約束のピクニック【2】
約束のピクニック 2
作 神条
― 忍者の里 頭領の家 ―
クレスたちは忍者の里へと場所を移し 頭領藤林乱蔵に戦いを終えたことを告げた
乱蔵「そうであったか… ともかくご苦労であった そして心より感謝しますぞ
これで忍者の里だけでなく 世界中も歓喜に溢れることでしょう
今日は遠慮せずゆっくりして行かれよ お仲間との積もる話もあるようなので…
クレス「はい お世話になります
乱蔵「それでは失礼…
クラ―ス「まだ日も高い 私は温泉は後にして 外を散歩させてもらうよ
クレス「僕もお供します
チェスター「そんじゃ自由行動ってことで
ミント「賛成です
アーチェ「あたしも~
クレス & クラ―ス
クラ―ス「いつきても落ち着いていて良いところだな ここは…
クレス「そうですね 戦いも終わりましたし 僕ら自身も落ち着けますからね
クラ―ス「そうだな …お!
クレス「どうかなさいましたか?
クラ―ス「クレス 万屋に行ってみよう
およね「おいでやす~
クレス「どうも
クラース「んん 香ばしいお茶の香りがするな
およね「よかったら 一杯どうです? おみよはんがとってきてくれはった緑茶どす
クラース「それじゃあ お言葉に甘えて …ん
およね「はい そちらの方も
クレス「ありがとうございます
クラース「うまいな 全身から疲れが抜けていくようだよ
クレス「本当だ 美味しいですね
およね「ほな これ持っていってくださいな
クレス「え?
およね「ダオスを倒しはった英雄はんへ ささやかな贈り物どす どうぞ
クラース「こんなに… どうもすみません
クレス「どうも ありがとうございました
およね「いえいえ こちらこそ
クラース「良い土産ができたな
クレス「ミラルドさんに… ですか?
クラース「… まぁ なんだ あいつ一人に研究所を任せっ放しだからな
土産のひとつも持って帰らなかったら なんて言われるか…
クレス「ミラルドさん 心配してますよきっと
クラース「さぁ どうだろうな 既に研究所が無くなっているかもしれん
クレス「はは そんなことはないですよ ミラルドさんってきっちりした人でしたしね
クラースさんにはピッタリ…
クラース「おいこらクレス それは一体どういう意味だ まさかお前…
クレス「顔が赤いですよ
クラース「頼むからやめてくれぇ!
チェスター&すず
チェスター「アミィ… 今帰るからな…
すず「何をしているんですか?
チェスター「うわぁ! …なんだ君か 脅かさないでくれ
すず「ごめんなさい 脅かすつもりでは… また 妹さんのことですか?
チェスター「まぁな 前にも言ったかもしれないけど 俺にとって一番大事な存在だった
すず「もう会うことが出来ないものを愛する気持ち 愛し続ける気持ち ですか?
チェスター「そうだな アミィには会えないけど あいつはどこかで俺を見守ってくれているはずさ
すず「今ならなんとなく理解することができます その気持ち大切にしてあげてください
チェスター「え…?
すず「寂しいわけ ないですから…
ミント&アーチェ
アーチェ「あ~あ ミントたちとも明日でお別れかぁ
ミント「そうですね 寂しくなりますね
アーチェ「みんなハーフエルフだったら良かったのにね~
ミント「ええ クラースさんやすずさんに会えなくなるのはとても辛いですから
アーチェ「忍者の里に来られるかなぁ
ミント「何が ですか?
アーチェ「ハーフエルフはユミルの森に入れないでしょ
150年経っても喧嘩してるなんてバッカじゃないの!
ミント「エルフたちも好きで距離をおいているわけではありませんし…
そういうところではダオスの言っていた事も一理ありますよね
アーチェ「会いに来てよ みんなで 絶対に!
ミント「ええ 約束します
アーチェ「約束したからね
クレス「アーチェ!ミント!
アーチェ「ん?
クラース「見ろこれを さっき万屋で貰ってきたんだ
ミント「良い香り お茶ですね?
クレス「うん 現代のモリスンさんやトリスタン師匠にお土産
アーチェ「なんかさ旅行に行ってきたみたいだよね~
クラース「良いじゃないか 美味しいものは拒まず だ
アーチェ「じゃあさ あたしの料理は?
クレス「そろそろ乱蔵さんのお屋敷に戻ろう
ミント「ええ そうですね 陽も沈んできました
クラース「よーし 暖かい温泉に入るぞ~!
