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デミテルは今日もダメだった【16】

第十六復讐教訓「パロディ系ギャグはマニアック過ぎると笑えないから気をつけろ」


南ユークリッド大陸。そこには、一つの洞窟がある。

その洞窟の名は、精霊の洞窟。文字通り、精霊が住まうとされる洞窟だ。

だが、この洞窟の奥に進めた者は滅多にいない。なぜなら・・・

『合言葉を言え。されば扉は開かれん。』
「・・・合言葉?」

壁状の扉から飛び出た、ギョロリとした目玉を見上げながら、デミテルはオウ
ム返しに尋ねた。壁は、目玉の動きでうなづいて見せた。

 壁は重みのある声で再び喋り出した。

『四文字の合言葉だ。それを言えねばここは通さん。』
「・・・・・・おいフトソン。」
「はい?」

デミテルの脇で訝し気に壁を見ていたフトソンだったが、デミテルの呼びかけ
にすぐに反応した。デミテルは腕を組み、しばらくウーンと唸ったあと、こう言
った。

「・・・この壁・・・右ストレートで破壊できるか?」
『・・・え?』

いままでにない展開に壁は困惑した。フトソンはその高い身長で壁を見下ろし
たあと、しばらく考え、問いに答えた。

「・・・多分・・・・・・・・・・・・・・・・・木っ端微塵の粉々にできるんだな♪」
「うわぁい♪がんばってねフトソン♪」

デミテルの横をフワフワと浮きながら、リミィは楽しげに言った。フトソンは
元気よく腕を振った。

が、デミテルの肩に乗っかったジャミルは、冷静に言った。

「待ちなさいよアンタ達・・・熱砂の洞窟ん時もそうだったけど・・・その行
為は・・・」
「いいかジャミル。何をするにも人間、まずは知恵を絞ることだ。すぐに力で
に押し通そうとする奴は無能だ。だが、我々には絞る知恵がない。だから最初か
ら力で押し通すしかない。わかるか?」
「・・・わかるようでわからんような・・・イヤ、やっぱしわからん・・・」
『・・・・・・。』

壁は焦っていた。正直焦っていた。まさか壁である自分に生死の危機が訪れよ
うとは、夢にも思わなかったのだ。


このままでは殺られる・・・!


『ま、待てお前ら。』
「なんだ壁。開けてくれるのか?」
『イヤ、その・・・も、もう少し冷静になれ。壊す以外にももっと安全かつ、
円滑に問題を解決する策がどこかにあるはずだ。きっと!』
「・・・お前が開いてくれれば一番手っ取り早いのだが・・・」
『そ・・・それはちょっと・・・』
「フットソーン?右ストレートの準備は出来たか?」
「万事OK!なんだな!」

指の関節をゴキゴキと鳴らしながら、フトソンは楽しげに言った。壁は軽く涙
目になった。

「じゃあ、遠慮なくドカーンと・・・」
『ま、待て!待ってくれ!早まるな!か、壁だって生きてるんだぞ!?命宿し
てんだぞ!?みんなみんな生きているから友達なんだぞ!?アメンボだってオケ
ラだって壁だって・・・壁にだって人権・・・イヤ、壁権が・・・』
「やっぱしやめようよぉ!なんだかとってもかわいそうだよぉ・・・」

リミィの言う通り、壁はとてつもなくかわいそうに見えた。体は震え、目玉か
らは涙、鼻をすする音さえも聞こえてきた(一見鼻があるようには見えないが)。デミテルはフーと溜め息をついた。

「・・・じゃあどうするんだ?今から合言葉を探しに出掛けるか?」
「みんなでどんどん言葉を言ってこうよぉ!きっとどれかあてはまるよぉ!」
「かなり地道な道のりだな・・・」

デミテルは頭をボリボリとかいた。フトソンはせっかくの活躍の場を失い、し
ょげていた。

壁は心からリミィに感謝した。

『ありがとうお嬢さん!あなたは命の恩人ですぅ!壁として生きて数千年、こ
んなに生の実感を感じたのは生まれて初めてです!これからも壁としての誇りと
自信を持って生きていきたいと思います!』
「よかったねぇ壁さん。・・・そうだ!リミィが壁さんにお名前を付けてあげ
るぅ♪」
『え?名前?』

