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すず・OF・フューチャー【9】

                  すず・OF・フューチャー

ロウ「・・・・・今回のあらすじは、このロウ=レストールと、その(実の)妹ミリエル=レストールがする。」
ミリエル「よろしくねえ!あ!」
ロウ「ほらちゃんと足元見ないと危ないぞ。」
ミリエル「うん・・・・・ねえロウ兄ちゃん・・・・すずお姉ちゃんがどこか遠い所に行っちゃったって本当?」
ロウ「・・・・・・・ああ・・・・・・ミリエルが行った事ないくらい遠い所にね。」
ミリエル「そこにお父さんとお母さんもいるの?」
ロウ「!!・・・・・ああそうだよ、今ごろ父さん達が案内してると思うよ。」
ミリエル「ふ~ん・・・・そっか!ならすずお姉ちゃん寂しくないね!」
ロウ「ああ!きっと・・・ね・・・・・」
ミリエル「お父さんとお母さんが案内してるから、白い羽の付いたお馬さんも連れて来れなかったんだね。」
ロウ「そうだよ。・・・・・ちなみに羽じゃなくて翼だよミリエル。」
ミリエル「・・つ・・・つわ・・・・・つわさ?」
ロウ「つ・ば・さだよミリエル。」
ミリエル「つ・・つばさ!翼の付いたお馬さん!」
ロウ「うん、そうだよ・・・・(願わくば・・・この幸せがずっと続いて欲しい・・・・)」

                 第九章 決断・NO・フォルス

ユニコーンの一件の後、みんなは葬式の準備に追われていた。
だが、すずが死んでから数時間、時間は夜の12時を回っていた。
作業は明日行なう事になった。
ミントの部屋
ミントは、すずが死んだ事を伝える手紙を書きながら、机で寝ている。
そこへ静かに戸を開けて誰かが入ってきた・・・・・フォルスだ。
そしてフォルスはミントが寝ている事を確認し、毛布をかけた。
フォルスはその中の一枚の手紙を開き、何かを書いて、元に戻した。

その日の朝
フォルス「何をしている!その机は向こうだ!!レオ!暇なら父さんを手伝って来い!!」
レオ「は、はい!」
ルミナ「・・・・・・フォルス・・落ち込んでは・・・いない・・よね・・・」
ミレア「そうね・・・・でも・・・・怖い・・わよね・・・いつものフォルスじゃないくらいに・・・・・」
ミアン「はい・・・・いつものフォルスさんらしくないです・・・・・」
フォルスは昨日とは違い、テキパキと指示を出している・・・・顔を鬼のようにして・・・・
ルミナ「でもなんで・・・フォルス・・・あんなに・・・・・」
アーチェ「いいのよ・・・・フォルスは。」
ルミナ「え!?よくないですよ!こっちはほとんど動きっぱなしで・・・・」
アーチェ「あいつはね・・・・体動かして紛らわせてんだよ・・・・ずっと・・・」
ミレア「え?・・・・どういう事?母さん。」
アーチェ「・・・・・・今のフォルスは・・・ミラルドさんが亡くなった時のクラースにそっくりだよ・・・・」
ミアン「あ・・・・それってアーチェさん達と一緒に旅をしたっていう・・・・・」
アーチェ「・・・うん・・・・・・」

約80年前・・・・
クラース「なにをしている!机はそこ!椅子はここ!アーチェ!だらけてないでお前も動け!!」
アーチェ「なによ!いたいけな少女をこんな重労働させて!」
クラース「なにが重労働だ!空を飛んで天井を磨くだけだろ!」
アーチェ「箒を飛ばすのけっこう難しいんだから!だからあたしに饅頭を作らせろって・・・」
クラース「お前は自分の作った食べ物味見してから言え!!」
アーチェ「う!・・・・わ、わかったわよ・・・・すればいいんでしょ!す・れ・ば!!」