アーチェ「あんたたちねぇ うまく回避してるつもりなの?
チェスター「おっ
クレス「やぁチェスターずっと見なかったけど どこにいたんだ?
チェスター「ここの中庭にいたんだ …その袋はなんだ?
クレス「お茶だよ 万屋で貰ってきたんだ
クラース「ダオスを倒した英雄に ってな
チェスター「ふ~ん
すず「みなさん 良い湯加減になりました 温泉へどうぞ
クラース「おお では一番風呂は私がいただこう!
クレス「あっ クラースさんそれはないですよ!
温泉
クラース「はぁ~ 極楽とはこのことだな
クレス&チェスター「…
クラース「ん 二人ともその目はなんだ?
クレス「その刺青って なんで溶けないんですか?
クラース「消えたら召喚術にも影響が出るからな お湯程度では効果はないんだ
唯一これと同じ成分の溶液ならば 結合させて消すことができる
チェスター「へ~ 強力なんだな
クラース「温泉程度で消えてもらっては困るだろ
クレス「召喚術 完成させるのに苦労なされていたんでしょ?
クラース「ああ 孤立と嘲笑 屈辱の日々だった
しかしお前たちと出会えて その苦労も報われた 礼を言うぞ二人とも
クレス「こちらこそ力を貸していただいて クラースさんがいなかったらここまで来れませんでした
クラース「ま こうしてまたお互い無事に温泉に浸かることもできた 結果よければ全て良しだな
クレス「そうですね
ミント「いいお湯ですね 旅の疲れが取れます
アーチェ「ほんと~ 自分の家に温泉があるなんていいよねぇ 羨ましいなぁ
ミント「そうですね 羨ましい…
すず「みなさん 明日にはもうそれぞれの時代に帰られてしまうのですね
…もう本当に会えないのですね
ミント「この時代では 私たちはかなり老体になっていますから
会いに行くのは難しいですね…
アーチェ「私は行くよ また温泉に入りたいし すずちゃんにも会いたいよ
すず「アーチェさん…
アーチェ「ん あれ? すずちゃん?
すず「は はい
ミント「どうしたのですか 急にお湯に潜って
すず「あ… い いえ 気にしないでください
アーチェ「すずちゃん もしかして?
すず「す すみません 私 そろそろ…
アーチェ「…
ミント「すずさんも忍者である前に 一人の人間の女の子ですからね
やはりどんなに修行しても抑えきれないものはあるんですよ
アーチェ「うん でもさ その方が良いよね 絶対良いよね
ミント「そうですね でも難しいと思います すずさんには忍者の宿命とかそういうのが
重たく心を 感情を殺させているんでしょう
アーチェ「忍者かぁ… なんかかわいそうだねぇ
クラース「温泉の後の酒か~ いや~たまらん
クレス「僕なんか少しのぼせちゃいましたよ
チェスター「はぁ 俺も…
アーチェ「あんたたちってやっぱり頭のレベルは一緒みたいね
チェスター「うるへ~な~ ほっとけ
クラース「さぁ みんな食事を済ませたらすぐに休もう 明日はいよいよピクニックだからな
アーチェ「わーい!
ミント「では 明日の食事はバーベキューですね
クラース「ん そうだな それならアーチェが作ろうとも味はたいして変わらん
チェスター「安心して食べられるってわけか
アーチェ「ちょっとそれどういう意味よ!
クラース「アーリィでお前の料理を食ったら ダオス戦でみんな腹痛だっただろうが!
冥空斬翔剣がなかったらあと一歩で全滅だったんだぞ!
アーチェ「うっ…
クレス「まぁまぁ クラースさんもさっき結果が全てだって言ってたじゃないですか
チェスター ピクニックでは全部アーチェが作るわけじゃなんだからから…
チェスター「それもそうだな
クラース「ともかく今日はもう寝て 明日に備えよう
― あれは あの戦いは紛れもなく死闘
ダオスとの戦闘中 我ら全てに腹痛を与えたあの料理はまさに毒
…ふふ 毒か これからはアーチェの毒を味わうことが少なくなるかな?