壁は目玉をパチクリさせた。リミィはしばらく考えたあと、やがてこう言った。

「う~んとぉ、う~んとぉ・・・・・・・・・・・・壁ルンルン!」
『カ・・・カベルンルン?』

カベルンルンは再び目玉をパチクリさせた。

「ねぇデミテルさん・・・」
「なんだフトソン?」
「『カベルンルン』てどっかで聞いたようなネーミングのような・・・」
「安心しろ。一部の人にしかわからん。」
「一部の人って・・・誰なんだな・・・」

二人の会話を聞きながら、ジャミルは溜め息をついていた。

「いいかお前ら?とにかく片っ端から四文字の言葉を言っていく。そうすれば
いずれ答えにたどり着く・・・はず・・・」

デミテルは自信なさ気に説明した。リミィを除いた全員が、あまりにも無謀な
作戦だと思っていた。

デミテルは壁に面と向かって立った。

「では私から言っていくぞ・・・私、ジャミル、フトソン、リミィの順番で言
っていく。では・・・」
「リミィ最後やだぁ!せめて三番がいい!」
「どっちでもいいだろうが!四番と言ったらお前、アレ、野球で言ったらホー
ムランバッターを置くところだ!むしろ喜べ!」
「リミィいいんだな・・・僕が代わるんだな・・・」
「ありがとうフトソン!・・・あ!そうえばねぇ、『四』て『死』と同じ読み
だから不吉なんだってぇ!知ってたぁ!?」
「・・・・・・。」


入れ代わった後に言うなよお前・・・


デミテル、ジャミル、フトソン、さらにはカベルンルンでさえそう思った。当
然の如くリミィに悪意はない。単純に知識を披露したかっただけだ。

デミテルは咳ばらいをすると、改めて作戦を開始した。

「ではいくぞ・・・あー・・・『デ・ミ・テ・ル』。」
『違う。』
「アンタの名前が合言葉なわけないでしょ・・・じゃあ・・・『ど・う・く・
つ』。」
『違う。』
「ジャミンコ間違えたぁ♪んーとぉ・・・・・・イカの『し・お・か・ら』!」
『違う。』
「そんな言葉が合言葉なわけないんだな。どんなマニアックな合言葉なんだな
・・・えーと・・・『ガ・ン・プ・ラ』。」
『違う・・・とゆーか、お前の方がよっぽどマニアックだぞ・・・』

「この白饅頭が。もっと頭を捻ろ。では折り返しで・・・『と・う・ぶ・ん』!」
『違う!』
「『ニ・ワ・ト・リ』!」
『違う!』
 「『や・き・と・り』!」
『違う!』
 「機動戦士『ガ・ン・ダ・ム』!」
『違う!』

「『カ・ス・テ・ラ』!」
 『違う!』
「『ジ・ャ・ミ・ル』!」
 『違う!』
「『チ・ー・カ・マ』!」
 『違う!・・・チーカマってお嬢さん・・・』
 「水陸両用モビルスーツ『ズ・ゴ・ッ・グ』!」
 『違ぁう!またガンダム系!?わかるひとのしかわからんぞ!?』

 「『ア・メ・ダ・マ』!」
 『違う・・・貴様さっきもお菓子の名前だったな・・・』
 「『レ・ア・ー・ド』王子!」
 『違う!』
「『い・ざ・か・や』(居酒屋)!」
 『違う!』
 「同じく水陸両用モビルスーツ第二弾!『ア・ッ・ガ・イ』!」
 『違ぁう!ガンダムネタも大概にしろ!』

