すず・OF・フューチャー【25】
すず・OF・フューチャー
ゼロ「どうも、主人公のゼロ=ストーム、17歳です・・・今回は最後と言う事で、オールスターでフルネームと年齢とあらすじを説明します。」
すず「藤林すず、16歳です・・・ダオスとの戦いから、5年後・・・騙されたオスロンさんが、伊賀栗の里を襲撃してきました。」
ルミナ「ルミナ=アルベイン17歳!今すっごくラヴラヴです!バルーセルの策略で、私とオスロン、ゼロとすずは別々にミゲールに着いたの。」
オスロン「オスロン=レイオルニー・・・年は20だ・・・そしてすずは、殺された振りをし、バルーセルは反逆者となった。」
クレス「クレス=アルベイン、今は72歳だ・・・我々はバルーセルを倒す為、空中に城を構え、強力な魔物が守っていた。」
ミント「ミント=アルベイン、現在は73です、私達より先に、フォルスは記憶喪失の少女ベルと合流して、二人で進んで行きました。」
チェスター「チェスター=バークライト、歳は72だ・・・フォルスより少し遅れて、我々はバルーセル城に突入した。」
レオ「レオ=サリーランド、15歳、道に迷ったゼロさんより、オスロンさん達が先に到着して、戦闘に入った。」
ミアン「ミアン=メラトーラ15歳!ピンチの時に、オスロンさんが異世界の英雄を呼び、ゼロさんとすずさんが戦いに合流しました。」
イグミス「イグミス=アルベイン、年齢は52歳だ・・・さらに、レオとミアンとアルヴァニスタ王が現れ、自分はあのマルスの子供で、ミアンは娘だと言う。」
ミレア「ミレア=アルベイン、旧姓バークライト、イグミスと同い年、バルーセルが裏切った訳は、婚約者を守れなかったのは、人間のせいだと思っていたの。」
アーチェ「アーチェ=バークライト、前はクラインって名字、年齢は・・・永遠の18歳!戦いの中、ベルの正体はすずちゃんだって事がわかったの。」
ロウ「ロウ=レストール15歳だ、オスロンさんは時の大晶霊ゼクンドゥスを召喚し、さらにユグドラシルの化身のマーテル様も現れた。」
エミリオ「エミリオ=カトレット、デスティニーの代表だ、年齢は16、ゼロ、すず、ルミナ、オスロンはマーテルに過去を見せられ、自分達の過去の関係を知った。」
バルーセル「バルーセル=ゾルン、年齢は55です、オスロンはゼクンドゥスの力を借りる事に成功し、ゼロはエターナルソードを手にする。」
ミシー「ミシー=ストーム!ルミナは私の本名!元の空間に戻り、バルーセルはクロック・カオスっていう奴に操られてる事がわかったの。」
ベル「ベルです、すずが私の本名・・・私達はクロック・カオスを撃退し、ゼロさんとオスロンさんが追ってトドメを刺しました。」
フォルス「フォルス=アルベイン、ゼロは偽名です・・・ようやく、ハッピーエンドとなりそうな時、すずが倒れたんだ・・・・」
作者「ハンドルネーム緋色の龍!年齢は・・・って、あらすじ、もう終わり!?最後くらいは締めをと思ったのに・・・」
最終章 すず・OF・フューチャー
ミント「フォルス!すずさんをそこに寝かせて!ルミナ、手伝って!」
ルミナ「わかった!」
ゼロ(・・・・すず・・・・・・・・)
今も荒い呼吸をし続けながら倒れたすずを、ゼロはゆっくりと地面に寝かせた。
ミントとルミナは、先程手で抑えていた左脇腹の周りの服をを切って、調べた。
ミント「裂傷痕がありますけど・・・治りかけています・・・」
ルミナ「待って、ここから邪術的な力を感じる・・・・・それも、とてつもない位の強い力が!」
ルミナが指差した場所、すなわち左脇腹の傷の所だ。
傷自体は浅く、おまけに治りかけているが、邪術的な力、呪いによってすずは苦しんでいる。
ルミナ「すずちゃん、この傷はどこで・・・」
すず「はあ・・・はあ・・・くうぅッ!!」
すずは苦しみの為か、返事をする事さえ出来ない!
