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戦国義民大盗賊 12代目石川五右衛門【1】

題 『戦国義民大盗賊 12代目石川五右衛門!』 作 O.バークライト

      
第一章

この世は長い長い戦国の真っ只中で貧富の差が大きくなり、暮らしに困る農民と、
有り余る金をさらに増やそうとして、農民たちの生活を苦しめる大地主がいた。
そしてそんな世の中に私腹を肥やす地主のみを狙い、貧乏な者へと盗品を分け与える、
偉大な大盗賊がいたそうだ。その者は戦国の世には珍しい、青い長髪を揺らし、
ときには空を舞い、地を駆け抜け、12代目石川五右衛門を名乗るのであった・・・。

「ふぅ、今回の獲物は簡単に取れそうだな・・・。
 警備は手薄、倉庫の扉には鍵も無し、俺を馬鹿にしてんのか?」

一人、屋根の上からこの辺りではある意味有名な、地主の家を見ている男がいた。
この彼こそが第12代 石川五右衛門こと、チェスター・バークライトである。

「さてと・・・行くか!!」

一言掛け声を上げてチェスターは単身、倉庫の前に降り立った。

「・・・だ、だれだ!!」

「おせーよ・・・。」
 
トス・・・

「・・・・・っ!!」

誰かが降り立ったことに気付いた見張りの男は、素早く背後に回りこんだチェスターの
首筋に斜めから振り下ろす手刀を食らって倒れた。

「さてと、それじゃぁ中にある千両箱をいくつかもらっていくか。」

独り言をつぶやいたチェスターはひょいひょい、と二つの千両箱を持ち出した。

「らくしょーらくしょー、後はこれの中身をばらまくだけだな・・・今日は、北の地区にするか。」

屋根の上を走りながら、考え事をしているチェスターの目の前に
仮面をかぶった、一人の男の姿が見えた。

「・・・誰だ?同業者か・・・それとも俺を捕まえようって野郎か?」

「僕は・・・おまえを殺さなくっちゃいけない者だ・・・。」

そういって仮面の男は懐から短刀を取り出した。

「ふざけんなよ・・・でやぁっ!!」

チェスターは素早く短刀の突きをかわして、相手の腹部に掌底を叩き込んだ。

「チェス・・・ター・・・。」

「・・・ん? なんとなく気付いてたがやっぱりお前か・・・。」

その後、力無く倒れた男をかついだチェスターは北の地区で小判をばらまき、家へ帰った。

「・・・う・・・ん。」

「気が付いたかクレス?」

「チェ、チェスター・・・。 さっきの事は・・・。」

仮面をかぶっていた男は意識を取り戻すと辺りを見回した。

「そんな事よりクレス、アミィがお前の家に遊びに行ってたはずだろ、どこに行ったんだ?」

「その事なんだけど・・・ごめん! アミィちゃんさらわれちゃって・・・、
 チェスターを殺さないと、アミィちゃんは返さないって・・・。」

チェスターに向かってクレスは申し訳が無さそうに話した。

「な、なんだと?! 俺の事を捕まえろって言う奴って言ったら大名や地主の奴らか?!!」

「・・・チェスター、奴らは西地区の大地主、ダオス家の人間のはずだ!
 アミィちゃんがさらわれたのは僕が原因だ、僕もいっしょにアミィちゃんを助けに行くよ!!」

「しょうがねーなぁ、じゃぁ昔二人で組んでやってたとき見たいに行くか?
 やるんだったらお前自慢の名刀・・・何だっけ?あれ持って来いよ。俺は弓の用意をするから。」

「名刀ムラマサだろ?いつになっても覚えてくれないんだから・・・。」

クレスがあきれているように言った。

「あぁそんな名前だったな。それじゃあダオス家分館の屋根の上に12時集合って事で。」

「わかった、それじゃぁ時間厳守で!!」

二人は待ち合わせ場所を決めて、別れた。

あとがき

え~っと、今回書いた作品はそれなりに好きな作品です。
結構怪盗や、泥棒になる作品は多いので、最後はハッピーエンドにしたいです。
本編では最初にしか触れませんが、チェスターは自分の利益のために盗賊を、
しているのではなく、報われぬ人たちのためにがんばっているのです。
だから取ってきた物は、ほとんど自分は使いません。
その日食べれる量の、お金があったらいいのですから。
そのあたりを誤解しないで下さいね。ではこの辺で、さようなら~。

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