 「・・・もう菓子類はないな・・・しょうがない・・・ハァ・・・『ナンシー』。」
 『違う。お前そんなにお菓子の名前が言いたかったのか?』
「ええと・・・『マイケル』・・・。」
 『違う・・・誰だよマイケルって・・・』
 「『ダグラス』!」
 『違う!なんだよダグラスって!?さっきのインコが言ったマイケル+ダグラ
スで、マイケル=ダグラスか!?それ言いたかっただけだろ!?』
 「『アカハナ』!」
 『アカハナか・・・ジャブロー降下作戦においてアッガイに乗り込み、シャア=アズナブル大佐のシャア専用ズゴッグと共に連邦軍本部、ジャブローに潜入。
地球連邦軍所属のペガサス級強襲揚陸艦二番艦、ホワイトベースに爆弾を仕掛け破壊しようとするが失敗・・・その後の戦闘においてガンダムに撃破される・・・確か全身黒タイツで、トナカイみたいな鼻したオッサンだったよな・・・俺嫌いじゃなかった・・・
・・・・・・・ってどうでもいいんだよそんなこたぁよ!!マニアック過ぎてホ
ントに一部の人にしかわかんねぇよ!!そして最大の謎はなんで俺こんなにガン
ダムに詳しいの!?俺自身が謎!?』

「『アスパラ』!」
 『違う!』
「『ニンジン』!」
 「『違う!』」
「『ダイコン』!」
 「『違う』!」
 「『キャベツ』!」
 『違う!何で急に咳を切ったようにベジタブル系の言葉ばっかになったんだよ
!?別に自分の前に言った人に合わせようとしなくていいから!』

「『焼肉』!」
 『違う!』
 「『ヒレ肉』!」
 『違う!』
 「『タン塩』!」
 『違う!』
 「『カルビ』!」
 『違うぅ!今度は焼肉メニュー!?なんだよこの謎の連携プレーは!?つーか
白い奴に至っては四文字ですらねーじゃねーかぁ!!なんだよカルビって!?俺
が喰いてぇよ!』

「『森本』。」
 『違う。』
 「『 桜井』。」
 『違う。』
「『山本』。」
 『違う!』
「『田中』。」
 『ふざけんのも大概にしろコラァ!!もう違うって言うのめんどくせーよ!つ
ーか田中ってまたしても三文字じゃねーかぁ!!』


「あー・・・えー・・・んー・・・『キクリン』。」
 『違う!』
「二十四時間『マラソン』。」
『サライでも歌えってか!?違う!』
「『殿様』!」
『違う!・・・ってあ!?』


この時壁・・・イヤ、カベルンルンは気付いた。


ちょっと待て・・・しまった・・・さっきデミテルとかいう奴が合言葉言った
・・・『キクリン』って・・・つい流れに身を任せて違う!って言っちゃった・
・・


 「デミテル様ぁ?キクリンて何ぃ?」
 「イヤ、適当に言った。」
 「そんなふざけた言葉が合言葉なわけないでしょ!」
 「全くその通りなんだな~♪」

マズイ。マズイぞ。あんなはっきりと違う!って言ってしまった手前、いまさ
ら、『スマン間違えた。正解はキクリンだ。よって扉は開かれん。』とか言って
扉開けたら、俺の立場ねーよ。カッコワリーよ俺。絶対見えないとこで陰口叩か
れて笑われるよ。どうする?どうするよ俺?

・・・ハッ!?そうだ!次白い着ぐるみ着た奴が言う言葉を正解っちゅうこと
にすりゃいいんだ!どちらにしても通してやるという事実は変わらんのだから、
問題はないはずだ!


カベルンルンは一つの結論に達すると、身構え、フトソンの返答を待った。フ
トソンは腕を組みウンウンと考えていたが、やがて、四文字の言葉を繰り出した。

「イヤ、まさかな・・・」

カベルンルンの扉を越え、洞窟の奥に進みながら、デミテルは呟いた。

「まさか合言葉が・・・・・・『フトソン』だったとは・・・」
「僕も自分で言ってビックリしたんだな・・・」
「でもぉ、フトソンって名前はリミィが考えたんだよぉ!だからリミィのおか
げだよねぇ!」
「・・・ああ、そうだな・・・」
「わぁい♪デミテル様に褒められたぁ♪」