アーチェ お前の毒は我々からしばしば戦いを忘れさせてくれる薬だったのかもしれんな
皆に出会えて本当によかったよ 苦労も報われ世界も救い この上言うことなしだ
ん 苦労…? ああ そう言えば皆に合うまで私は孤独だったな 人生変わったよ 本当に…
ミラルドにも良い土産話をしてやれそうだ この旅のことは決して忘れないぞ 決してな…
つづく
作 神条
― 忍者の里 頭領の家 ―
クレスたちは忍者の里へと場所を移し 頭領藤林乱蔵に戦いを終えたことを告げた
乱蔵「そうであったか… ともかくご苦労であった そして心より感謝しますぞ
これで忍者の里だけでなく 世界中も歓喜に溢れることでしょう
今日は遠慮せずゆっくりして行かれよ お仲間との積もる話もあるようなので…
クレス「はい お世話になります
乱蔵「それでは失礼…
クラ―ス「まだ日も高い 私は温泉は後にして 外を散歩させてもらうよ
クレス「僕もお供します
チェスター「そんじゃ自由行動ってことで
ミント「賛成です
アーチェ「あたしも~
クレス & クラ―ス
クラ―ス「いつきても落ち着いていて良いところだな ここは…
クレス「そうですね 戦いも終わりましたし 僕ら自身も落ち着けますからね
クラ―ス「そうだな …お!
クレス「どうかなさいましたか?
クラ―ス「クレス 万屋に行ってみよう
およね「おいでやす~
クレス「どうも
クラース「んん 香ばしいお茶の香りがするな
およね「よかったら 一杯どうです? おみよはんがとってきてくれはった緑茶どす
クラース「それじゃあ お言葉に甘えて …ん
およね「はい そちらの方も
クレス「ありがとうございます
クラース「うまいな 全身から疲れが抜けていくようだよ
クレス「本当だ 美味しいですね
およね「ほな これ持っていってくださいな
クレス「え?
およね「ダオスを倒しはった英雄はんへ ささやかな贈り物どす どうぞ
クラース「こんなに… どうもすみません
クレス「どうも ありがとうございました
およね「いえいえ こちらこそ
クラース「良い土産ができたな
クレス「ミラルドさんに… ですか?
クラース「… まぁ なんだ あいつ一人に研究所を任せっ放しだからな
土産のひとつも持って帰らなかったら なんて言われるか…
クレス「ミラルドさん 心配してますよきっと
クラース「さぁ どうだろうな 既に研究所が無くなっているかもしれん
クレス「はは そんなことはないですよ ミラルドさんってきっちりした人でしたしね
クラースさんにはピッタリ…
クラース「おいこらクレス それは一体どういう意味だ まさかお前…
クレス「顔が赤いですよ
クラース「頼むからやめてくれぇ!
チェスター&すず
チェスター「アミィ… 今帰るからな…
すず「何をしているんですか?
チェスター「うわぁ! …なんだ君か 脅かさないでくれ
すず「ごめんなさい 脅かすつもりでは… また 妹さんのことですか?
チェスター「まぁな 前にも言ったかもしれないけど 俺にとって一番大事な存在だった
すず「もう会うことが出来ないものを愛する気持ち 愛し続ける気持ち ですか?
チェスター「そうだな アミィには会えないけど あいつはどこかで俺を見守ってくれているはずさ
すず「今ならなんとなく理解することができます その気持ち大切にしてあげてください
チェスター「え…?
すず「寂しいわけ ないですから…
ミント&アーチェ
アーチェ「あ~あ ミントたちとも明日でお別れかぁ
ミント「そうですね 寂しくなりますね
アーチェ「みんなハーフエルフだったら良かったのにね~
ミント「ええ クラースさんやすずさんに会えなくなるのはとても辛いですから
アーチェ「忍者の里に来られるかなぁ
ミント「何が ですか?
アーチェ「ハーフエルフはユミルの森に入れないでしょ
150年経っても喧嘩してるなんてバッカじゃないの!
ミント「エルフたちも好きで距離をおいているわけではありませんし…
そういうところではダオスの言っていた事も一理ありますよね
アーチェ「会いに来てよ みんなで 絶対に!
ミント「ええ 約束します
アーチェ「約束したからね
クレス「アーチェ!ミント!
アーチェ「ん?
クラース「見ろこれを さっき万屋で貰ってきたんだ
ミント「良い香り お茶ですね?
クレス「うん 現代のモリスンさんやトリスタン師匠にお土産
アーチェ「なんかさ旅行に行ってきたみたいだよね~
クラース「良いじゃないか 美味しいものは拒まず だ
アーチェ「じゃあさ あたしの料理は?
クレス「そろそろ乱蔵さんのお屋敷に戻ろう
ミント「ええ そうですね 陽も沈んできました
クラース「よーし 暖かい温泉に入るぞ~!