アーチェ「あの時と同じ・・・・顔は怒ってるけど・・・目は・・・目だけは悲しんでる・・・・」
アーチェに言われてフォルスの目を見た。
フォルスはあいかわらず忙しく指示を出していたが、一息ついた時、フォルスはいままでと違う悲しげな顔をみせた。
ミアン「あ・・・・・・」
アーチェ「わかった?・・・・フォルスは辛いんだよ・・・・あたし達が思ってる以上に・・・・・・」
ルミナ「わかったよ・・・・・今はフォルスの思うとおりにやらせてあげよう・・・・。」
ミレア「ええ・・・・そうね・・・・」
アーチェ「・・・・・・♪・・そういえば・・・・ルミナ・・あんたオスロンとキスしたんだって?」
ルミナ「え!?それは・・・その・・あれは・・・・何て言うか・・・・・その・・・」
ミレア「あ!それあたしも気になる!・・・・・で?・・・実際どうなの?」
ルミナ「じ、実際って・・・・別にあれは・・・・・・」
アーチェ「あれはぁ?・・・・なに?やっぱ他の星の人間とだとキスした時なんか違った?」
ルミナ「!そんなのわかるわけないでしょ!あれが始め・・・・・・・」
ミレア「え?ルミナって・・・・もしかして彼(オスロン)が初めて・・・・なの?」
アーチェ「うっそだぁ!今時そんな子がいるわけ・・・・・ほんと?」
ルミナは恥ずかしそうに目をそらしながら、頷いた。
アーチェ「えええ!!!そ、それほんと!?」
ミレア「おっどろいた!・・・・・今時そんな子そうはいないわよ、ねえ?ミアン。」
ミアン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ミレア「・・・・・・・・え?・・・・もしかして・・・ミアンも・・・・・」
アーチェ「ミレア!今はそれよりルミナ!」
ミレア「あ!そうだった!・・・・・・で?・・・・なにが<別にあれは>なの?」
ミアン「・・・・・・・・・・(ホッ)」
ルミナ「そ、それは・・・・その・・・・あれは・・・・・事故・・・・だから・・・・・」
実は二人がもう少しでミゲールに着くって所で、事故は起きた。
転んだルミナを抱きかかえて止めたオスロンも転び、そのせいでキスしてしまった。
アーチェ「へ~そんな事が・・・・・でもぉ、結局はぁ・・・キスしたんだぁ・・・・。」
ルミナ「そ、それは・・・・・・」
ルミナが答えに迷っていると・・・・・
フォルス「ルミナ!ミアン!母さんに婆ちゃんも!!何さぼってんの!!?」
ミレア「あ!・・・・・・フォルス!」
フォルス「ルミナ!お前は葬式に使うもの出してないだろ!!」
ルミナ「あ・・・・そうだったね!うん!」
フォルス「母さんに婆ちゃんは白黒の幕を付けてないだろ!!」
ミレア「は、話に夢中で忘れてた・・・・」
アーチェ「あちゃ~しまった・・・・」
フォルス「ミアンは葬式の服を作るんだろ!」
ミアン「あ・・・・ごめんなさい・・・・」
フォルス「みんなこんな所でさぼってないで!ちゃんと言われた事しろ!!!」
アーチェ・ミレア・ルミナ・ミアン「は、はい!」
4人はフォルスに怒られて、それぞれの所に走っていった、それぞれの思惑の中。
ルミナ(フォルス!助かった!今は感謝してるよ!)
アーチェ・ミレア(フォルス!余計な所で!)
ミアン(・・・・・・・・・・・フォルスさん・・・・)
そして瞬く間に時が過ぎていき、次の日の昼

