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それゆけゼクンドゥス【3】

題名 それゆけ ぜくんどぅす  ~再び~
作 ROHHI



― 最果ての村 ラシュアン 森の奥 ―

    リッド 「お前も相変わらずだな キール
         セレスティアから帰ってきてすぐガラクタの調査とは…
   キール 「お前にとってガラクタでも 僕にとってはダイヤの原石に
         なるかもしれない貴重なものなんだ

         …全く メルディもメルディだ 
         ろくに操縦も出来ないものに乗ってくるなんて…

    リッド 「お前 セレスティアにいた方が良かったんじゃねーのか?
   キール 「インフェリアで試したい研究が山ほどあるんだ
         いつまでもセレスティアにいるわけにはいかない
    リッド 「はいはい ようするにホームシックってことね
   キール 「ちがーう!

どうやらメルディが乗ってきた物体を調べているらしい

ぜくんどぅす 「なにしてんねん
リッド・キール 「うわぁ!

ぜくんどぅすが不意に声をかけると
2人は驚いたように振り返り

    リッド 「ア アンタこそ急に…
         …ん? どこかで会ったような…?
   キール 「そういえば
         僕もあんたを見たことがあるような気がする…

当たり前だ 会った 会ってしかも戦ったことがあるのだから
しかし今のぜくんどぅすは商人のいでたち
気が付かないのも無理はない

ぜくんどぅす 「リッド・ハーシェルはんやな
         あんさんにちょいと用事がありますねん
    リッド 「俺に?
         一体なんのようだ それに何で俺の名を?
ぜくんどぅす 「話せば長くなるんです
         できれば現場まで来てくれへんでしょうか?
    リッド 「現場ぁ?
         現場ってどこだよ
ぜくんどぅす 「バロール…商業の町バロール
   キール 「良くわからんが いってきたらどうだ?
         少なくとも 今の退屈な生活とファラからは解放されるぞ
    リッド 「別に俺は今の生活を退屈だなんて思ってねぇぞ
         確かにファラにはなぁ…
ぜくんどぅす 「来てくれはります?
         来てくれはったら うまいもんぎょうさん(たくさん)
         食わせたりますさかい
    リッド 「うまいものかぁ そういえば最近いつものメニューに戻って
         飽き飽きしてたな
         なぁおい ほんとにうまいもの食わしてくれるのか?

結局 ぜくんどぅすの旨い物で釣れ作戦でリッドはバロールに行くことにした

    リッド 「でもバロールってかなり距離あるぞ
ぜくんどぅす 「すぐ着きますって ほれ!!
    リッド 「うわっ!
   キール 「!!

ぜくんどぅすが腕を振り上げると
ぜくんどぅすとリッドの体が光に包まれ そして消えた
一部始終見ていたキールは唖然としていたのだが…

   キール 「あいつは もしかして… … …



― バロール近郊 ―

シュ~~~~!
と音を立てながらバロール近郊に2人は現れた

    リッド 「あわわわわ
         ど どうなってんだ?
ぜくんどぅす 「まぁ 晶霊術みたいなもんや
    リッド 「晶霊術…って
         ここってバロールだろ?
         こんな晶霊術みたことないぜ
ぜくんどぅす 「そないなことは どうでもええねん
         ワイの名は…(クソ またアノ名前を言わなあかんのか)
         …ゼックンや(ぐふ)

あっさり驚きをかき消されたが
その名を聞いてリッドはまた考え込んだ

    リッド 「ゼックン?
         どこかで聞いた名前だ…
         いや 正確にはそれに近い…
         ゼックン… ゼックン… ゼックン…
ぜくんどぅす (ゼクンドゥスやっちゅうに

するとそれに答えるように

    リッド 「ん?そうか! わかったゼクンドゥスだ!

しかしぜくんどぅすは動じなかった
たとえこの場でその名を思い出しても
自分がその「ゼクンドゥス」だとは気づかないだろう そう考えていた
そしてぜくんどぅすはしらじらしく言った

ぜくんどぅす 「誰なん ゼクンドゥスって?
    リッド 「ああゼクンドゥスってのは…

バロールの町に着くまで リッドはぜくんどぅすに
グランドフォールの一連から ゼクンドゥスについて語った

ぜくんどぅす 「着いたで
    リッド 「着いたのは良いけどよう
         俺は一体何をやれば良いんだ?
ぜくんどぅす 「ちょい待ち え~と…
         おっ やっとるやっとる

見ればウランは既に定位置に就き タコヤキを焼いていた

ぜくんどぅす 「よぉ ウランやっとるな
    ウラン 「あぁ ゼックンさん お帰りなさい
         …そちらの方は?
ぜくんどぅす 「今日からしばらく手伝ぉてくれる
         リッド・ハーシェルや
    ウラン 「ウラン・ローゼンバッハです 助かります 宜しく
    リッド 「あ え~と ども…
ぜくんどぅす 「リッド早速やけど アンタには店番頼もか
    リッド 「店番?どうして俺が?

といかにも不服そうに言い返すリッド
そこへウランが

    ウラン 「まぁまぁ ゼックンさん そんな事情も聞かずに
         いきなり店番やれと言われても無理な話ですよ
         実はですね…

ウランはこれまでのことをリッドに説明した

ぜくんどぅす 「と言うわけやさかい お願いできるな
         アンタが店番すればウランはタコヤキ焼くだけで済むんよ
    ウラン 「ゼックンさんの言われたとおり
         仕事が終わったらちゃんとタコヤキ以外にも
         ご馳走します ですから私からもお願いします
    リッド 「ま まぁ俺は 旨いもん食わしてくれるなら
         店番でもなんでもするぜ

リッドの脳裏にはご馳走しかなく
ぜくんどぅすの心理作戦は見事正解したのだった

ぜくんどぅす 「しばらく儲けを考えてやったらええ
         究極は足元固めた後でもええやろ

         …そや 究極のタコヤキって
         何を基準に究極にしとるんや?

結構来る客を相手に せっせとタコヤキを売るリッドを横目にしながら
ぜくんどぅすは聞いた

    ウラン 「ビストロ・シャンバールの味マスターが
         美味しいと言ったものは問答無用で究極になります
ぜくんどぅす 「味マスター?
    
    リッド 「俺 知ってるぜ

客足が途絶えリッドが答える
         
    リッド 「確か 正真正銘の料理の天才で
         『あじむしゃ』の称号を持ち
         世界一を誇るビストロ・シャンバールの専属シェフのことだ
    ウラン 「そう 実際私も見たことはありませんが
         現在の味マスターはまだ10歳過ぎて間もない
         女の子だそうです
ぜくんどぅす 「子供のくせに天才?
    ウラン 「味マスターには何人ものシェフが挑んでいるんですが
         料理を認められることはあっても料理対決で勝ったものは
         誰もいないと…
ぜくんどぅす 「ただもんやあらへんな ソイツ
    リッド 「あぁ 味マスターとの対決に出される料理をたべた観客は
         みんな天井まで飛び上がってたぜ
ぜくんどぅす 「ワイもいっぺん見てみたいわ 味マスター

    ウラン 「それじゃあ そんな味マスターに認められる
         タコヤキを目指しましょう!
         お2人ともそれまでよろしくお願いします
ぜくんどぅす 「おっしゃ 任しとき!
    リッド 「あ あぁ

3人は究極のタコヤキへの道を歩き始めた



次回
それゆけ ぜくんどぅす ~風の妨げ~

第三話 完

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