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神の矛盾【1】



神を倒し、僕は消えたはず…だった。
自分がいるのは、自分しか存在しない、ただそれだけの空間。そこは見渡す限り何も
無い。視覚が無くなってるのかもしれないし、本当に何も無いのかもしれない。何も
聞こえない。
常人なら既に気が狂っているだろう。しかし僕はこの体験をした事がある。走馬灯に
も似たあの瞬間と似たこの体験を。
――未来で英雄と呼ばれている男に刃を向けた最期の瞬間――
その時に僕は死に、神に甦らされて働かされ…今に至っているのが捻じ曲げられた歴
史だった。しかしもとの歴史では僕は天下の裏切り者として妬まれているのだろう。

光が、見えた気がした。それを切欠に全身の感覚が戻ってきていた。
どうやら僕は海の上を漂っているらしい。あの地底洞窟から流れてきたのか。目をあ
けて見ると、眩しく懐かしい太陽の光と共に、青空が…あるはずだが、見えない。
代りに黒色の壁が覆っている。
(ダイクロフトだと…)
それは一瞬の様で永遠の様でもあった。その外殻が崩れ始めていた。上に向かって。
重力に逆らう様に崩れた外殻がどんどん外に向かって放出されていくかのようだ。
(…そう言えばシャルがない。カイルとの冒険は何処までが本当でどこからが嘘なん
だろう。)
ハロルド=ベルセリオスは言っていた。神の眼のエネルギーがソーディアンの力を上
回っている、と。
だったら僕がシャルティエを神の眼に突き刺さねば神の眼―ダイクロフト―は破壊で
きないはずだ…。
だったらカイルが時空移動するのが本当の歴史と言うことになる。
しかしそれだと神の証明となるはずだ…。

気付いた時には何処かの島に流れ着いていた。
「…ここは…何処だ…?」
辺りに人を探して見る。何処かから栃狂った音楽が響いてきた。この音…聞き覚え
が…
「ジョニーか?」
楽器の音が止んだ。砂の上を歩いてくる音が近く、早くなってくる。
「おー、リオンじゃないか!」
「…久しぶりだな、ジョニー。」
ジョニー=シデン。かつて英雄スタンと共に世界を冒険した仲間。
「そういやお前さんなんで生きてるんだい?」
「僕も驚いている。人間の生命力のお陰、かな」
ジョニーは僕が生きていたことに驚いている。やはりそうか。
「で、ミクトランは…倒せたのか…?」
「おうよ、スタンがちゃんと片付けてくれたぜ」
と言うことはここは歴史に従っている…と言うことか。
「参考になった、恩に着る。」
それだけ言って、その場を立ち去る事にした。

兎に角、四英雄に会ってみるか。それなら何か判るかもしれない・・・。
期待を胸に寄せながら、一度死んだ筈の男は嘗ての仲間の元へ向かって歩き出した。


後書き

と言うわけで初めましてレッドです。
D2をプレイした直後だったので何故かリオン(ジューダス)ネタに。
と言うかD2での突っ掛かりを書き出して見ただけなんですけどね。何処からが真実
で何処からが嘘か、ってところを。
後、ジョニーの口調が可笑しいかもしれないところは眼を瞑って下さい。え?駄目で
すか?そこを何とか…(ぇ
と言うわけで後書きを終わります
お疲れ様でした(誰に

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