チェスターの受難【2】
チェスターの受難Ⅱ
「あっれぇぇぇぇ~」
ピンクの髪の少女が声を上げた。
フリフリとした服装で頭から髪を触覚のように下ろしている。
腰には弓を携え、何かを探しているらしく地面に這いつくばっている。
「まったく…いったい何をやっているんだ…」
黒髪の緑川ヴォイスの美しい少年がそのピンクの髪の少女に悪態をついた。
「矢を探しているんですぅぅぅぅ…」
「矢だって?一本ぐらい放っておけ!行くぞ!!」
「でもでもでもぉ…あれはベルベーヌの汁を塗った…」
「また塗ればいいだろう!!」
ベルべーヌの汁を矢じりに塗った矢で意中の人を撃つと思いが通じる…
たしかそんなまじないだったはずだ…黒髪の少年曰く
「そんな事したら死ぬ。」
だそうだが、彼の仲間のスタン馬鹿達は気にも留めてないようだ。
「なぁ…」
所変わって精霊の森。チェスターは隣にいるクレスに話しかけた。
彼の親友であり、今はダオスを倒すという目的のために共に旅をしている
仲間だ。
ちなみにここで何をしているかというと今夜の食材調達に来た所だ。
彼らはそれぞれの最強のえもの武器を手にしている。
クレスの手にはエターナルソード。時空を操りダオスの時空転移を封じる
ことができるこの世でただ一つの魔剣だ。
一方チェスターの手にはエルブンボウ。エルフの手により作られた最強の
弓である。どんな鎧でも貫けるであろうその一撃はチェスターにしか操れ
ないであろう…。
チェスターに声を掛けられクレスはチェスターの手にする物が目に入った。
「ん?…なんだい?それは…」
チェスターの手には矢が握られている。しかし彼が愛用している矢とは違い、
赤い色の短い矢だった。
「コレ…貰っちまっていいかな…」
「いいんじゃないか?まだ使ってないみたいだし…」
チェスターは知らない。この行動を後々後悔することになるとは…
「ところでさ、」
「ん?」
「アーチェの事、どう思ってるんだい?」
「はぁ?あの馬鹿がど…どうって…何の事だよ…」
クレスにこんなことを聞かれ素っ頓狂な声を上げてしまい、気にしないように
声を出しても語尾は小さくなってしまった。
「やっぱりさ、気にはなるのかい?アーチェもさ君の事が…」
――…殺気!?――
恐る恐るチェスターのほうを向けばそこにはいつもの笑顔を僕に向けてる彼が
いた。何時もの数百倍の危険な笑顔ではあったが… byクレス。
邪悪な笑顔と弓矢を向けたチェスターがそこにいた。
「ちょっと黙ろーなー(ハート)」
「ま…まてまてまて!!その弓で撃たれたら…」
「問答無用!!くらえ!!」
「う、うわあああああぁぁぁぁ!!!」
クレスは矢をギリギリの所でかわした。刹那の後、後ろで鈍い音と共に木が
はじけて倒れた。いくらエルブンボウとはいえ、そこまでの破壊力は無い筈
だ。しかし、クレスには理由が判っていた。
彼の本気の怒りが殺気となってクレスに襲いかかったのだ。
矢の雨が降り注ぎ、クレスは叩き落とすのが精一杯だった。
「く、空間翔転移!!」
クレスが攻撃の合間を縫って、技を放った。空中へとクレスの体が浮かび上
がる。
「ちぃ!」
チェスターが空中のクレスめがけて矢をつがえた。そう。あの短い矢を…
「くらえぇっ!!」
しかし一瞬遅く、矢はクレスをすり抜けた。クレスが消えたのだ。
そしてクレスはチェスターの目の前に現れると弓を弾き飛ばした。
「落ち着けよ…」
「ワリィ…」
『ドサッ!』
何かが落下音と共に落ちてきた。二人はその何かを見て、「ブッ!」と吹き
出した。無理も無い。その何かが倒すべき宿敵、ダオスだったのだから…
彼の肩からは血が出ており、それによって赤黒くなった短い矢が刺さって
いた。二人はあたふたとする事しかできなかった。
「おのれぇ…キサマ…」
そこまで言い、顔を上げたダオスは「ポッ」という効果音と共に赤くなった。
「…ら…」
彼は一点を見つめている。
「…なぁ…あいつ、俺達の事見てるよなぁ…」
「…てか、チェスター。君だろ?」
「やっぱり?」
「やっぱり。」
「うわあああああ!恋するような目で俺を見るなー!!」
チェスターは逃げ出した。
「ム、待て!」
ダオスも低空飛行でチェスターを追う。
二人は茂みの中へと消えていった。
「!…すずちゃん!」
森の中で修行中のすずがいた。
「?…どうしたんですか?」
「ダ、ダオスが!」
「ダオス!?」
「ああ。奴が来るはずだからあっちへ行ったといってくれ。」
と左側を指差し、右側へと消えていった。
「…ダオスが来る?でもなんでチェスターさんが…」