忍者であるすずは、痛みにも弱音を吐かない様に訓練されている・・・
そのすずでさえ、このような状態ならば、それは、凄まじいほどの苦しみなのだろう・・・
バルーセル「・・・・・う・・・うう・・・・・」
クロック・カオスが抜け出た際に気絶した、バルーセルが気付いた様だ。
アルヴァニスタ王「バルーセル・・・・大丈夫なのか・・・・」
バルーセル「・・・・・すまない・・・イルト・・・このような事をして・・・・操られていたとはいえ、誘惑に負けたのは私の責任だ・・・・・」
アルヴァニスタ王「いや、いい・・・・それよりも、彼女の状態を診てやってくれ。」
どうやらバルーセルは、本当の自分を取り戻せたようだ。
今まで戦ってきた相手だけに、ある程度の警戒はしながら、ゼロ達はすずの状態を見せた。
バルーセル「・・・・・・・・・・・・・・・・これは、あの時の壷毒!」
アーチェ「壷毒って、すずちゃんをミゲールですずちゃんを襲った時の・・・」
ゼロ「ミゲールを襲った時の魔物の剣に塗ってあった毒か!?」
壷毒・・・こどくと読む、それは、あらゆる種類の毒虫を一つの壷に入れ、互いに殺させ合い、最後に残った虫の毒を使う毒のことだ。
だが、生き残った虫には殺された虫の怨念まで取り付き、呪いの力をも加わり、とてつもなく強力な毒となるのだ。
バルーセル「この症状・・・・間違いない・・・・あの時から八日経っている・・・一週間もてばいいほどの毒でよくここまで耐えたものだ・・・・」
忍者は、古来より毒を操る事にも長けており、ある程度の耐性も持っているだろう・・・
だが、これほど強力な毒だ・・・五日もすれば激痛で動けなくなるはずである・・・
それを考えれば、痛みに対するすずの精神力は、並大抵のものではない。
ゼロ「そんな事より!薬は!?壷毒を治す薬はどこにあるんだ!!?」
バルーセル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ゼロ「!?何とか言ってくれよ!!薬はどこに・・・!!」
バルーセル「・・・・・・壷毒の・・・・・特効薬は・・・・・・・・・ない・・・・」
ゼロ「!!?そんな嘘をつくな!!まだ、クロック・カオスが残って・・・」
バルーセル「・・・・・・すまない・・・・壷毒の毒が・・・体内に入ったら・・・・・もう・・・・」
バルーセルの言葉は、まるで死刑を宣告された囚人のような衝撃を、ゼロに与えた・・・
ゼロ「・・・・・・・・そうだ!アーチェ婆ちゃん!アーチェ婆ちゃんなら色んな本を読んでるから、万病に効く薬草とかどこにあるか知ってるよな!」
アーチェ「・・・・・・・・・・・・・フォルス・・・・・ごめん・・・・現実に・・・・どんな病も治せるなんて・・・・・・都合のいい物は・・・・・ないんだよ・・・・」
ゼロ「法術は!!?アンチドート!いや、リカバーなら!!」
ルミナ「・・・・さっきからかけてる・・・・・でも・・・・・ここまで・・・強力な毒じゃ・・・・」
ゼロ「嘘だ・・・・嘘だ!嘘だ!!嘘だッ!!!ここまで来てこんな結末なんてッ!!俺は絶対に認めないッ!!!!」
ゼロは自分の無力さを嘆き、何度も・・・何度も、何度も地面に拳を打ちつけた。
そして・・・・そのあまりにも哀れな姿に・・・誰も言葉をかける事は出来かった・・・
アーチェ(フォルス・・・・薬も少なければ効かないし、多ければ副作用がでる・・・・例え・・・なにを飲ませても壷毒のみを殺す事は・・・・・ん?)
