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おまかせ!クラース探偵事務所第2弾【1】

題 『おまかせ!クラース探偵事務所 ~現れた宿敵~』 作 O.バークライト

第一章『犯行声明』

「ク~ラ~ス~さ~~ん!!」

まだ日も昇っていない朝にクレスの声が響き渡る。
走って事務所に帰ってきたクレスを一人の男が二階から見ていた。
その男の名は、名探偵クラース・F・レスター。
刑事時代に鍛えられた洞察力は刑事から退いても未だに世界一と言う声も少なくない。
つい2週間ほど前に、『人魂事件』を解決してから、事件の依頼はずっと無かった。

「クラースさん、事件です!!」

「あぁ、それでどういう事件なんだ?」

クレスがクラースにたずねられ、メモを見ながらしゃべり始める。

「事件発生は昨晩2時ごろ、盗まれたのは高さ30cmほどの純金の像です。
 犯人は『25代目石川五右衛門』と名乗り、犯行声明を一週間前に送りつけていたそうです。
 現場はあくどい稼ぎ方をしているらしいって有名なターヴィルさんの家です。
 ターヴィルさんは犯行声明をいたずらと思ったそうです。」

「石川五右衛門・・・か。噂では近頃、先代が名を譲ったとか・・・。」

クラースが聞き終わった後に深刻な顔を見せた。
『石川五右衛門』の名は遥か昔から現代まで受け継がれ、初代、12代目、
そして先代の24代目は、三強と言われそれぞれ、変装、体術、頭脳が優れていたという。
それと、五右衛門の名が譲られるときは現在の五右衛門が
自分の弟子に劣ったと自らが認めた時のみである。

「と、言う事はクラースさん、その名を譲ったって事は、
 先代が現在はその人に劣っているという事ですか?」

「う~ん・・・先代がもうどうしようもない怪我や病気になったのか、
 その人が先代をも凌ぐ腕なのか・・・どちらかだろうな。
 それでは早速、現場を見に行くとするか。おーい、チェスター!仕事だぞ~!!」

「ちょっと待ってくれ~、今行く~。」

クラースが奥にいるチェスターを呼んだ。

「なぁおっさん、今回の事件の犯人らしき人物は?」

チェスターが用意をしながら聞く。

「あぁ、まだ言ってなかったな。犯人はあの石川五右衛門だ。」

クラースがそういった瞬間、チェスターの動きが一瞬止まった。

「そ、そうか・・・あの石川五右衛門ね・・・。」

クラースはチェスターがおかしい事が分かっていたが、
とりあえずミントに留守を頼んで現場のターヴィル家へ向かった。

「ここがターヴィル家だな。」

クラース達はこの町の中でもひときわ大きな屋敷の前に立った。

「すいませ~ん、事件の解決を依頼されたクラース探偵事務所の者ですが・・・。」

クレスがきつく閉まっている門前で叫んだ。

「はい、ご主人様から話はうかがっております。奥の客間へどうぞ。」

「あぁ、失礼するよ。」

重く硬い門が開き、中に居たお手伝いさんがクラース達を奥へと招いた。

「おぉ・・・よく来てくれた。まぁ座ってくれ。」

「早速ですが犯行声明は?」

「あ、あぁこれです・・・。」

悪趣味な椅子に座ったクラースが、ターヴィル家主人から石川五右衛門の犯行声明を受け取った。
そこには、
『ちょうど一週間後にターヴィル家の純金の像を頂く。 25代目石川五右衛門』
と、書いてあった。

「ふむ・・・その純金の像はどのようなお金で作られたのですか?」

「そ、それは・・・寄付ですよ、寄付・・・。」

明らかに不自然な笑みを浮かべてターヴィルは言った。
クラースはその笑みを逃さず、あくどい稼ぎ方をした金だと思った。
ターヴィル家はその筋じゃ有名な金貸しの家であった。

「それでは私はこれで・・・、帰るぞクレス、チェスター。」

「は、はい。」

「あぁ、分かった。」

「か、帰るんですか・・・? 像は??」

ターヴィルが不安そうな顔でクラースに歩み寄った。

「この事件は次の犯行声明が出ない限り、犯人は捕まえられません。
 それなら待つしかないでしょう? では、お邪魔いたしました。」

「そ、そんな~~~・・・。」

クラースは悪趣味な椅子から立ち上がり、ターヴィル家をあとにした。

「クラースさん、なぜあんなに早くあの家を出たんですか? 捜査は打ち切りなんですか?」

クレスがクラースへと抑えていた不満を口にした。

「いや、打ち切りじゃぁ無い。クレスとチェスターに調べて欲しい事がある。
 ターヴィルに最近ひどい取り立て方をされた奴を探してくれ。
 それと見つかったらそいつの経済状況もだ。」

「は、はい!」 「わかったぜ。」

すでにチェスターにはさっきのようなおかしいところは見られなかった・・・。

あとがき

こんにちはとりあえず作者のO.バークライトです。
と、いう事でクラース探偵シリーズ第二弾、『現れた宿敵』第一章はどうでしたか?
この前に書いたあとがきの意味がわかったでしょうか?
果たして、チェスターの動揺の意味は?25代目五右衛門とは?クラースの推理は?
まだまだ謎だらけですね。これから少しずつ謎は解けていくので、ぜひ次の話も読んで下さい。
それではそろそろこの辺で、さようなら~。

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