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テイルズオブファンタジア【3】

その頃エルフの里へ戻ったアーチェは…
「ふぅ…やっと着いた…あたしの箒でも2時間…結構遠いんだなぁ…」
ここはエルフの里。以前はハーフエルフは立ち入り禁止で、もし立ち入ったのがバレたら死刑だった。
しかし、ダオスがいなくなった現在、世の中が安全になったためか、
そういった種族の壁は取り払われ、今ではハーフエルフの居住も自由になっていた。
「あっ、そうだ…お母さんに挨拶しておかないと…」
今はアーチェは母のルーチェ・クラインと2人暮らしである。
父バート・クラインはローンヴァレイの新しい守護者が見つかるまで別居中である。
「お母さーん、ただいまー!」
アーチェの叫びが家中に響き渡る。…そして2回からルーチェが降りてきた。
「お帰りなさい。でも…どうしたの…?こんなに早くに…
                       以前一緒に冒険した仲間達に会ってくるって…」
ルーチェは、はっとした。何かがあったのだろう、アーチェの顔を見ればすぐに分かった。
アーチェは黙ったままうつむいている、大きな声では言いたくないのでこの問には小さな声で答えた。
アーチェ「うん…さすがお母さんだなぁ…実はね…」
ゆっくりと話し始めるアーチェ…ルーチェはそれを黙って聞いていた。
「そう…そんな事があったの…それで…ここに戻ってきた理由は…?」
アーチェのあたまをそっと撫でてルーチェはアーチェに話しかけた。
ここに戻ってきた理由…それは簡単だった…しかし、答えようとすると胸が痛い…
「……魔法の…修行をするために…ここに戻ってきたの…」
ルーチェは1度頷くと、何かを思い出したかのように手をポンと叩いた。
「魔法の修行…それなら…リファネルさんに相談してみたらどうかしら…?
           それに…あなたに話があるみたいよ…?さっきあなたを訪ねて来てたから…」
リファネルとは族長ブラムバルドの息子である。
そんな人があたしに何の用だろ…そう思いつつもアーチェはリファネルの元へ行ってみることにした。
「うん、わかった。じゃあお母さん、ちょっと行ってくるね!」
アーチェはそう言うと、背中を母に見守られて家を後にした。

「…っと族長の家は…あっ、ここだ、ここだ。」
戸の前に立つと急に不安が頭をよぎる、かき消すように不意にアーチェは戸をノックした。

トントン…

木製のドアを叩くと出る軽い音が手を通して伝わってきた。
「はい。どなたですか?」言葉と同時にその戸は開く。
中からはエルフの里の族長、ブラムバルドが出てきた。
「やぁ…アーチェ君じゃないか…今日は一体どうしたんだい?」
族長の目の前だけあってアーチェは緊張している、流石のアーチェも戸惑うことはあるようだ。
「あ…あの…リファネルさんが…あたしを訪ねてきたらしいので…」
頭の中が白くなりつつも、何とか用件は伝えることが出来た。
魔法の修行のことに関しては直接リファネルに伝えようと思っていた。
「息子が…?ちょっと待っていてくれ。」
そういうとブラムバルドは2階へ上がり、息子のリファネルを連れて戻ってきた。
「やぁ、アーチェさん。わざわざ来てくれて申し訳なかったね、ちょっと話があったものだから…」
リファネルはアーチェに向かって深々と礼をした。
「あ…そんな…気にしないで…下さい…」
慣れない敬語を使っているので、アーチェは頭が少しムズ痒くなった。
「さて…私は少し用事があるので失礼するよ。ゆっくりしていきたまえ、アーチェ君。」
「ああ…言ってらっしゃい、父さん。」
「あ…ありがとうございます…行ってらっしゃいませ…」
アーチェも続いて答え、ブラムバルドは目の前のその戸をあけて外へ出て行った。
「さて…ここで立ち話でもなんですからどうぞ上がってください。」
アーチェは言われるままに行動し、奥の食卓テーブルの椅子に腰を掛けた。
「あの…それで…話って…何ですか?」
少し不安げな表情でアーチェは彼に尋ねた。同時に用意されていたお茶を口へ運ぶ。
リファネルは一瞬の沈黙の後、いきなりこう切り出した。
「僕と…結婚して欲しい。」
それを聞いた瞬間、アーチェはお茶を噴き出し、かなり咳き込んでいた。
冗談だろうと思いつつ彼の顔を見る…真面目な、一寸の狂いも無い顔つきをしていた。
しかし、まさかこんな台詞を言われるとは思ってもいなかった…
アーチェも何て言ったらよいのかわからなかった。
ただ目を開けて…じっとリファネルを見つめていた…そして、やっと言葉を思い浮かべ、今発する。
「は…はい…あたしでよければ…よろしくお願いします…!」
願っても無いこと…まさかエルフの族長の息子が自分に結婚を申し込んでくるなんて…
「ありがとう…その言葉が聞けて嬉しかったよ。」
リファネルはそっと肩を撫で下ろすと、再びじっとアーチェを見つめていた。
「あの…あたしも…聞きたい事があるんです…魔法の修行の事なんですけど…」
アーチェは事の経緯をリファネルに話した。
リファネルはアーチェの頬にそっと口付けをすると、大丈夫…と彼女の耳元で囁いた。
アーチェの顔が赤く染まる…言い表しようの無い恥ずかしさと嬉しさが彼女の中にこみ上げてくる。
家に帰ると、アーチェはすぐにこの話を母のルーチェに伝えた。
この話はすぐに里中に広がり、結婚式は3日後となったのである。

