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デミテルは今日もダメだった【15】

第十五復讐教訓 「日記は三日坊主にならないようにしよう」


○月×日

天気
ぴーかん

今日、リミィはお船に乗っておっきい砂場みたいな大陸を出ました。そのあと
、またお船に乗って「ミナミユークリッド大陸」のほうに行きました。そこ
の「せーれーの洞窟」にノームがいるからだそうです。

デミテル様は、船の上でなんだか顔が青かったです。船の食堂でバナナチョコレー
トパフェを食べ過ぎたからだそうです。

フトソンは、牛丼をいっぱい食べてました。でも、途中からトイレに行ったっきり出てこなくなりました。デミテル様は「きょうぎゅう病かもな」と言ってましたが、どんな病気かリミィは知りません。五時間ぐらいたったらトイレから出てきました。

ジャミンコはピーナッツだけ食べさせられてました。食費を安くするためだと
デミテル様は言ってました。ジャミンコは「せめてカキピー食べさせなさいよ!」
とピーピー怒ってました。

リミィは、焼鳥を食べました。あと、タコワサビも食べました。あと、サラミ
を食べました。あと、イカの塩辛を食べました。焼鳥はやっぱりスナギモが一番
おいしかったです。デミテル様に「完全に飲み屋の客だな」と言われました。で
も、リミィが前住んでたところは、飲み屋ばっかりあったので、間違いではない
と思います。

 ジャミンコに焼鳥食べさせてあげようとしたら、「共食いさせる気か!?」と
怒鳴られました。

それにしても、今日もデミテル様はかっこよかったなぁ。どのへんがかっこよ
かったかっていうと、全部です。ご飯食べてる時もかっこよかったし、歩いてる
時もかっこよかったし、海を眺めてたしがれてる時もかっこよかったです。ちなみ
に眠ってる時のデミテル様はかわいいです。たまに口を開けて寝てるときがある
けど、その時は見とれてしまいます。ずっと見ていたいと思いました。

あと、いい匂いもします。いつもお菓子を持ってるから、ほんのり甘い匂いが
します。いつか、デミテル様に抱きしめられながら匂いを嗅いでみたいです。

今日、デミテル様がお昼寝から起きた時、なぜかちょっとだけ涙を流してまし
た。「どうしたのぉ?」とリミィが聞いたら、「昔の嫌な思い出を思い出
しただけだ」と言ってました。嫌な思い出なのになんで泣いてたんだろ?イライ
ラするものじゃないのかな?

あと、今日はフトソンが、フトソンのおじいちゃんの話をしてくれました。な
んでも、フトソンのおじいちゃんは昔、世界中を回ったことがあるそうです。今
日は、フトソンのおじいちゃんがユニコーンという馬っぽい生き物を捕まえよう
とした話をしてくれました。でも、結局ユニコーンには会えなかったそうです。

なんでも、ユニコーンは『清き乙女』としか会わないそうです。「清き乙女っ
てどういう意味ぃ?」ってデミテル様に聞いたら、赤面して教えてくれませんで
した。フトソンに聞いたら「ジャミルに聞いた方がいいんだな」と言ったので、
ジャミンコに聞いたら、「要はアレ・・・アンタは会えるけど私は会えないって
ことよ」って言っただけで、言葉の意味は教えてくれませんでした。

意味はわからないけど、リミィは「清き乙女」で、ジャミンコは「清き乙女」
じゃないということだと思います。意味はわからないけれど。

ふと思います。リミィはずっとデミテル様の横にいられるのかな?ずっとあの
カッコイイ顔を見ていられるのかな?あの、いい匂いをずっと嗅いでいられるの
かな?

リミィはデミテル様が大好きです。でも、デミテル様はリミィのことを時々「
むせび泣くしか能のない役立たず」と言います。「お邪魔虫」とも言います。デ
ミテル様はリミィのことが嫌いなのかな?

でも、それでもいいです。例え嫌われても、邪険にされても、それでもリミィ
はデミテル様が大好きです。ずっと、ずぅっとデミテル様の横にいたい。

最低限でも、結婚はしたいです。と、今日も思いました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・最低限で結婚ってなんだ・・・最低限じゃなかったらどこまでいくつ
もりなんだ・・・しかも『今日も』ということは毎日そう思っとるのか・・・」

深夜のベルアダム村。クレス達が過去の世界で最初に訪れた村の宿に、デミテ
ル達はいた。

イフリートとの死闘(?)を終えたデミテル一行は、次は土の精霊ノームに出
会う為、ここ、南ユークリッド大陸の南端に来ていた。

来る方法は簡単で、ユークリッドの港から出ている片道の船に乗るだけだった。が、ついた頃には暗くなっていた為、一度宿で休むことにした。

村に入った際、村長であるレニオスに会ったが、初対面の彼の一言は、

「お主ら!ワシの入れ歯を知らぬか!?」

だった。なんでも村の子供達がイタズラして、入れ歯をどこかに隠されてし
まったらしい。

「もし探すの手伝ってくれたら、村長の権力で宿代タダにしちゃる!!」

と言ってきたので、一緒に探してやった。 


村長の権力をそんなことに使っていいのか?