歓喜の声を揚げながら、リミィはデミテルに飛び乗り、頬擦りした。

一方で、デミテルの肩に乗っているジャミルは、複雑な顔をしていた。


・・・本当に合言葉は『フトソン』だったのかしら・・・?あの壁・・・イヤ
、カベルンルンが『フトソン』という単語を聞いた時の目の表情。アレは答えを
言われて驚いた目っつうより、『うわぁ・・・どうしよう・・・』って感じの目
だった気が・・・


「・・・いいなぁジャミンコぉ・・・」
「へ?」

ふと気がつくと、リミィが指を加えて自分を恨めしげに見つめていることに彼
女は気付いた。

「ジャミンコって呼ぶな・・・ってもういちいち言うのめんどくさいわ・・・
で?何がいいのよ?」
「・・・ジャミンコって・・・」

ジャミルをジロジロと見ながら、リミィは羨まし気にこう言った。

「ジャミンコって・・・いっつもデミテル様の肩に乗れていいなぁ・・・」
「は・・・?」

ジャミルは目をパチクリさせた。

「だってずっとデミテル様の横にいるもぉん!いつでもデミテル様の匂い嗅げ
ていいなぁ!それにいつもデミテル様のカッコイイ顔近くで見れるしぃ!いいな
ぁ!」
「な・・・!」

ジャミルは、自分でもよくわからないのだが、なぜか赤面してしまった。

「ベ、別にこんな奴の匂い嗅げたって、間近で顔見れたってうれしかないわよ
!馬鹿かアンタは!?単純に留まりやすいから留まってるだけよ!」
「いいなぁ!ジャミンコいいなぁ!」
 「お前らな・・・そういう話は私がいない時にしろ・・・」

洞窟の階段を降りながら、デミテルは静かに言った。先程までのリミィとジャ
ミルの会話は彼を間に挟んで行われていた。

リミィはするするとデミテルから離れていった。ジャミルを羨まし気に見なが
ら。

ジャミルは羽根で頭をポリポリとかいた。


バカバカしい・・・好きで留まってるわけじゃないし・・・ずっと飛んでんの
は疲れるし・・・ただ留まり心地がいいだけよ・・・

・・・・・・・・・・・。

『いつでもデミテル様の匂い嗅げていいなぁ!』


・・・匂いも・・・・・・まぁ・・・・・・・・・・・・


悪くはないけど・・・


「うえーん!迷子になっちゃったぁー!」

デミテル達が階段を降り切った時、突如子供の叫び声が響き渡った。

「なんだ?」
「あ!あそこになんかいるんだな!」

フトソンは前方を指差した。

そこには小さな人形・・・イヤ、小人がいた。大きさはジャミルとたいして変
わらず、グレーの三角帽子、同じくグレーの服を着て、泣きわめいていた。

傍らには、その小さな体には不釣り合いの大きな木箱が置かれている。

「デミテルさん・・・アレって迷子・・・」
「無視するぞ。」
「ええ!?それはさすがにひどいんだな!」
「やかましい。人生において迷子は乗り越えなければならない試練だ。自力で
乗り越えてこそ一人前なんだ。」
「・・・そういう自分は迷子になったことないんだな?」
「私は十歳になるまで人生の迷子だった。」
「・・・・・・。」
「ねぇねぇ?どこから来たのぉ?おとーさんとおかーさんはぁ?」

ふと気がつくと、知らぬ間にリミィが小人に話し掛けているところだった。

小人は泣き止み、不思議そうにリミィを見上げた。

「僕・・・僕みんなとはぐれちゃったの・・・あと、おとーさんとおかーさん
はいないよ・・・もうずうぶん前に死んじゃったから・・・」
「じゃあ迷子になっちゃったんだぁ!」
「うん・・・それに僕、これをみんなのとこ持ってかないといけないんだ・・
・」