????「すみません・・・・クレスさんはいますか?」
そこにはクレス達と同じくらいの年齢の老人が二人、それにその子供と思われる夫婦に、その子供と思われる子もいた。
ミアン「あ、クレスさんなら今・・・」
????「あなたは・・・ひょっとしてルミナさんか?」
ミアン「え?・・・・・私はミアン・・ミアン=メラトーラです・・・・あ!ルミナさん!」
ルミナ「ん?何か用ミアン。」
ミアン「いえ・・・・・この人が・・・・・呼んで・・・・」
ルミナ「え?・・・・・・・・えっと・・・・・・・・どちら様でしたっけ?」
アーチェ「あれ?・・なにやってんの二人とも・・・・・あー!・・・・・・・えっと・・・グ・・グ・・・・グレイブ!」
????「あ、あのですねえ・・・・グレイブって・・・・私は呪文ですか?・・・・グレンスですよ、グレンス。」
アーチェ「・・・・・・ああ!ええと・・・・・クラースの、息子の孫の息子・・・・・あれ?」
グレンス「・・・・・・ひ孫ですよ・・・・<ガルバースの襲撃>事件でいっしょにいたでしょう。」
グレンス・F・レスター・・・・・クラースを曽祖父に持つ。
アセリア暦4306年に起きた、バルーセルの襲撃事件でクレス達と戦った。(か?)
当時の年齢は24、今は77歳。(詳しくは懐かしき仲間とともにを見てね。)
グレンス「・・・・・藤林すずさんの事は・・・・心中お察しします。」
ルミナ「・・・・・・・・・・・・・」
グレンス「・・・・・それで・・・・これを使うのですね・・・・・ランス。」
ランス「はい・・・・・・これを・・・・・」
グレンスがランスに出させたのは、剣の形に巻かれた白い布だった。
ランスは、白い布を取ると、その中から、一本の剣が出てきた、淡い青色の刀身がなんとも美しい剣だ。
アーチェ「ん・・・・・・!こ、これってヴォーパルソード!?」
かつて、クレスが使っていたエターナルソードの材料の内の一つだ。
この剣は、過去に戻ったクラースが持っていった剣だ。
クラースは自分がヴォーパルソードを持ち、アーチェに他の材料の、ダイヤモンドの指輪を渡した。
残るフランヴェルジュは、クレスの先祖に渡し、安易に悪用されない様にした。
アーチェ「なんで!・・・・・・これはクラースが封印したはずじゃ!」
フォルス「・・・・・・待っていました・・・・・・グレンスさん。」
家からクレス達と共に現れたフォルスが言った。
フォルス「これで・・・・・材料は揃った。」
ルミナ「え?・・・・・え?!何言ってんのフォルス!!」
フォルスはヴォーパルソードをランスから受け取り、鞘からフランヴェルジュを抜いた。
クレス「それは!何をやってるんだフォルス!フランヴェルジュは持ち出し禁止のはずだ!!」
クレスの問いに、フォルスは何も言わず、ルミナのほうを向いた。
フォルス「・・・・・・・ルミナ・・・ペンダントにしているダイヤモンドの指輪を渡してくれ。」
ルミナ「え・・・・・?」
フォルス「ダメって言うんなら・・・・・力ずくでも貰うよ。」
レグミス「フォルス!何を言っているんだ!」
ミレア「そうよ!あんた双子の妹に何てこと言うの!?」
フォルス「・・・・・・そうか・・・・・・イラプション。」
フォルスが唱えたイラプションによって大地からマグマが噴き出し、その衝撃で、熱せられた岩が振ってくる!
チェスター「うわっ!」
ミント「きゃ!」
ロウ「くっ!」
オスロン「はあ!・・・・やめろ!フォルス!」
ミレア「くっ!・・・・・・・・アイストーネード!」
ミレアの起こした氷の竜巻きを発生させる、アイストーネードで、全ての岩は周りに落ちた。
フォルス「言ったはずだ・・・・・力ずくでも貰うって!」
気合と共にフォルスが振った剣は、ルミナの体を傷つけることなく、指輪を通してあるチェーンだけを切った。
フォルス「・・・・・これで・・・・・これでエターナルソードが出来る・・・・これで・・・過去に戻ってすずを助けられる・・・・」
アーチェ「フォルス・・・・・・あんた・・・・・すずちゃんを助けるため・・・・・・・」
クレス「・・・・・・フォルス・・・時間転移はそう都合がよくなる事だけじゃない、やめるんだ。」
フォルス「・・・・それは出来ない・・・・俺はすずを守ると約束した・・・・・・だから絶対に行く!!」
クレス「やめるんだ!」
フォルス「いやだ!例えここで父さん達を倒しても行くんだ!!」
フォルスに、本気の気迫を感じ、しばらくの沈黙の時間が流れ、クレスが口を開いた。
クレス「・・・・・・・・・これは・・・僕達がダオスを倒して、現代に戻った時の話だ・・・」