と、正直疑問だったが、

「入れ歯がないとワシは・・・ワシは・・・お菓子が食べられないんじゃあ!」

という言葉に、デミテルは感銘を受け、その疑問は打ち消されたのであった。

入れ歯は無事発見され(というか、レニオスの口の中に隠されていた。彼が昼
寝している間に口の中に突っ込まれたらしい。そもそも、入れ歯がないのに普通
に喋ってる時点で気付けよ、とデミテルはジャミルに突っ込まれていた)、デミテル
達はタダで宿に泊まることができた。


そして先程、デミテルはふと目が覚めた。トイレを済ませたものの、なぜか寝
付けなかったのだ。

寝る前に飲んだコーヒーが原因だろうか・・・スティックシュガー十本はさす
がに入れすぎたか・・・イヤ、あんまり関係ないか。

そんなことを考えながら、夜空を窓から眺めていたデミテルだったが、ふと、大
人用のベットにチョコンと横になっているリミィが目に留まった。


まったく・・・眠っているだけであればまだ・・・・・・ん?『まだ』?まだ
ってなんだ?・・・イヤイヤイヤイヤ!眠ってようが起きてようがかわいいわけない
だろうがぁ!?大丈夫か自分!?


自分の心と葛藤しながら、デミテルはリミィのスヤスヤとした寝顔を覗いて
いた。

リミィは、長い水色の髪をしていた。窓から差し込む月明かりで、水色のサラ
サラとした長髪が輝いていた。

デミテルは一瞬、その輝く長髪に見とれてしまった。ハッと我に帰り、自分の
頭をポカポカ殴った。


 これでは私が変質者に見えるではないか!?私はそういうロリコンの趣味はない!!
どっちかっていうとおねぇさん系の年上のほうが燃える・・・・・・・・・・・・・・って何考えてるんだ自分!?


その時、あるものが目に入った。リミィの服の背中から何かが飛び出ている。
薄い、本のようだ。

デミテルはソロソロとそれを引き抜いた。引き抜く時本が髪に当たり、またキ
ラキラと輝いた。

デミテルは表紙をチラリと見た後、ページを開いて読んでみた。

その内容が、冒頭のものであった。

こんなものを書いていたのかこのガキは・・・しかも毎日欠かさず。私の屋敷に
来て、昏睡状態から目覚めてからずっと書いているのか。

というか、全ての記録の最後の締め括りの言葉が全部「結婚したい」とはどう
いうことだ。全ての日記の結末が全て「結婚したい」で締め括られている。なん
という日記だ。

イヤ、それ以前にまず、この日記の題名・・・

『リミィとデミテル様のおのろけ日記♪』


私とお前がいつのろけたぁ!?

デミテルはリミィの顔面に日記を叩きつけてやろうかと思ったが、なんとか踏
み止まった。


まったくこのむせび泣くしかとりえのない役立たずが。イヤ、むせび泣くこと
自体とりえと言えるか?


・・・イヤ。ピッキングは立派なとりえかもしれないが・・・


デミテルは先程読んだページをめくり、最後の方の文章をもう一度読んだ。

例え嫌われても、邪険にされても、それでもリミィはデミテル様が大好きです。ずっと、ずぅっとデミテル様の横にいたい。

・・・馬鹿が。モンスターの寿命は千差万別。短い命の種族もいれば、何百年
か生きる輩もいるだろう。バンシー族が何年生きるか知らんが・・・


エルフの血を引くものより長く生きれる種族はいない。


お前は私より先に死ぬぞリミィ。ざまぁみるがいい。私の数千年の人生にずっ
と付きまとわされてたまる・・・


その時、デミテルは気付いた。日記の表紙、大きく『リミィとデミテル様のお
のろけ日記♪』と書かれたところのすぐ下に、小さく、そして力強く、六文字の
言葉が書かれていた。

ずっと一緒に

・・・なぜだ。なぜお前はそうなんだ。何故そんなにも私になつく?


なぜ・・・?


「・・・お・・・よ・・・」

デミテルはビクリとした。突如リミィがゴニョゴニョと喋りだしたからだ。

起きているわけではなかった。寝言のようだ。デミテルはおずおずとリミィに
耳を近づけてみた。

「およ・・・およよ・・・およし・・・」

およ?およし?なんだ?何を言おうとしている?

「およ・・・およ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・およしになってぇ~お殿様ぁ~♪」
「・・・・・・・・。」

・・・なんだよお殿様って。誰だよお殿様って。何者だよお殿様。

デミテルは途端にバカらしくなった。こんなガキがなぜ自分に好意をもったか?そんなことはどうでもいいではないか。

デミテルはひっそりと日記をリミィの服に戻すと、背を向け、とっととベット
に戻ろうとした。

その時、また寝言が聞こえた。

「およしになって~お殿様ぁ~♪・・・あ~れ~・・・」
「・・・・・・・・。」

デミテルは立ち止まり、頭をポリポリとかいた。すると引き返し、リミィの
耳元に近づき、試しにこう言ってみた。

「・・・よ・・・よいではないか~よいではないかぁ~・・・」

 すると、リミィは眉間にしわをよせ、突然叫んだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・かめはめ波ぁ!!」
「(えええええええ!?)」

 予想を裏切り過ぎる回答にデミテルは驚愕した。


なんだこいつは!?お殿様と危ない遊びしてたんじゃないのか!?なのに突然
お殿様に向かってかめはめ波!?とゆうか、お殿様って結局何者だよ!?