アーチェは何かを気付いた様に、深く考え込んだ。
ルミナ「・・・・・・・・・ゼロ・・・・・これ以上・・・自分を傷つけるのは、止めて・・・」
ゼロ「!!ルミナに何がわかるッ!!!!」
ルミナ「!!!!!」
双子の妹にさえ、今にも殴りかからんばかりの勢いのゼロには・・・今はそっとしておくしかないだろう・・・・
アーチェ「・・・・・・・・・・・・!・・・・あれなら・・・・助けられるかも・・・・」
ゼロ「!!!?すずを治せるのか!婆ちゃん!!」
ゼロは涙でぐしゃぐしゃになった顔を袖で拭き、アーチェに詰め寄った。
アーチェ「・・・・危険な賭けだけど・・・・・アウローテの花の蜜を使えば・・・」
全員「アウローテの花の蜜!!?」
チェスター「正気か!アーチェ!?」
ミレア「あれをすずちゃんに飲ませる気なの!!?」
アウローテの花・・・別名、ヘルローズとも呼ばれる猛毒を持った花だ・・・
この花の密は、一本の花から取れるだけで、大人、数百人を簡単に殺すほどの力を持っている。
アーチェ「今、すずちゃんの体は、壷毒に負けそう・・・だから、それよりも強い毒なら・・・」
ルミナ「そんな事したら、今度はそっちの毒ですずちゃんが死んじゃうよ!!」
アーチェ「だから、危険な賭けって言ったでしょ!・・・お互いの毒の強さが同じくらいになるようにすれば・・・」
確かに・・・理論上、まったく同じ力で相殺し合ってくれればすずは助かる・・・その違いがすずの体が耐えられる程度でも大丈夫・・・・・だが・・・
ルミナ「・・・・・それで・・・どれだけの量で同じ強さになるの?」
アーチェ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかんない・・・」
ミレア「ちょ、母さん本気!!?」
アーチェ「こればっかりはわかんないよ!壷毒の強さはまちまちだから、勘に頼るしかないのよ!」
これは、あまりにも分の悪い賭けだ・・・成功の確率は限りなく低い・・・・
ゼロ「でも・・・・うまくいけば・・・・・すずは助かるんだな・・・・。」
アーチェ「・・・・・・可能性は・・・ある。」
ゼロ「・・・・・・・・アウローテの花は・・・・どこにある。」
オスロン「ゼロ!お前は試すのか!?」
ゼロ「ああ・・・・確率は極めて低い・・・・でも・・・このまま待ってても死を待つだけだ・・・なら、例え1%でもやるしかない!!」
ゼロは覚悟を決めた・・・最後の賭けをする覚悟を!
アーチェ「・・・・・アウローテの花は・・・・・瘴気の毒素を吸って育つ花・・・モーリア坑道なら・・・」
ゼロ「モーリア坑道!?」
モーリア坑道は、ここからそう遠くはないが、道は迷路のように入り組んでいて地下数十階まであり、そこから戻ってくるまですずの体が持つかどうか・・・
ゼロ「いや、考えてる時間も惜しい!行くぞ!!」
アーチェ「フォルス!あたしのホウキに乗って行って!」
ゼロ「わかった!!」
ゼロは、アーチェのホウキにまたがり、壁を壊して飛んで行った!
ルミナ「・・・・・よし、私とミント婆ちゃんで、タイムストップをかけて、すずちゃんの時を少しでも稼ごう!」
ルミナは、すずの時間を止め、毒の進行を止めるつもりだ!
オスロン「それならば、ゼクンドゥスの力も合わせれば、より長く持つ。」
アーチェ「あたしとミレアとイグミスは、魔力をルミナとオスロンに注いで、力を分け与えるね。」
クレス「我々に出来るのは祈る事のみ・・・か・・・」
チェスター「・・・すずは、これから楽しい事、嬉しい事を経験しなくてはならない・・・だから!」
バルーセル「・・・・・・・・頑張るんだ・・・」
レオ「頑張ってくれ!!」
ミアン「・・・・・・頑張って!」
ゼロ「くっ!どこだ!どこにある!!」
ゼロは、ありったけの魔力を使い、モーリア坑道を進んでいった!
ゼロ「このままでは・・・・すずが・・・・すずが!!邪魔だ!どけッ!!」
行く手を遮るモンスターを斬りながら、ゼロは進んで行く!!
ゼロ「瘴気・・・瘴気はどこに・・・・・・あれは!」
モーリア坑道を迷いながらも、ゼロはようやく、瘴気のでている所を見つけた!
ゼロ「くっ!なんて瘴気だ・・・・だが、すずの苦しみはこんなものじゃないはずだ!!」
ゼロは有害な瘴気を吸い込みつつも、辺りをくまなく探し、遂にアウローテの花を見つけた!
ゼロ「よし、これで後は帰るだけ・・・・な!」
安心したのも束の間、突然、洞窟全体が揺れだし、岩が落ちてきて、道が塞がれた!
ゼロ「なんで、こんな時に!ゴホッゴホッ・・・時の剣よ!我に力をッ!!!」
エターナルソードの力で、ゼロは道を塞いだ岩を破壊した!
ゼロ「はあ・・・はあ・・・!もうこんな時間か!このままじゃ、間に合わない!!」
ゼロは、急いで出口の元へと急いだ!
