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それゆけゼクンドゥス【4】


題名 それゆけ ぜくんどぅす  ~風の妨げ~
作 ROHHI




リッドも加わって早3日
タコヤキの売れ行きも順調で 
材料の仕入れにも困っていない

しかしタコヤキの味だけは
相変わらずレプリカのままだった

ぜくんどぅす 「ほな ワイはタコとって来るわ
    ウラン 「わかりました お気をつけて

言ってぜくんどぅすはバロールを出て
いつもの孤島へ向かった
ぜくんどぅすがバロールを出た後

    リッド 「ウラン ゼックンはどうしたんだ?
    ウラン 「タコをとりに行きましたよ
    リッド 「…そうか
         なぁ ゼックンっていつからアンタの
         手伝いをしてるんだ?
    ウラン 「リッドさんが来る前日ですよ
         ゼックンさんが どうかしたんですか?
    リッド 「いやぁ ただどこかで会ったような気がして…
    ウラン 「人生長いですから そういうこともありますよ

    リッド 「…それもそうか

少し間をあけてリッドは納得したようにうなずいた


― 北西の孤島 ―

ぜくんどぅす 「これだけあれば十分やな
         多過ぎず 少な過ぎない まさに適量!

ぜくんどぅすはあっさり仕入れを終えて
バロールに帰ろうとしたときだった


― あれぇ もしかして ゼクンドゥスじゃないの? ―

聞き覚えのある声 そして自分の名を知る者
人間ではない

ぜくんどぅす 「誰や!
   声の主 「ぼくだよ

と目の前に飛び出してきたのは
風の大晶霊シルフだった

ぜくんどぅす 「なんや シルフかいな
         ワイになんかようでもあるんか?
   シルフ 「な~にが ようでもあるんか だ
         ゼクンドゥスこそ こんなところで何やってんのさ?
ぜくんどぅす 「あぁあぁ もぅ ほっといてくれ
         時の大晶霊なんぞ しょうもない役職に生まれつたおかげで
         毎日退屈しとったんや
         そやからたまには人間界に出て 世を生きる人々の
         生き様っちゅうもんを この目で見届けたろと思ってな
   シルフ 「時の大晶霊のくせに…
         レムに見つかったらどうするのさ?
ぜくんどぅす 「なんやお前
         あの光の大晶霊レムが
         まだワイの存在に気が付いてへんと 本気で思っとるんか?
   シルフ 「えっ?
ぜくんどぅす 「レムは気付いてるで…
         だがそれ以前に ワイの気持ちも分かってるはずや
         そやからあえて何も言うて来んのやな… きっと…
   シルフ 「なにそれ どういうこと ゼクンドゥス?
         レムはゼクンドゥスがここにいることを知っているのに
         どうして知らないふりなんかするのさ?
ぜくんどぅす 「子供には分からん複雑な事情や
         シルフも今に わかるようになるはずやさかい
   シルフ 「なんだよ ぼくは子供じゃないぞ!

子供扱いされるのが嫌いなシルフは
怒ってぜくんどぅすに言い返したが…

ぜくんどぅす 「そう それや
         そうやってすぐムキになるところが
         子供や言うてんねん
   シルフ 「そんなこと言うならウンディーネに言っちゃうぞ!
ぜくんどぅす 「あぁ もぅ好きにせえや
         ワイはお前と遊んでる場合ちゃうねん
         ほんじゃな シルフ!

シルフは脅しのつもりでウンディーネに訴えることを言ったが
ぜくんどぅすはウンディーネもレム同様自分を理解してくれるはず
そう思い バロールへと戻っていった

   シルフ 「…
         こりゃ ぼくがなんとかするしかないよね
         よーし!

シルフもその場から消え 孤島に再び静寂が訪れた


― 商業の町 バロール ―

ぜくんどぅす 「はぁ 悪い遅くなってしもたわ
    ウラン 「どうもお疲れ様です

オクトスライミーを荷車に畳込んで
一息つくぜくんどぅす
するとリッドがいないことに気が付いて…

ぜくんどぅす 「リッドはどないしたん?
    ウラン 「リッドさんは港です
ぜくんどぅす 「港? なんで?
    ウラン 「明日の二番船のチケットを買いに行ってくれました
         行き先はシャンバールです
ぜくんどぅす 「シャンバール? 何しにいくんや?
         まさか味マスターに喧嘩売りに行く気ちゃうやろな
    ウラン 「ははは 違いますよ
         シャンバールには独特の食材がありますからね
         それを見に行こうと思いまして
         あと明日 丁度ビストロ・シャンバールで
         料理対決があるそうですから ついでに見に行きますか?
ぜくんどぅす 「その対決に味マスターは出るんか?
    ウラン 「出場者の腕次第ですね
         運が良ければ お目にかかれるかもしれません
ぜくんどぅす 「どっちにしろ明日は休業やな
    ウラン 「そういうことになります

そんなことを話している内に
乗船券を買いに行ったリッドが戻ってきた

    リッド 「買ってきたぜ 4人分
ぜくんどぅす 「おう ご苦労やったな
         …ん?ちょっと待て 今4人分言わんかったか?
   ??? 「ぼくの分だよ

リッドの背後から一人の少年が出てきた

ぜくんどぅす 「げっ お前は!

ぜくんどぅすは まるで汚いものを見たかのように言った
それに対して少年はニヤリと一瞬笑った

    リッド 「なんだ ゼックン知ってるのか?
         なんかよくわからないけどよ
         金は持ってたけど乗船券の買い方が分からないから
         自分の分も買ってくれって言われてな
         同じ船で行き先もシャンバールだったんでついでに…
    ウラン 「君 名前は?
   ??? 「ぼく ルシフ!
ぜくんどぅす (シルフやっちゅうに…

そう格好こそ普通の少年だが その正体はシルフであった

    シルフ 「ねぇねぇ それよりタコヤキってなんなのさ?
          ぼく みたことないんだよね
    ウラン 「これだよ 食べてみるかい?

ウランが余ったタコヤキをシルフに差し出した
シルフは差し出されたタコヤキを一口

    シルフ 「うっわぁ 美味しいんだね これぇ!
          ぼくこんなに美味しいものはじめてたべたよ!

その様子を見てウランはぜくんどぅすに言った

    ウラン 「ゼックンさん この子もしかして
          独りなのではないでしょうか?
          乗船券も独りで買いに行っていた様だし…
    シルフ 「うん ぼく独りだよ

聞いていたシルフは言う
結局 人の良いウランはシルフの面倒を見ると言い出し
シルフも こうなることが計画済みのように
ぜくんどぅすの方を見て悪魔のように笑った

ぜくんどぅす 「ほな 明日は皆でシャンバールやな
         (野郎… 何を企んどるんじゃ

そんなことを思いながら一日は終わっていった



次回
それゆけ ぜくんどぅす ~休日~

第四話 完

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