アーチェ「あんたたちねぇ うまく回避してるつもりなの?
チェスター「おっ
クレス「やぁチェスターずっと見なかったけど どこにいたんだ?
チェスター「ここの中庭にいたんだ …その袋はなんだ?
クレス「お茶だよ 万屋で貰ってきたんだ
クラース「ダオスを倒した英雄に ってな
チェスター「ふ~ん
すず「みなさん 良い湯加減になりました 温泉へどうぞ
クラース「おお では一番風呂は私がいただこう!
クレス「あっ クラースさんそれはないですよ!
温泉
クラース「はぁ~ 極楽とはこのことだな
クレス&チェスター「…
クラース「ん 二人ともその目はなんだ?
クレス「その刺青って なんで溶けないんですか?
クラース「消えたら召喚術にも影響が出るからな お湯程度では効果はないんだ
唯一これと同じ成分の溶液ならば 結合させて消すことができる
チェスター「へ~ 強力なんだな
クラース「温泉程度で消えてもらっては困るだろ
クレス「召喚術 完成させるのに苦労なされていたんでしょ?
クラース「ああ 孤立と嘲笑 屈辱の日々だった
しかしお前たちと出会えて その苦労も報われた 礼を言うぞ二人とも
クレス「こちらこそ力を貸していただいて クラースさんがいなかったらここまで来れませんでした
クラース「ま こうしてまたお互い無事に温泉に浸かることもできた 結果よければ全て良しだな
クレス「そうですね
ミント「いいお湯ですね 旅の疲れが取れます
アーチェ「ほんと~ 自分の家に温泉があるなんていいよねぇ 羨ましいなぁ
ミント「そうですね 羨ましい…
すず「みなさん 明日にはもうそれぞれの時代に帰られてしまうのですね
…もう本当に会えないのですね
ミント「この時代では 私たちはかなり老体になっていますから
会いに行くのは難しいですね…
アーチェ「私は行くよ また温泉に入りたいし すずちゃんにも会いたいよ
すず「アーチェさん…
アーチェ「ん あれ? すずちゃん?
すず「は はい
ミント「どうしたのですか 急にお湯に潜って
すず「あ… い いえ 気にしないでください
アーチェ「すずちゃん もしかして?
すず「す すみません 私 そろそろ…
アーチェ「…
ミント「すずさんも忍者である前に 一人の人間の女の子ですからね
やはりどんなに修行しても抑えきれないものはあるんですよ
アーチェ「うん でもさ その方が良いよね 絶対良いよね
ミント「そうですね でも難しいと思います すずさんには忍者の宿命とかそういうのが
重たく心を 感情を殺させているんでしょう
アーチェ「忍者かぁ… なんかかわいそうだねぇ
クラース「温泉の後の酒か~ いや~たまらん
クレス「僕なんか少しのぼせちゃいましたよ
チェスター「はぁ 俺も…
アーチェ「あんたたちってやっぱり頭のレベルは一緒みたいね
チェスター「うるへ~な~ ほっとけ
クラース「さぁ みんな食事を済ませたらすぐに休もう 明日はいよいよピクニックだからな
アーチェ「わーい!
ミント「では 明日の食事はバーベキューですね
クラース「ん そうだな それならアーチェが作ろうとも味はたいして変わらん
チェスター「安心して食べられるってわけか
アーチェ「ちょっとそれどういう意味よ!
クラース「アーリィでお前の料理を食ったら ダオス戦でみんな腹痛だっただろうが!
冥空斬翔剣がなかったらあと一歩で全滅だったんだぞ!
アーチェ「うっ…
クレス「まぁまぁ クラースさんもさっき結果が全てだって言ってたじゃないですか
チェスター ピクニックでは全部アーチェが作るわけじゃなんだからから…
チェスター「それもそうだな
クラース「ともかく今日はもう寝て 明日に備えよう
― あれは あの戦いは紛れもなく死闘
ダオスとの戦闘中 我ら全てに腹痛を与えたあの料理はまさに毒
…ふふ 毒か これからはアーチェの毒を味わうことが少なくなるかな?
アーチェ お前の毒は我々からしばしば戦いを忘れさせてくれる薬だったのかもしれんな
皆に出会えて本当によかったよ 苦労も報われ世界も救い この上言うことなしだ
ん 苦労…? ああ そう言えば皆に合うまで私は孤独だったな 人生変わったよ 本当に…
ミラルドにも良い土産話をしてやれそうだ この旅のことは決して忘れないぞ 決してな…
つづく