ゼロ「はあ・・・はあ・・・くそ・・・・もう・・・・魔力が・・・」
激戦に次ぐ激戦を果たし、ゼロはもう魔力も気力も底をついている。
それでも、すずを助けるため、重い足を一歩、また一歩と踏み出して行く。
エターナルソード『・・・・・あの少女を・・・助けたいか・・・?』
今まで黙っていた、エターナルソードがゼロに話し掛けてきた!
ゼロ「・・・・そんなの・・・はあ・・・はあ・・・決まってるじゃないか・・・・!」
エターナルソード『・・・・・・・・・時の力で、一時的に数倍の力を発揮する事が出来る・・・』
ゼロ「ほ、本当か・・・・・」
エターナルソード『だが・・・・今の状態で使えば・・・お前の体がどうなるかわからない・・・・それでも・・・・・・使うか?』
ゼロ「はあ・・・はあ・・・すずの・・・はあ・・・所にいけるならッ!!」
ゼロは、疲れながらもエターナルソードの質問を即決した。
エターナルソード『・・・・・・・了解・・・』
そして、エターナルソードからゼロに力が注ぎ込まれた!
ゼロ「!体が軽くなった・・・魔力も使える!・・・・いくぞ!すずッ!!」
ゼロはものすごいスピードでモーリア坑道を抜け、すずの居る場所へと飛んで行った!
ルミナ「はあ・・・はあ・・・・タイムストップ!!」
すでにミントは限界にきているので、ゼクンドゥスに魔力を注いでいる、オスロンと交代で、すずの時を止めていた。
ルミナ「くっ・・・・・やっぱり、すごい勢いで魔力を吸い上げられる・・・・長くは持たない・・・」
オスロン「はあ・・・はあ・・・ル・・・ルミナさん・・・今・・・はあ・・・はあ・・・変わります・・・・」
すでに、アーチェとミレアの魔力も底をつき、イグミスもチャージが使えなくなった・・・オスロンとルミナの魔力も残り僅かである。
ルミナ「無理だよ、オスロン・・・・オスロンもう・・・魔力残ってないじゃん・・・・く!」
オスロン「・・・・・・いえ・・・私が・・・時を止めます・・・・ルミナさんの魔力・・・私に下さい。」
ルミナ「・・・・・ゴメン・・・・」
ルミナに変わり、オスロンが時を止め、ルミナ残ってる魔力全てをオスロンに注いだ。
オスロン「・・・・・・・・・ゼロ・・・速く来てくれ・・・!」
もはや、時を完全に止めておく事は出来ず、オスロンも力尽きてしまった。
ゼクンドゥス「・・・・・・・・!・・・私を実体化させることも・・・無理か・・・」
ぜくんづどぅスは、オスロンからの魔力の供給を失い、消えた・・・
オスロン「はあ・・・はあ・・・はあ・・・・これ以上は・・・・・無理・・・か・・・・」
話すことさえ困難なほどに、疲れているのだ・・・
ルミナ「ご、ごめん・・・・・すずちゃん!・・・・フォルス!」
その時、弾丸の如き速さで、ゼロが、部屋に飛び込んできた!
ゼロ「アウローテの花!持ってきたぞ!!」
アーチェ「オ、オッケ~~・・・・・・それじゃ・・・そこに・・・置いてある容器に・・・花の蜜を入れて・・・飲ませてあげて・・・」
アーチェの言葉に、ゼロはおもわず、聞き返した。
ゼロ「の、飲ませるって・・・・量はどれくらい・・・」
アーチェ「すずちゃんの事・・・・一番わかってんのは・・・・あんたでしょ・・・・・だから、任せる・・・」
ゼロ「だからって・・・」
ゼロは、アーチェが分量を量って飲ませると思っていたので、戸惑いを隠せない。
アーチェ「・・・お願い・・・・これは・・・・あんたにしか、できない事だから・・・・」
ゼロ「・・・・・・・・・・・・・・・!」
ゼロは素早く、かつ慎重にすずの様子を確めながら量を調節した。
ゼロ「頼む・・・合っててくれ!すず!」
ゼロは急いですずの元へと駆け寄り、花の蜜をすずの口に近づけた。
みんなはその様子をかたずを飲んで見守る・・・
ゼロ「すず・・・これを飲んでくれ、そうすれば、治るんだ!さあ・・・」
すず「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ゼロ「すず?・・・・・!すず!飲むんだ!すずぅッ!」
すでにすずの呼吸は弱く、唇を動かそうとしない!