約50年前
クラース『では、私達も元の時代に戻ろう。』
クラースが剣を構え、なにやら呪文の詠唱を始めた時。
クレス『待ってください!』
クラース『え?なんだ?クレス。』
クレス『・・・・・・僕は・・いや僕達はどうしてもやりたい事があるんです。』
チェスター『ああ・・・・・今より少し前に起きた・・・・マルスの野郎を止めたいんだ!』
クラース『そ、それはつまり・・・・この村を壊滅させないようにするのか!?』
クレス『・・・・はい・・・・・もちろんミントのお母さん・・・・メリルさんも助けるつもりです。』
ミント『!・・・・・クレスさん。』
クラース『そうか・・・・そう言うことならいいと思う・・・うん?どうしたアーチェ・・・・・さっきから黙って。』
アーチェ『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
チェスター『お前なんて顔してんだよ、だいじょうぶだ、ちゃんと帰ってきてクラースさんに剣を・・・』
アーチェ『馬鹿ぁ!!』
アーチェはいきなりチェスターの頬を殴った!?
チェスター『な!痛ってぇな!なにすん・・・・・だよ・・・』
アーチェは涙を流していた・・・その顔は明らかに怒りと悲しみでいっぱいの顔だ。
アーチェ『みんな忘れたの!?歴史が変わるってどういう事か!』
チェスター『・・・わかってるよ・・・だから・・・』
アーチェ『わかってない!もしここで村が襲われなかったら!あたし達出会わなかったんだよ!!』
クレス・ミント・チェスター・クラース『!!!』
アーチェ『・・・・歴史が変わったら・・・あたし達・・・お互いを忘れちゃうんだよ・・きっと・・・・・それって・・・・・なんか悲しいよ・・・・』
クレスとミントはお互いを同時に見た。
もし、トーティス村が襲われなかったら・・・・クレスは・・・・ミントと出会わなかった。
いやそれだけじゃない、モリスンとも、クラースとも、アーチェともすずとも、他にもたくさんの人々にも会えなかった筈だ・・・・・
チェスターも気付いた、ここで時間転移をすれば、ほぼ、いや絶対と言っていいほど妹、アミィを助ける事が出来る。
だがそれと引き換えに・・・・・かけがえのない大切な者を失ってしまう事を。
クレス『・・・・・・チェスター・・・』
チェスター『・・・・・・・・・・・・・・・・・』
アーチェ『それでいいなら時間転移でも何でもしちゃえば!・・・・そんな薄情な奴なら綺麗さっぱり忘れた方がいいのよ!』
クラース『お、おいアーチェ・・・・』
そう言ったアーチェだったが、いやだった・・・・・今まで旅をしてきた仲間を忘れる事を、チェスターを忘れる事を・・・・・
クラースもアーチェの気持ちを察してか、怒ろうとせず、ただ成り行きを見守っている。
チェスター『・・・・・・・・そうか・・・俺も大人にならないとな・・・・』
クレス『チェスター・・・・それじゃあ・・・・』
チェスター『クレス悪ぃな・・・・・俺には出来ねえよ・・・・』
クレス『そうか・・・・・わかったよ・・・・・・きっとアミィちゃんもそう思ってるよ。』
クレスは時空の剣をクラースに渡し、クラース達は過去へと戻っていった。

フォルス「・・・・・だがその話のようにすずを助けて、失うものは何もない。」
クレスのいう事もわかるが、フォルスのいう事も、もっともだ。
クレス達の場合、家族を助ける代わりに、大切な、仲間の記憶を失う。
だがフォルスにはすずを救う事によって、デメリットは一切発生しないはずだ。
クレス「・・・・ふう・・・・・・・どちらにしてももう遅い・・・・・エターナルソードは作れないから。」
フォルス「何を言ってんの!?作れないって・・現にじいちゃんたちはすでに・・・」
クレス「エターナルソードは精霊オリジンの力をかなり使う・・・・だから精霊オリジンを召喚させないと出来ない・・もう・・・・クラースさんはいないから・・・・・・・・・」
フォルス「そこに伝説の召喚師クラースの子孫がいるでしょう!この人たちなら!」
グレンス「・・・・だめなんだ・・・・・・私の曽祖父クラースから、召喚師の力は受け継がれなかった・・・・・」
フォルス「・・・・・そ・・・・そんな・・・・なら俺は・・・・何のために・・・」
クレス「・・・・・・・明日は・・・・・・・・葬・・・式・・・だから・・・・・・・フォルスは・・・ゆっくり休みなさい。」
ルミナ「・・・・・・・・・・・・・・・フォルス・・・・・」
そして翌日・・・・すずの葬儀が開始された。

次回 第十章 旅立ち・NO・ユウシャタチに続く。









どうも、作者の緋色の龍です。
前回、フォルス・NO・決断とサブタイトル書きましたが、
決断・NO・フォルスの間違いでした、すみません。
なかなか生き返れない中、次回はついにすずの葬式が開始されます。
今ごろすずは何をしているのか・・・・まさに神のみぞ知るって感じですね。
そしてバルーセル打倒の為に旅立ちます。
では今日はこの辺で・・・・・では、また。

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