――――どうしてだろう…胸が痛い…そして苦しい…
        今まで感じたことのない…この感じ…あたしの中で…何が起こったの…?―――――


トーティス村は朝を向かえ徐々に日が差し込んできている。
寝ぼけ眼で階段を下りてきたクレスがテーブルの上に置いてあった1枚の紙に目を留めた。
「何だろう…この紙切れ…」
クレスは右手で紙をヒョイとつまむと、それに書いてある文字に目を走らせる。
次の瞬間クレスの表情は一変した。
「こ…これは…そんな…まさか…」
1枚の紙…それはチェスターからの置手紙だった。
それには…こう書いてある、
「アーチェが行っちまった原因はオレの怪我が原因だ、だから俺はあいつを責任持って連れ戻す。
おそらくエルフの里には3日ぐらいで着く筈だ。勝手なことを行って本当にすまないと思っている。
これはオレの最初で最後のわがままだ。何も言わずに行かせてくれ。       チェスター」
読み終えると、クレスの顔は青ざめた。焦りの表情も浮き出し始めている。
「た…大変だ…ミントにも伝えなきゃ…」
クレスは大急ぎで服を着替え、ミントの元を訪れた。
「ミント!大変だ…!チェスターが…」
事情を説明するクレス、それを聞いたミントは泣き出しそうになっていた。
「そ…そんな…チェスターさんが…まだ…傷も治ってませんのに…」
この一言にクレスはハッとする。(そうだ…あいつはまだ怪我を…)
2人の間に重い沈黙が流れる…しかし突然ミントが口を開く。
「……信じましょう…チェスターさんを…私たちには…それしかありません…」
「……そうだね……チェスター…あいつなら大丈夫さ…信じよう…」
2人の心はいつに無く激しく揺れ動いていた。…時間はいつもと変わらず…刻々と過ぎていった。


村を飛び出したチェスターは黙々とエルフの里を目指していた。
「ふう…大分歩いたな…そろそろベネツィアへ付いてもいい頃なんだが…」
ベネツィアとは唯一アルヴァニスタへ渡るための船が出ている市だ。
アーチェのいるエルフの里はアルヴァニスタから更に南に位置し、歩いて2日かかる距離だった。
「それにしても…2人に悪ィことしちまったな…」
(俺のわがままを聞いてもらったんだ…早くあいつを連れ戻さないとな…)
更に10分ほど歩くと、少し先にベネツィア市が顔を出した。
「お…やっと見えた…さっさと行こう…」

ベネツィア市へ到着したチェスター回りの建物の大きさに改めて圧巻させられていた。
「うっは~…やっぱここはでかいな~…」
回りのビルを見て立ち尽くすチェスター。しかし一息ついてる暇も無く、船の出航時間が迫っていた。
「や…やべぇ!船が出ちまう!急がねぇと乗り遅れちまう…」
全速力で走り、何とか船に乗れた…と安心したのか、チェスターは船室でぐっすり眠ってしまった。

そして…日が完全に沈み…ようやく船はアルヴァニスタへ辿り着いた。
「さて…今日はもう宿屋へ行って、明日朝早く出発するか…」
チェスターはすぐに宿屋にチェックインし、早速布団に入って目を閉じた。
しかし…なかなか寝付けない。船室で寝たから、というわけでもなかった。
体は疲れきっていたので、いくら寝ても寝すぎと言うこともなかった。
……チェスターはアーチェのことが気になっていたのだ。
本当に連れ戻すことが出来るのだろうか。もし、付いて来てくれなかったらどうしよう。
…悪い考えなら沢山あった。頭の中にそういう思いがいくらでも浮かんでくる。
チェスターは悪い考えは全て捨て、前向きに考えよう…そう決心した。
(頭が…痛ぇ…一体…俺の体に…何が…)
頭が痛い…汗もどんどん出る、額も焼けるように熱い…
ただ疲れているだけだろう…そう思って明日も早いことだし、今日は寝ることにした。
(ちくしょう…アーチェ…絶対連れ帰ってやるからな…)
そう自分に言い聞かせて、今度こそ布団を被ってようやく眠りに付いた。

この時チェスターの体にはある異変が起きていた。
…しかし、ここではそんなことに気付く筈も無かったのである。




~後書き~

3章が完成です。いや…自分は何をやっているのでしょう…
もう何か小説書くのが本業になっているような…っとそれもマズイですね。(小説書くのはやめませんが

最近は自分的に結構ハイペースで書いていると思います。(それでも遅いと言う方すいませんです

最後にですが1週間後に全国模試があるんで、それまでは多分書けません。
でも親の目を盗んでこっそり投稿するかもしれません(どっちだ

ほぼ99.9%書けないものだと思っていてください。
では、今回もこのような駄作を読んでいただき有難う御座いました。

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