「奴はどこだ!」
「ッ!ダオス?…チェスターさんの事か?チェスターさんならあっち(左側)
を指差してあっち(右側)へ行きました。」
「感謝する。」
「いえ。忍ですから…(何?)」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
後ろからダオスが迫ってくる。
「なんで?すーずちゃーん!!…あれは。おーい!おっさーん!!」
「な?チェスター?それに…ダオスだと!?」
「そういうわけだ!後は頼む!」
「な、何がそういうわけなんだ?おい!チェスター!」
しかしチェスターは森の奥へと消えてしまっていた。
「く…とにかく何とかしないと…来い!ダオス!!」
「邪魔だぁ!!!」
ダオスの手から溢れ出た光の奔流によりクラースが消し炭と化した。
ダオスレーザー…過去で何度全滅した事か…
クラースの頭の中を走馬灯の如く記憶が駆け巡った。
「アーチェ!!」
散歩中のアーチェを発見した。が…
「あ、チェスター。ビックバン!」
「ぎゃああああああああああ!!!!」
挨拶代わりのビックバンで吹っ飛ばされた。
「な、キサマ!!よくも!ダオスコレダー!!」
「な、なんであんたがー!!」
ダオスのダオスコレダーによりアーチェもまた遥か彼方へ吹っ飛ばされた。
「クレスぅ!助けてくれ!」
「チェスター!?無事(?)だったんだね!」
「き、来たー!!」
「え?」
チェスターが森の中へと消えると同時にダオスが現れた。
「キサマぁ…奴をどこに隠した…」
「チェスターならあっちに…」
「嘘を言うな…」
「いや、ホントに…」
「ええい!私の(恋路の)邪魔はさせんぞ!!」
「ぎゃああああああああ!!!」
ベルべーヌの汁を塗った矢は惚れ薬のようなものでした。
その後正気に戻ったダオスは何事も無かったかのように去っていきました。
…クレス、おっさん…ごめん。(アーチェとすずは?)
ちなみにクレスがくらった技は「ミリオンアサルト」って名前らしい。
そんなんあったか?
あとがき。
ごめんなさい①。チェスターの受難じゃないっす。クレスの受難っす。
ごめんなさい②。おっそくなりました。
ここまで読んでくださった皆さん拙い作品でしたが読んでくださりありがと
うございました。
では、また。 飯
「あっれぇぇぇぇ~」
ピンクの髪の少女が声を上げた。
フリフリとした服装で頭から髪を触覚のように下ろしている。
腰には弓を携え、何かを探しているらしく地面に這いつくばっている。
「まったく…いったい何をやっているんだ…」
黒髪の緑川ヴォイスの美しい少年がそのピンクの髪の少女に悪態をついた。
「矢を探しているんですぅぅぅぅ…」
「矢だって?一本ぐらい放っておけ!行くぞ!!」
「でもでもでもぉ…あれはベルベーヌの汁を塗った…」
「また塗ればいいだろう!!」
ベルべーヌの汁を矢じりに塗った矢で意中の人を撃つと思いが通じる…
たしかそんなまじないだったはずだ…黒髪の少年曰く
「そんな事したら死ぬ。」
だそうだが、彼の仲間のスタン馬鹿達は気にも留めてないようだ。
「なぁ…」
所変わって精霊の森。チェスターは隣にいるクレスに話しかけた。
彼の親友であり、今はダオスを倒すという目的のために共に旅をしている
仲間だ。
ちなみにここで何をしているかというと今夜の食材調達に来た所だ。
彼らはそれぞれの最強のえもの武器を手にしている。
クレスの手にはエターナルソード。時空を操りダオスの時空転移を封じる
ことができるこの世でただ一つの魔剣だ。
一方チェスターの手にはエルブンボウ。エルフの手により作られた最強の
弓である。どんな鎧でも貫けるであろうその一撃はチェスターにしか操れ
ないであろう…。
チェスターに声を掛けられクレスはチェスターの手にする物が目に入った。
「ん?…なんだい?それは…」
チェスターの手には矢が握られている。しかし彼が愛用している矢とは違い、
赤い色の短い矢だった。
「コレ…貰っちまっていいかな…」
「いいんじゃないか?まだ使ってないみたいだし…」
チェスターは知らない。この行動を後々後悔することになるとは…
「ところでさ、」
「ん?」
「アーチェの事、どう思ってるんだい?」
「はぁ?あの馬鹿がど…どうって…何の事だよ…」
クレスにこんなことを聞かれ素っ頓狂な声を上げてしまい、気にしないように
声を出しても語尾は小さくなってしまった。
「やっぱりさ、気にはなるのかい?アーチェもさ君の事が…」
――…殺気!?――
恐る恐るチェスターのほうを向けばそこにはいつもの笑顔を僕に向けてる彼が