無理に流し込もうとしても、花の蜜はすずの頬を伝って、流れた・・・
ゼロ「ここまできて・・・・・諦めるか!!」
なんと、ゼロはアウローテの蜜を自分の口の中に流し込んだ!?
全員「ゼロ(フォルス)ッ(さん)!!」
ゼロは、すずにキスをし、口移しですずに飲ませた!
ゼロ「・・・・・・・・すず・・・・・」
すず「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
すずはどうなったのか・・・足りなかったのか・・・多かったのか・・・それともすでに・・・・・
すず「・・・・・・・・・・・・・・・う・・・・」
すずの唇が僅かに動いた!!
そしてすずは、ゆっくりと目を開けた!!
すず「・・・・・私・・・は・・・生きて・・?」
ゼロ「すず・・・・・・・」
すず「!私、生きて!・・・・るんですか・・・?!」
ゼロ「ああ・・・・」
すず「ゼロさん・・・・!」
すずはゼロに抱きついた・・・・自分を蝕んでいたものが消えた喜びと、今ゼロと共に生きてられる事を・・・
すず「ゼロさん・・・・私・・・・ゼロさんといると嬉しいです・・・」
ゼロ「・・・・・・・・・・・」
すず「それに・・・ゼロさんと一緒にいると・・・いつもドキドキしてて・・・・恥ずかしくて・・・・隣にいないと不安になります・・・」
ルミナ「・・・・・すずちゃん・・・」
すず「それで・・・・顔が熱くなって・・・・頭の中が真っ白になって・・・冷静にって・・・自分にいっても・・・・できないんです・・・」
オスロン「・・・・すず・・・・・」
すず「もし・・・もし、その事が・・・・好きって事・・・・なら・・・・・・私は・・・私は・・・!」
そして・・すずは体を震わせながら、自分が伝えたい言葉を言った・・・
すず「ゼロさんが好きです・・・・・・大好きです!」
ゼロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
すず「ゼロさん?・・・・・ゼロさん!」
ゼロは止まっていた・・・目も・・・口も・・・・・心臓・・・・も・・・・
ルミナ「嘘でしょ・・・・そんな・・・・」
オスロン「くっ!・・・・こうなる事は・・・わかっていただろうに・・・!」
ミレア「フォルスぅ・・・!!」
イグミス「・・・・・・・・・・・・・・・・」
すず「ゼロさん・・・・好きです・・・・大好きです・・・・・だから・・・・目を・・・開けてください・・・!」
すずは涙を流した・・・ダオスとの戦いの後も、みんなの前では決して泣かなかった・・・
自分の父と母を手にかけても・・・泣くわけにはいかなかった・・・
泣けない忍者・・・だが・・・今は・・・一人の女の子である、今は・・・こらえる事が・・・出来なかった・・・
すず「ゼロさぁぁぁぁんッ!!!!」
エピローグ
あの戦いから一週間が経ち・・・私はミゲールにいました・・・
自分でも抑えられない激情で・・・真っ赤になった目が元に戻るまで・・・
バルーセルさんは、自分の罪を償うため、法的な裁きを受けるため、アルヴァニスタ王と共に、アルヴァニスタに帰りました。
国家反逆・・・傷害・・・殺人・・・操られていたとはいえ、数え切れないほどの罪を犯したバルーセルさんは、おそらく・・・
ミゲールに着いた私達には、やらなければならない事がありました・・・お葬式です・・・。
しかし・・・激しい戦いで、全員が三日間は眠り続けました・・・。
三日後に、起きた私達は、あの戦いで亡くなった方達を弔いました。
それから四日間は・・・私以外は普段どおりの生活を送っていました・・・
ですが、私は知っています・・・いなくなった人の穴は・・・時が経つごとに如実に現れてきた事を・・・
そして、今日・・・・・・私は・・・
すず「お世話に・・・・なりました・・・・・」
すずは、アルベイン家の前に並んでいるみんなにお辞儀をした・・・その中にゼロはいない・・・
ルミナ「もう・・・行っちゃうの?」
すず「はい・・・・・・忍者の里の仕事がありますから・・・・」
ミレア「そう・・・・頑張ってね・・・」
クレス「いつでも、来ていいんだぞ・・・。」
チェスター「50年前から、家族なんだぞ・・・遠慮せずに・・・」
