思った。
いや、そう信じていたといったほうが正しいだろうか。


だが、また夜…
僕の考えとは裏腹に、自分たちの部屋にまた何者かが忍び込んでくるのが分かった。
また記憶が無くて・・・
そして、僕が目覚めたのは1週間後だった。


その1週間の間に僕の身に何があったのかは、ハロルドと、その兄カーレルのみぞ知る。



++++++++++++++++++++++後書きの様なもの++++++++++++++++++++++++++
こんにちは、ルイ@です。
前回の続きを書かせていただいたんですがどうだったでしょうか?

つまりは何が言いたいか分からなかった小説ですね…とにかくベルセリオス兄妹に狙われる彼が書きたかっただけです(滅
なので結局、最後はジューダスがハロルドにまた被害を加えられた感じです。
結局何の薬だったのかは次回に書きます。

それにしても小説は書き慣れないです…どこら辺で終わらせれば良いとかが難しいですね。
ジューダス視点なのもどんどんずれてきて難しいものです。
次回はもっとちゃんとした文章を書けるようになりたいです。

それでは。

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