小人は傍らの木箱を指差した。どこか細長い木箱だった。

「なぁにこれぇ?」
「警報器。」
「けーほーきぃ?」

リミィは首を傾げながら、木箱を見つめた。

「うん・・・『モンスター・通販カタログ』で買ったんだ。みんなとお金出し
合って。僕たちいっぱい仲間がいるからいざ集まろうとするとなかなか一斉に集
まれなくて、でもこれ使えば洞窟中に音が響くからちゃんと集まれるって・・・」

小人は目に溜まった涙を拭きながら言った。木箱は角が少し削れていて、小さ
い体で必死に引きずってきたことが伺える。

「どうしよう・・・」
「大丈夫ぅ!リミィが・・・」
「連れていかんぞ。」

二人に歩み寄りながら、デミテルは冷たく言い放った。

リミィは憤慨した。

「なんでぇ!?かわいそうだよぉ!」
「そんな奴に構っているヒマはない。とっとと・・・」
「・・・うえーん!」

再び小人は泣き始めた。デミテルは顔をしかめた。

「ええい!迷子ぐらいで泣くな!男はみんな迷子を乗り越えて強くなるんだ・
・・」
「うえええん!おかーさーん!」
「そうだ。そうやって泣き叫びながら母親を呼べばいずれ迎えが・・・」
 「ヒック・・・ううん・・・僕のおかーさん・・・・・・ずいぶん前に死んじ
ゃったから・・・・・・・・・わかってるけど呼んじゃうんだ・・・うえーん!」 
 「・・・・・・。」

デミテルは無言で小人を見つめた。同時にジャミルがデミテルの肩の上からピ
ーピー叫んだ。

「とにかくアタシ達はアンタの相手してるヒマはないの!アタシ達にはやるこ
とが・・・」
「・・・イヤ・・・やっぱ・・・連れていってやろう。」
「ハッ!?」

ジャミルはデミテルの突然の態度の変わりように驚愕した。デミテルはゆっく
りとしゃがみ込むと、小人の頭を撫でてやった。

「コイツはここに住んでいるモンスターだ。ならば少なからずこの洞窟に詳し
いはずだ。精霊探しが楽になる。」
「けど・・・!」
「・・・おいチビ。」

デミテルは先程とは打って変わって優しく言った。小人は首を横に振った。

「チビじゃないよ。僕はクレイアイドル。クレイアイドルのディックだよ。」
「そうか・・・いいかディック。その無意識に母親を呼んでしまうクセは直すこ
とだ。いいな。」
「・・・なんで?」
「どんなに大事だった物でも、人でも、失ったら皆同じだ。泣こうが喚こうが
戻ってはこん。喚くだけ虚しくなるだけだ。失った事実をすぐに受け入れて生き
ることが大事だ・・・私も・・・」

ここでデミテルは歯を食いしばった。


私も・・・私も大事なものをたくさん失った・・・しかも・・・

自らの手で消し去ったのだ・・・

「デミテルさんどうしたんだな?」

フトソンに顔を覗き込まれるようにされて、デミテルはハッとした。すぐに立
ち上がり、意識を切り替えた。

「とにかく奥に進むぞ!フトソン!お前はそこの木箱を持ってやれ。リミィ。
お前はその迷子を抱えてやれ。歩幅的に歩かせていたら時間がかかる。」
「りょ、了解なんだな!」
「デミテル様ありがとぉ!」
「・・・・・・納得できないんですけど・・・」

デミテルの左肩で、ジャミルは不満そうに呟いたのであった。

『はぁ・・・』

その一方で、カベルンルンは一人ため息をついていた。

『俺・・・洞窟の門番としてダメダメだよなぁ・・・・・・・・けど・・・』

ここでカベルンルンはちょっぴり思った。

ダメダメだけど・・・でも・・・・・・・・・・・・・・・壁として生きてて
数千年、今までで一番楽しいやり取りだったなぁ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ちょうどその頃。熱砂の洞窟にて。

 今まさに、炎の精霊イフリートと、クレス率いる時の英雄達との契約を賭けた
闘いが始まろうとしていた。

 クラースはゆっくりと申し出た。

「炎の精霊イフリートよ。我らに協力してほしい。契約を・・・」
『なるほど・・・ならば力を示せ。この俺の岩をも溶かす灼熱の炎に耐え切れ
る程の力を!!』
「よし!こい!」

