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Tales of Destiny ~To the end of betrayal~【3】


Tales of Destiny
~To the end of betrayal~



エミリオ=カトレットは今夢・・・・いや記憶の中にいる・・・・しかし記憶を無くした彼にはいつの夢なのかは定かではない・・・・しかし・・・・悲しい記憶だが覚えていない記憶・・・・


第二話
記憶は砂のように・・・・


水が押し寄せてくるのが地面から伝わってくる・・・・だが僕はこの場から動けない・・・・何故なのだろう・・・・目の前にいるのは・・・・?後ろから・・・・僕を呼ぶ女性の声が聞こえてくる・・・・『エミリオ・・・・!』と・・・・あの
獅子の鬣のような黄金の髪を着た白い鎧の剣士に・・・・黒と赤の軽装をしたショートカットの黒髪の少女に・・・・どこかの神殿の神官の服のようなものを纏った緑髪の眼鏡をかけた少女に・・・・青い鎧に身を包んだ銀髪の青年もいる・・・・

彼らも僕を呼んでいるようだ・・・・しかし・・・・後ろから僕を呼ぶ女性とは違う名前・・・・『リオン』と呼んでいる・・・・

僕には二つの名があるのか・・・・?わからない・・・・僕は・・・・誰だ・・・・?

そんなことを考えているうちに水の押し寄せてくる音が段々と大きくなっている・・・・そうして・・・・僕は濁流に飲み込まれた・・・・

「・・・・ハァ・・・・ハァ・・・・」

エミリオは大量の汗をかいていた、布団の中で・・・・

「ぼ・・・・くは・・・・どうしたんだ・・・・?」

「・・・・起きたみたいだね」

と、目の前にいる見知らぬ女性・・・・

「ここは・・・・どこだ・・・・?あなたは・・・・?」

「ん?ここ?ここは・・・・ジャンクランド、あたしと身寄りのない子の家だよ。それとあたしはタギー、まぁおばさんでいいよ」

良く見ると僕は布団の中で眠っていたようだ・・・・そういえば・・・・僕は砂漠で倒れていたところを・・・・名前のわらない雑貨屋の親父が助けてくれたんだったな・・・・

「そうだ!僕の剣・・・・!!」

起き上がると・・・・自分の枕元に大切そうに自分の剣が置いてある・・・・自分でもなぜこの剣の心配をしたのかはわからないが・・・・自分の記憶を取り戻すただ一つの物のように感じていたのだ。

僕は・・・・この剣で・・・・大事な人を守り・・・・大事な人?誰だ・・・・僕の大事な人・・・・

「大事な人?」

「えっ!?あ・・・・いや・・・・なんでもない・・・・」

我知らずのうちに声を出していたみたいだ・・・・なんで声を出したのか・・・・自分でもわからない

大事な人・・・・誰なんだ・・・・?僕を・・・・僕を認めてくれた・・・・ただ一人の人女性

彼女はいつも僕を大切にしてくれていた・・・・あの微笑で・・・・僕の心を・・・・だけど・・・・名前が思い出せない・・・・顔も・・・・だけど思い出せるものが一つだけある・・・・彼女の・・・・あの・・・・微笑だ・・・・

「ねぇ・・・・?お兄ちゃん大丈夫?」

と、横から覗き込んでくる少女がいる・・・・見たこともない

「お兄ちゃん・・・・大丈夫?」

「あ・・・・あぁ、大丈夫・・・・」

「そう、なら良かった・・・・じゃあ、みんな入ってきて良いよ!」

と、微笑むと誰かを呼ぶように声を張り上げる、と同時にたくさんの子供がなだれ込んでくる

「あぁ、お兄ちゃん!目が覚めたんだ!」

「ねぇ、なんでこんなに熱そうな格好してるの?」

「ここの人間じゃないの?」

と、口々に質問をしてくる子供達に驚いてエミリオの目が丸くなる

「あはは、ほらっ、チサもみんなももうちょっと落ち着けよ」

笑いながらみんなの入ってきた入り口から一人遅れてこちらの方へ歩いてくる少年がいる、彼はここの中で最年長らしく少し子供らしさの残る大人っぽい口調で話している

「あっ、アレック!」

「全くみんなして・・・・おっ、目が覚めたみたいだな。ほらっ、水」

彼は水の入ったコップを渡してきた。その水はとても澄んでいる水だった

このような暑いところにあるにはふさわしくないような・・・・とても綺麗で澄んでいた

「あ・・・・あぁ、ありがとう・・・・」

「こんな暑そうな格好で旅してたのか?」

「いや・・・・わからないんだ・・・・なぜ、僕がここにいるのか・・・・」

「ふぅ~ん・・・・記憶喪失みたいな感じだな」

彼はさして問題でもないように軽く受け流した

「アレック!全くあんたって子は・・・・私を無視して!」

「いや・・・・おばさん、そこは問題じゃ・・・・」

「あの・・・・落ち着いてください、別に無視していたわけではないですから・・・・」

「そうかい?ならいいけど・・・・」

と、半分納得していないような感じだが一応は納得してくれたようだ

「それにしても、記憶喪失ってのはちょっと厄介だね・・・・」

「すみません・・・・だけど・・・・今は何もわからない状況なんで・・・・」

「わかってるよ、今の貴方は家のない子供・・・・みたいなもんだからね、ここに暮らす権利はあるんだよ」

ここに暮らす権利・・・・?どういうことなのかさっぱりわからない・・・・

と、彼女はこちらの心を読んだかのように

「わからないって顔してるね、ここは孤児の暮らす長屋なんだよ」

孤児・・・・ということは彼らも・・・・みんな早くにして親を無くしたりしたということか・・・・

僕にも母はいたはずなのだが・・・・思い出せない・・・・

だけど・・・・・僕が思い出せるのは、黒い服を着た僕より少し年上くらいの女性だ・・・・顔は思い出せない・・・・だけど、とても懐かしくて・・・・

何処か僕に似ているような気もしている・・・・わからないが・・・・とても懐かしい・・・・

だけど・・・・僕の記憶は・・・・砂のように僕の手から零れ落ちていってしまう・・・・そして・・・・掴もうにも掴めない・・・・そんな砂のように手から零れ落ちていってしまって・・・・最後には何が残るのだろう・・・・

だが、ここ以外に行くアテもないので、彼女・・・・おばさんに頼んでみよう・・・・

「・・・あの・・・・すみませんが・・・・少しの間だけ、ここに居させてもらえませんか・・・・?」

「当たり前じゃない、あんたもここに暮らす権利があるって言ったばっかりじゃないか」

そして僕はここ・・・・ホープタウンの一員になったのだ、

そして、彼はまた運命により仲間たちに出会うことになる・・・・


つづく

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