ミント「ええ、待ってますよ・・・。」
アーチェ「なんかあったら、また、あたしの魔術で、バーンッ!とやっちゃうんだから!」
すず「はい・・・・ありがとうございます・・・・・」
ミリエル「また来てね、すずお姉ちゃん。」
すず「うん・・・」
すずは、町の外へと歩き出そうとした。
ルミナ「ゼロに言わなくていいの!?」
ルミナの言葉に、すずは足を止め、家の方を向いた・・・家の裏手には墓地がある・・・
オスロン「ルミナさん!何を・・・」
ルミナ「だって・・・・すずちゃんは・・・今度はいつ戻って来れるか、わからないから・・・・せめて・・・」
すず「・・・・大丈夫です・・・今日帰るって、朝一番に話してきましたから・・・・。」
ルミナ「そう・・・・・・じゃあ・・・無理しないで・・・元気でね・・・・」
すず「はい・・・・みなさんも・・・お元気で・・・・」
??「おーい!」
すずが再び歩きだそうとした時、家のドアから男が一人出てきた。
ミアン「レオッ!いつまで寝てんの!間に合わない所だったじゃない!」
レオ「ゴメン、ゴメン・・・せめて最後くらいは・・・さ。」
ミアン「まったく・・・」
すずは、その光景を見て、僅かに微笑を浮かべた。
すず「それでは・・・・・」
そして、すずは歩き出した・・・
??「おーい!ちょっと待ってくれよ!!」
ルミナ「!!・・・・今度はまた、ずいぶんと寝坊してた人が起きたみたいね・・・」
オスロン「ああ・・・そうだな・・・・・。」
ミレア「まったくね・・・・・」
ドタドタと大きな音をたてながら、アルベイン家のドアが開けられた。
??「廊下の窓からみんなが並んでるの見て、慌てて支度して来たんだから・・・」
その声に振り返ったすずは、顔の表情を明らかに変えた。
すず「ゼロさんッ!!」
ゼロ「起きたら、まだ本調子じゃないみたいだし、何で自分の部屋にいるのかわからなくてさ・・・あれから何日経った?」
すず「今日で、一週間になります。」
ゼロ「そっか・・・・・あ、それと、すず・・・」
すず「はい?・・・なんですか?」
ゼロ「その・・・・・えと・・・・こ・・・ここ・・・」
すず「ココ?・・・・・ニワトリですか?」
ゼロ「あ、いや・・・そうじゃなくて・・・・こ・・・・告白・・・嬉しかった・・・」
すず「!!・・・・そ、それは・・・・・・・どうも・・・・・」
ミレア「あーあー、ラブラブしちゃって・・・」
イグミス「そうだな・・・・」
ルミナ「ホントに・・・幸か不幸かね・・・」
さて、なぜゼロが生きていたかと言うと・・・
あの時、ゼロは死んでいたわけではなかったのだ。
エターナルソードによって限界以上の力を発揮したゼロの体は、時の力で時間が停止していたのだ。
なぜ、そのような事になったのかはわからないが、ゼロの体は一種の冬眠状態に入っていたのだ。
その為、毒の進行が緩やかになり、その間にアウローテのワクチンを打って、助かったのだ。
そして、その状態が治ったのは、四日前・・・それからは、普通に眠っていたのだ・・・。
ルミナ「オスロンが気付かなかったら、フォルスは燃やされてたかもね。」
オスロン「さあな・・・案外、熱くて飛び出してきたかもな。」
ルミナ「あはは、言えてる。」
ゼロ「えと・・・・それでさ・・・・・一緒に・・・行ってもいいかな・・・忍者の里に・・・」
すず「え・・・・私はいいですが・・・でも、ここの仕事は・・・」
ゼロ「いや・・・その・・・・手伝いたいんだ・・・・俺の意思で・・・・いいよね、父さん、母さん!」
ゼロの質問に、イグミスとミレアは首を縦に振った。
ゼロ「それじゃ、俺はホウキに乗ってくから、すずはレアバードに乗って・・・・・・ん?・・・・あれ?」
すず「どうしました?ゼロさん・・・」
ゼロ「いや・・・ホウキが・・・・飛ばなくて・・・・・」
ゼロは、外を掃く竹ぼうきをとって、またがったが、浮かばない・・・
ゼロ「まだ本調子じゃないからか・・・?マナを感じないし・・・」
ルミナ「?マナならちゃんとあるけど・・・」
すず「!ゼロさん!耳が!?」
ゼロ「耳・・・?・・・・・!尖ってない!!?」
エルフの血を引く者は、必ず耳が尖っている。
前まであった、だが、今気付いたら普通の人間のような丸っこくなっている!