いた。何時もの数百倍の危険な笑顔ではあったが… byクレス。
邪悪な笑顔と弓矢を向けたチェスターがそこにいた。
「ちょっと黙ろーなー(ハート)」
「ま…まてまてまて!!その弓で撃たれたら…」
「問答無用!!くらえ!!」
「う、うわあああああぁぁぁぁ!!!」
クレスは矢をギリギリの所でかわした。刹那の後、後ろで鈍い音と共に木が
はじけて倒れた。いくらエルブンボウとはいえ、そこまでの破壊力は無い筈
だ。しかし、クレスには理由が判っていた。
彼の本気の怒りが殺気となってクレスに襲いかかったのだ。
矢の雨が降り注ぎ、クレスは叩き落とすのが精一杯だった。
「く、空間翔転移!!」
クレスが攻撃の合間を縫って、技を放った。空中へとクレスの体が浮かび上
がる。
「ちぃ!」
チェスターが空中のクレスめがけて矢をつがえた。そう。あの短い矢を…
「くらえぇっ!!」
しかし一瞬遅く、矢はクレスをすり抜けた。クレスが消えたのだ。
そしてクレスはチェスターの目の前に現れると弓を弾き飛ばした。
「落ち着けよ…」
「ワリィ…」
『ドサッ!』
何かが落下音と共に落ちてきた。二人はその何かを見て、「ブッ!」と吹き
出した。無理も無い。その何かが倒すべき宿敵、ダオスだったのだから…
彼の肩からは血が出ており、それによって赤黒くなった短い矢が刺さって
いた。二人はあたふたとする事しかできなかった。
「おのれぇ…キサマ…」
そこまで言い、顔を上げたダオスは「ポッ」という効果音と共に赤くなった。
「…ら…」
彼は一点を見つめている。
「…なぁ…あいつ、俺達の事見てるよなぁ…」
「…てか、チェスター。君だろ?」
「やっぱり?」
「やっぱり。」
「うわあああああ!恋するような目で俺を見るなー!!」
チェスターは逃げ出した。
「ム、待て!」
ダオスも低空飛行でチェスターを追う。
二人は茂みの中へと消えていった。
「!…すずちゃん!」
森の中で修行中のすずがいた。
「?…どうしたんですか?」
「ダ、ダオスが!」
「ダオス!?」
「ああ。奴が来るはずだからあっちへ行ったといってくれ。」
と左側を指差し、右側へと消えていった。
「…ダオスが来る?でもなんでチェスターさんが…」
「奴はどこだ!」
「ッ!ダオス?…チェスターさんの事か?チェスターさんならあっち(左側)
を指差してあっち(右側)へ行きました。」
「感謝する。」
「いえ。忍ですから…(何?)」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
後ろからダオスが迫ってくる。
「なんで?すーずちゃーん!!…あれは。おーい!おっさーん!!」
「な?チェスター?それに…ダオスだと!?」
「そういうわけだ!後は頼む!」
「な、何がそういうわけなんだ?おい!チェスター!」
しかしチェスターは森の奥へと消えてしまっていた。
「く…とにかく何とかしないと…来い!ダオス!!」
「邪魔だぁ!!!」
ダオスの手から溢れ出た光の奔流によりクラースが消し炭と化した。
ダオスレーザー…過去で何度全滅した事か…
クラースの頭の中を走馬灯の如く記憶が駆け巡った。
「アーチェ!!」
散歩中のアーチェを発見した。が…
「あ、チェスター。ビックバン!」
「ぎゃああああああああああ!!!!」
挨拶代わりのビックバンで吹っ飛ばされた。
「な、キサマ!!よくも!ダオスコレダー!!」
「な、なんであんたがー!!」
ダオスのダオスコレダーによりアーチェもまた遥か彼方へ吹っ飛ばされた。
「クレスぅ!助けてくれ!」
「チェスター!?無事(?)だったんだね!」
「き、来たー!!」
「え?」
チェスターが森の中へと消えると同時にダオスが現れた。
「キサマぁ…奴をどこに隠した…」
「チェスターならあっちに…」
「嘘を言うな…」
「いや、ホントに…」
「ええい!私の(恋路の)邪魔はさせんぞ!!」
「ぎゃああああああああ!!!」
ベルべーヌの汁を塗った矢は惚れ薬のようなものでした。
その後正気に戻ったダオスは何事も無かったかのように去っていきました。
…クレス、おっさん…ごめん。(アーチェとすずは?)
ちなみにクレスがくらった技は「ミリオンアサルト」って名前らしい。
そんなんあったか?
あとがき。
ごめんなさい①。チェスターの受難じゃないっす。クレスの受難っす。
ごめんなさい②。おっそくなりました。
ここまで読んでくださった皆さん拙い作品でしたが読んでくださりありがと
うございました。
では、また。 飯