 デミテルは頭の中に溢れ返ってくる様々な疑問に埋もれそうになった。

 その時。険しい顔をしていたリミィの顔が和らぎ、そして、唐突に呟いた。

 本当に、安心仕切った表情をしながら。

 「・・・・・・デミテル様ぁ・・・♪」
「・・・かめはめ波の次は私か・・・」

一体何の夢を見てるのか、皆目見当がつかない。お殿様と遊び、かめはめ波を
放ち、最後にデミテル。把握のしようがない。


だが、一つだけわかったことがある。


夢の中だろうがどこだろうがコイツは・・・私のことが大好きなんだろう・・・


デミテルはベットをギシギシと軋ませながら、ゆっくりと眠りについた。どこ
か満足気な顔をしながら。

彼はちょっとだけ嬉しかったのだ。自分が信頼されているという事実が。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 デミテルが寝静まったちょうどそのころ。深夜のアルヴァニスタ城の一部屋で、ある男と兵士が話をしていた。

「・・・今なんと言った?」

宮廷魔術師・ルーングロムは、寝巻姿で呟いた。彼は先程まで自分の部屋で睡
眠中だったのが、兵士のノックで叩き起こされていた。

「ハイ・・・ですから・・・先程入った情報で・・・」

床に片膝をつき、宮廷魔術師に見下ろされながら、兵士は恐々と報告した。ル
ーングロムは目に見えて不機嫌そうだった。当然だ。こんな深夜に叩き起こされ
て上機嫌な者など、そうはいないだろう。

兵士自身もこんな時間に起こすのはアレだと思ったのだが、『この件に関して
の情報が入ったら、直ちに報告するように』とルーングロム本人に言われていた
ので、不機嫌にすることを覚悟で起こしたのだ。

兵士は不機嫌な目線を頭の上から感じながら、報告を言い直した。

「例の・・・・・・・・・・・・ハーメルの町壊滅の首謀者がわかりました。」
「ダオスか?」

兵士は首を横に振った。

「ダオスとの関連は未だ調査中です。首謀者と思われる男は戸籍がなく、また、写真など記録もないようでして・・・名前しかわかっていません。」
「・・・それで?その男の名は?数百人もの罪なき民間人達を惨殺し、町ごと
滅ぼした殺戮者の名は?」
「はい・・・」

ルーングロムはもう不機嫌ではなかった。今彼の心にあるのは、イライラでは
なく、その無差別大量殺人を犯した男への憎しみだった。兵士はひっそりとその
名を言った。

「その男の名は・・・・・・魔術師デミテル。」


つづく

あとがき

これを投稿した日は、ちょうど前回のあとがきに書いた夏休み明けテストが終わった日です。果たして90位以内に入れるのか?この小説は続けられるのか?台風9号はいつくるのか?日本の政治はどうなるのか?安部政権の行く末は!?そんな感じです。

ここでひとつ訂正です。
第九復讐教訓「上京する者たちに告ぐ 都会は怖いところです でもいい人もいます 都会に負けるなよ!」にて(今考えるとなんなんだこの題名は・・・)

『同じくちょうどその頃。ここは薬屋兼バーの「ライム」の前。そこで一人の着ぐるみを着た男が、二人の兵士に見事に職務質問を受けていた。』

という文章がありましたが、アルヴァニスタにある薬屋兼バーの名前は「ライム」じゃないですね。「どくだみ」っていう名前の店でした。「ライム」は多分アーリィにあったと思います。間違えてスイマセンでした。

次回 第十六復讐教訓「パロディ系のギャグはマニアック過ぎると笑えないから気をつけろ」

コメント

こんばんわー!
今回はリミィに信用されたデミテルですかあー
信用されることほど嬉しいことありませんからね、同感します(何

リミイ、お殿様って何者ー???(キクナ
そしてカメハメ波ってなんですかっ!!(ぁ

とりあえず、真面目方面の話で・・・
デミテルばれちゃったんですか・・・・いまはもう助かってほしいという思いで一杯です・・・
さて、これからどうなっていくのか、日本の未来はどうなるのか、うぉーうぉーうぉーうぉなのか・・・期待しておりますっ

初めまして、会ったこともないのにコメをしてすみません。
でも、読んでみたら面白くてコメしたくなってしまい・・・・。コメをします。

えっと、私もファンタジアをクリアしたことがあるんですが、正直、アーチェが好きでした。

そして、アーチェの親友だったリアを殺したデミテルはあまり好きじゃなくて、単に『中盤に出てくる少し手を焼くボス』程度にしか思っていませんでした。
 でも、コレを呼んで凄く好きになりました。

続きがスゴイ気になります。デミテルは一体どうなってしますのか・・・。
次回、楽しみに待ってます!

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