ゼロ「ま、まさか・・・ファイアボール!アイストーネード!ストーム!グレイブ!エクスプロード!ライトニング!!」
・・・・・・・・・・しかし、なにもおこらなかった・・・
ゼロ「ま、まさか俺・・・・」
オスロン「人間に・・・・なったのか?」
ゼロ「・・・・・・・・・・・・・まあ、いいか。」
イグミス「いいのか?フォルス・・・」
ゼロ「うん・・・なったものはしかたないし、すずも父さんも人間だしさ・・・・って、あれ?すずは?」
ルミナ「すずちゃんなら、ミアンとあそこに・・・」
すずと、ミアンは離れた所で、なにやら話をしている。
すず「え・・・・?」
ミアン「だから、フォルスさんを悲しませるような事しないで下さい。」
すず「私は・・・ゼロさんを困らせる気は・・・」
ミアン「ないのは、わかっています・・・でも、もしまた悲しませるような事したら・・・私がフォルスさんを盗っちゃいますから。」
すず「え・・・・?!」
ミアン「・・・・・なぁんてね♪・・・今更二人を引き離せるなんて思ってませんから・・・・」
すず「・・・・・ミアンさ・・・」
ミアン「だ・か・ら・・・・」
ミアンは、すずの背中を押してゼロの元に近づけた。
ミアン「御二人共!お幸せにッ!!」
ミアンの言葉に二人はそろって、顔を赤くしてうつむいた。
すず「それでは・・・一緒に行きましょう!ゼロさん!」
ゼロ「・・・ああ・・・・」
ゼロは、すずのレアバードの後ろにつかまり、忍者の里へと飛んでいった・・・・
ミアン「・・・・・・・・・・・」
二人が飛び立ったのを見て、レオとミアンを残して家に戻っていった。
レオ「・・・・・・ミアンは、頑張ったよ・・・・」
ミアン「・・・・・・・ありがとう・・・レオォ・・・・!」
レオはミアンの顔を自分の体で隠した・・・
ゼロ「なあ・・・・すず・・・・・」
すず「なんでしょうか、ゼロさん・・・」
ゼロ「その・・・・エルフの血が無くなってさ・・・魔術は・・・使えないけど・・・さ・・・それでも・・・俺のこと・・・・」
すず「・・・・・私は・・・エルフとか、クレスさん達の子孫とか・・・そういう事で、ゼロさんの事・・・・・す・・・好きになったんじゃないですから・・・・」
ゼロ「そ・・・・そうだね・・・俺も・・・・すず・・・だから・・・・・・・さ・・・・好きになったんだと思う・・・・・」
すずは、眺めのいい高台で、レアバードを止めた。
そこからは、今までいた、ミゲールの町が一望できる。
ゼロとすずは、しばらく、その眺めを見続けた・・・
そして、二人の目がふと見つめ合った時、二人は自然と唇を重ねた・・・。
今まさに・・・・自分達が守れた本当に大切なものに包まれながら・・・・・
その後・・・ゼロとすずは5年という長い歳月を経て、結婚までに至った・・・。
しかし、その席にはクレス、チェスター、ミント、そしてすずの祖父、乱蔵の姿は無かった・・・
乱蔵は、戦いが終わってすぐに、事故で他界してしまった・・・
チェスターは戦いから1年後、患っていた病気によって永眠についた・・・
その傍らには、アーチェがずっと付き添っていた・・・
ミントは・・・チェスターの死亡から2年後、チェスターとは別の病気でこの世を去った・・・
クレスは、ミントの命が事切れるまで、その手を握り続けた・・・
そしてクレスは・・・・・・結婚式の一週間前・・・南の森で命を落とした・・・
魔物に襲われた子供を助けるため、深手を負ったのだ・・・
ミゲールに戻っていたゼロとすずによって、魔物は倒されたが、「ミント・・・・迎えに来てくれたのか・・・」と言う言葉を最後に、クレスも・・・
英雄、三人が死去し、すずを加えたアルベイン一家は、新たな場所に新居を構えた。
ミゲールに残された道場は、師範代をしていた、レア=ディルに任され、アルベイン家は、アルベイン流の道場と下宿先となった。
アルベイン流は、それを継ぐ実力と心があれば、誰にでも師範になる事は出来る。
これまで、アルベイン家はその直系の実力から、師範についていたのだ。
だが、レア=ディルが受け継いだのは、なぜか・・・それは、ゼロが道場を継がなかったからだ。
では、忍者の里の新頭領になったのか・・・・いや、すずも忍者の里にはいなかった・・・