英雄達はそれぞれ武器を取り身構えた。まさに闘いの火ぶたが切って下ろされ
そうになった、その時・・・

『・・・なあ・・・』
「なんだ?」
『実はお前らには選択肢がある・・・』
「選択・・・肢?」

クラースはキョトンとした。クレス達も同様だった。

『確かに俺は力を示せと言った・・・だが・・・』

ここでイフリートはニヤリとした。

『・・・「喧嘩で」とは言ってないだろ?』
「・・・ほえ?」

アーチェは精霊との予想外の会話に思わず声が出てしまった。

『選択肢は二つだ・・・俺と戦いで力を示すか・・・それとも・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・ダジャレ大会をやるかどちらかだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

イフリートは親指をビッと突き出し、力強く提案した。クラースはガックリと
首を落とした。

「おいイフリート!!こんな時にそんな冗談・・・・・・」
「ダジャレ大会でいきましょう!!」
「ええ!?」

クラースが振り向くと、そこにはキラキラと笑顔を振りまきながら元気に挙手
するクレス=アルベインがいた。

「クレス!!ふざけてる場合か!?」
「ふざけてなんていませんよクラースさん!もしこれで勝てばケガとかしない
で契約できるじゃないですか!?イヤ、それ以前に・・・・・・・・・・・・・
・・かつて、『トーティス村のダジャレ王』と呼ばれた僕の血が、僕の中にある
ダジャレという名の刃が奮い立っているんです!!さあこいイフリート!!この
僕にダジャレで戦いを挑んだこと・・・・・・・・・後悔させてやるぅぅぅっ!!!」
『いい心意気だぁ!!かかってこいやぁ!!まずは・・・』
「・・・・・・。」

クレスを除いた英雄達は、神聖なるダジャレ勝負を淡々と見ているしかな
かった。


ちなみに、過去クレスを『トーティス村のダジャレ王』と呼んだ人間は、後に
も先にもチェスターただ一人であったことは誰も知る由がなかったのであっ
た。


『まずは・・・・・・・・・・・・「デミテルが外で見てる」!!』

つづく
精霊の洞窟の合言葉「キクリン」はGBA版のやつですのでよろしくお願いします。


テストの結果はまだ出ないです・・・・・・不安だけが募っていきます・・・

次回 第十七復讐教訓「護りたいものは人それぞれ」

コメント

あはははは、今回も爆笑しちゃった男鼠です、こんにちわー

た、田中・・・・ダメッス、面白すぎます!!!!!!!
カルビ三文字じゃんと気付くのに時間がかかった俺ですがー、田中も時間がかかりましたがー(オイオイオイ
あと、今回はデミテルの過去(?)がちょっと見られましたね、いつもああいうときは泣き掛けちゃいます・・・・
そして・・・駄洒落大会!!!!!クレス、ガンバレッ!!!!!
いや、デミテルのためにも負けてもらわないt(マテ、物語終わるぞ

テスト結果がそのまま出ずだと良いんですがねえ(ぇ
では、結果が良いコトを祈りつつ(というか信じてます)、次回作も期待してます!!!!!!

おはこんにちこんばんわ。

デミテルは今日もだめだったを毎日更新されないとわかっていても毎日のようにのぞいてしまう、一読者です。

いやー、第1話から読み直してみても何も矛盾点がないのはすごいなーと思ってみてました。

読み直してみて、質問がいくつか出てきたのでいくつかきいてみます。

まず、フトソンの本名って何なんでしょう?。
また、リド=キャスパールって最近何をしているのでしょうか?

まあ、そのうちわかるんだろうかも知れないけど、とりあえず聞いて見ます。

本編内で話が落ち着いてきたら答えを教えてください。

最後にテストの結果がよければいいですね。
安定した更新日で、なおかつテストの結果がよいことを祈り、次の更新日を待ってます

長文乱文失礼します。

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