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戦国義民大盗賊 12代目石川五右衛門【2】

題 『戦国義民大盗賊 12代目石川五右衛門!』 作 O.バークライト


第二章
そして、12時ダオス家分館の上・・・

「チェスター来ないなぁ・・・今ちょうど12時10分だよ・・・。」

その時、屋根の上を飛び移ってくるチェスターがクレスには見えた。

「・・・すまん、クレス!!」

「遅いよチェスター、昔からず~~~~~~~っとこうじゃないか!!」

「煙玉を作ってたら遅くなっちまったんだよ、ほんっっっとうにすまねぇ!」

「もういいよ、僕がさっきから見てる限り、あの最上階の3階の奥に、
 アミィちゃんがいると思うんだ。」

そう言ってクレスはやけに大きい土地に立つ、これまた大きいダオス家本館の3階を指さした。

「昔の目はまだ鈍ってないみたいだなクレス。
それじゃあ俺が煙玉を1階にぶち込むから、二人で一気に駆け上がるぞ!!」

「OK、相棒!!」

二人は早速屋根から飛び降り、本館の入り口を目指して走り出した。

「お、お前達、どうやって正門は閉まっているのに中に入った?!」

「どけどけ~! 魔神剣!!」

クレスが見張りをしている男たちを剣圧で蹴散らしている
その間にチェスターは走りながら煙玉に、火を放った。

「目をつぶれクレス!」

チェスターが叫び、クレスが目をつぶると一気に煙が広がった。
見張り達は目に煙が入り込み、涙を流して身動きが出来なくなっている。

「いつ見てもチェスターの煙玉は恐ろしい威力だね・・・、よし一気に行こうチェスター!」

「分かってるよ、どけどけ~!五右衛門一家のお通りで~い!!」

二人はクレスが前衛、チェスターが後衛で
目の見えぬ敵を蹴散らしながらここの最上階の3階まで登りきった。

「え~~~い!!」

クレスが鍵の掛かった扉を蹴破った。

「アミィ!!」

チェスターがさらわれた妹の姿を見て叫んだ。アミィは部屋の端で眠っているようだ。

「来たな・・・十二代目石川五右衛門・・・。」

「お前が犯人だな・・・素直にアミィを返したら許してやってもいいぜ。」

話しながらチェスターがダオスに向けた弓に矢を構える。ダオスの顔に恐怖の色は無い。

「ふっ・・・大罪人のお前が何を言う・・・。
 どれだけの人間がお前のおかげで困ってるか分かって言っているのか・・・?」

「この辺りじゃぁお前だけは農民から重い小作料を取らねーから話がわかる奴だと思っていた
 からここには金を取りに来なかったのにな・・・がっかりだぜ。」

「ん・・・、何だと?お前ほんの二日ほど前にここに来てあらかた小判を取っていっただろう?」

「はぁ?俺はここには来た事ねぇぞ・・・まさか、俺のにせものか??」

チェスターとダオスは二人同時に首をひねった。

「も、もしかしてダオスの勘違い・・・とか?」

クレスの言葉でその場に怪しい空気が流れ始める。

「・・・すまん、私の勘違いだったようだ、妹は返そう。」

「ちょっと待てよ、ダオスさん。それだけでこの俺が許すと思っているのか?」

チェスターがダオスに詰め寄る。

「まだ何か望む事があるのか?」

「・・・なるべく早く俺のにせものを捕まえろ。
 一週間俺は仕事を休業してやるからその間に捕まえるんだぞ!!」

「・・・それだけでいいのか?ならばすぐにでもそのにせものとやらを捕まえよう。」

「その言葉ぜってー忘れんなよ!さぁ、帰るぞクレス!!」

チェスターがまだ眠っているアミィを背負った。

「う、うん。さようならダオス。」

「本当にすまなかったな。たまにはここに来ていっしょに三人で茶でもどうだ?」

「そのうちに邪魔させてもらうぜ。」

チェスターは、そう言って、その場を後にした。
そしてすぐにチェスターのにせものは捕まり、その後も長期に渡って、
ダオスとチェスターたちの付き合いは続いたそうだ。

             完!! 

あとがき

どうも、こんにちは。O.バークライトです。ハッピーエンドで良かった良かったw
前にも言いましたが、今回の作品は、
『おまかせ!クラース探偵事務所』の次回作への橋渡しみたいな物です。
だから、次に作るクラースさんの作品は、この話と少なからず関わりがあります。
楽しみにしていてくださると光栄です。
結構この作品は自分でも気に入ってるのですが、オリジナルキャラを一人も作れなかったのが、
少し残念です。でも次の作品ではオリジナルキャラは作るつもりです。
最後になりましたが、これまでも、そしてこれからも僕の作品を読んでいただける方々に、
精一杯の感謝の気持ちを・・・



『キャラクター設定』 

12代目石川五右衛門=チェスター・バークライト

父が五右衛門として生きてきたのを見て育ったため父の死後、自分も五右衛門になる事を決意する。
暮らしはあまり苦しいわけではないが、世の中のかわいそうな人達の為に日夜、
屋根の上を飛び回っている。少し前までクレスと組んでやっていたが、
クレスが仕事を見つけたため、一人で活動していた。
実は弓の名手であり、薬品の調合法などもよく知っている。彼が作る煙玉は脅威である。
たった一人の肉親、妹のアミィには盗賊をしている事は内緒である。
少々『しすたぁこんぷれっくす』気味である。

クレス・アルベイン

チェスターとは大の親友で昔からとても仲が良い。
チェスターの父、つまり先代の五右衛門を知っていて、その素晴らしさに心をうたれる。
現在は、お城の剣術指南役として働いている。
剣術指南役になるような剣術の腕前は、超一級である。
アミィとも仲が良く家族ぐるみの付き合いである。

アミィ・バークライト

チェスターの妹であり、良き理解者でもある。
彼女は、父もチェスターも普通の仕事をやっているのだと思っている。
彼女の作る『まぁぼぅ・かりぃ』は絶品で、バークライト家の秘伝である。
密かにクレスに思いを寄せている。

ダオス

少しは名の知れた地主であり、何より農民を大切にしている。
チェスターのにせものに家宝や、小判を奪われてアミィを誘拐する。
その五右衛門がにせものだとわかると、チェスターの言う通りににせものを捕まえさせた。
チェスターがやったのでは無いと知ってすぐにアミィを開放するあたり、良い奴のようである。
この後ダオスはチェスターとクレスと、友として長い付き合いになるのである。



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