すずは、アルヴァニスタ王との会議で、望む者は忍者の里を抜け、普通の生活を出来るようにしたのだ。
普通、忍者が里を抜ける場合は、抜け忍として裏切り者になるか、死ぬかそのどちらしかなかった。
だからすずは、頭領の命令として、許可をだしたのだ・・・忍者にとって、頭領の命令は絶対である。
しかし、今更忍びの道以外では生きられないという者も多く、野に下った者は、すずを含めてその数を半分と満たなさなかった。
また、アーチェは一人、新居には住まず、どこかに建てた、塔全体がピンク色の、まじょっこの塔に住んだ。
オスロンとルミナも、ゼロとすずの結婚後、デリス・カーラーンに共に旅立ち、向こうで幸せに暮らしているだろう・・・
ただ、驚く事に、デリス・カーラーンの人間は、エルフの血を受け継ぐ者しかおらず、エルフは元々この星から来ていたと言う事が、オスロンの話でわかった。
また、ブライマル・エルブン・ロアーは、元々デリス・カーラーンのエルフ達が考案した言語であることも、オスロンによって解き明かされた。
ちなみに、アルベイン家の新居は、四階建てとかなり大きく、四階にゼロとすずが、三階にイグミスとミレアが、二階にその他の人物の部屋がある。
バルーセルは、裁判の結果、有罪が確定し、死刑となった・・・・
本人もその事は覚悟して、いや、むしろ期待していただろう・・・
ミアンの事は、関係者一同が口を閉ざしたため、公式にはバルーセルは天涯孤独の身となっている。
これはあくまで推測だが、バルーセルがミアンを捨てたのは、ミアンが犯罪者の娘として罵りを受けないようにするためだったのかもしれない。
しかし、事実を確認しようにも、真実を知るバルーセルはもうこの世にはいない・・・真相は闇の中だ・・・
あ、そうそう、レオはあの後ミアンに告白したが、結果は見事に玉砕・・・本人もわかっていたのだろうが・・・
しかし、レオは諦めずに、何度も何度もアタックを続け、7年という歳月を経て、結婚することに成功した。
さらに言うと、レオとミアンは同時にミリエルを養子に加えて、後に出来る子供同様に可愛がったはずだ・・・。
それと、忍者の里を抜けた者は、自ら名前を変えてアルヴァニスタで働いている。
すずの親友のおしずは、リールと名前を変え、宿屋に勤めている青年と結婚したようだ。
もちろん、すずもその名を変えた・・・外では、大切な人からもらった、ベルという名で・・・
すず・OF・フューチャーでは、出番が少なかったクラースの子孫たちは、一度名前だけ出た赤ん坊・・・
あの子が召喚術をマスターし、その数百年に渡って名門の家柄となった。
あ、ゼロとすずの間には、実に5人もの年子の子供が産まれた。
一歳違いで産まれたきた子供たち全員の世話は大変だったらしいですよ。
そんな子供たちは、両親から剣術、忍術を自ら望んで教わり、世の中の役に立った様です。
また、興味深い情報がこちらに届いたので、それも報告しておこう。
ミアンの前世は、チェスターの妹のアミィだという情報だ。
そして、レオの前世は、そのアミィに恋心を抱いていた、アルベイン流の門下生のライクという少年のものらしいと言う事。
さて最後に、全てが終わった後、すずの物語は児童向けの絵本となりました・・・
しかし、その内容は真実を隠され、バルーセルを絶対悪としていました。
だが、真実知る術はある・・・忍者の里に保管されている資料だ。
それと、この戦いの場にいた者達だ・・・
そして・・・その戦いを画面の前から目撃したあなた方です・・・
彼らが・・・この歴史を伝え続ける限り・・・この物語は・・・けっして・・・忘れ去られる事はないのだから・・・・・・
~ 完 ~
どうも、作者の緋色の龍です。
終わりです・・・すず・OF・フューチャーはこれで最後なんです・・・。
おそらく、一般の方がこれを見られる頃には、私もゼロ達と一緒に次の為に歩き出しているでしょう。
懐かしくも、遠い我が家・・・簡単には会えない知り合い・・・そんな事ばかりを考えているでしょう・・・
みなさんとも、しばらく・・・いや、長い間会えないでしょう・・・
ですが、私はいつか、自分のパソコンを買って、みなさんに会いに来たいと思います!
その日まで・・・しばしのお別れです・・・では、また。
2005年 3月30日 緋色の龍